「大阪モノ物語」

夏の風物詩・ラムネ。


▲調合液と炭酸水を入れて逆さまにしてビー玉でふたをする充填機。その際に入る微量の空気がラムネ特有の泡のきめ細かさになる

 太陽の下、瓶の中に転がるビー玉の音色が、一瞬の涼香を運ぶ。ラムネ売りのおっちゃんも、駄菓子店の思い出もないけれど、「ラムネ」の3文字に、なぜか懐かしさを感じてしまう。ポンッと開けた瞬間に、シュワシュワシュワとあふれ出る泡。「もったいない」と、口からラムネを迎えにいき、ごくりと一飲み。冷えた炭酸がのどに心地よい刺激を与える─。日々、厳しく感じる暑さを背に創業以来、ラムネ一筋の業界最大手・ハタ鉱泉を訪ねた。

ラムネの生産日本1 年々売り上げ上向き

 都島北通りから一本入った住宅地の中に、ラムネ日本一≠フハタ鉱泉がある。2階建ての本社事務所を兼ねた工場に、道路を挟んで商品を保管する倉庫。日本一のイメージとは違った素朴な“まち工場”だ。 テレビや新聞などの取材も数多いラムネ界のドン。「都島でウチを知らんのはモグリやで!」。出迎えてくれた秦啓員社長(54)は笑顔がよく似合う。


▲地域活動にも積極的に参加する人情派の2代目、秦啓員社長

 1946(昭和21)年に創業。戦後は160〜170社あったメーカーも現在では、銭湯や駄菓子店の減少、大量生産の大企業の参入などで府内には7、8社に減った。しかし、今もラムネの人気は健在。冷夏の影響を受けることはあるが、年々、売り上げは上向きだという。

 ラムネといえば、瓶の中で転がるビー玉。子どものころ、取れそうで取れないビー玉にヤキモキしたものだ。しかし、オールガラスの瓶を回収して再利用していたのは昔の話。昭和60年ごろから流通が変わり、瓶は売り切りにしている。さらに飲み口をプラスチック製にし、ビー玉を取る苦労もない。

炭酸ガスの圧力でビー玉で栓


▲工場の2階にあるイオン交換機。活性炭ろ過。セラミックろ過した上水道を無味無臭の純粋にする

 工場は2階が調合室、1階で瓶詰め作業を行っている。

 2階に上がると、ラムネの甘いにおいが漂う。水は大阪市の上水道を使用。「くさい」「まずい」といわれてきた大阪の水だが、近年では水質が改善されてきた。とはいえ、やはり抵抗感があるのが本音。全国各地に出荷されていることもあり、同社では、イオン交換機で無味無臭の純水にしてからラムネを作る。

 1階の瓶詰め作業をのぞく。瓶をラインに乗せると、まずは胴の部分にシールを掛け熱で張り付ける。洗浄機を通過した後、ラムネの最大の見せ場、充填(じゅうてん)機がやってくる。

 瓶に2階で作られた調合液と炭酸水が入る。そして、瓶を逆さまにして、炭酸ガスの圧力でビー玉で栓をする。これがラムネがほかの炭酸飲料と一線を画すところ。逆さまにするときに、微量の空気が入ることで、より炭酸の刺激が強くなるという。秦社長いわく「ゲップが違う」のだとか。


▲瓶をラインに乗せてスタート。後ろの機械で胴の部分にシールがかぶせられる。メーカーと契約している瓶の底には「HAT」と刻まれている

 充填機を抜けると、一つ一つキャップシールをかぶせて検査に回して完成。

 ラムネは3月から製造を始め、7月25日の天神祭を目標に1日14万─15万本を生産。最盛期には20万本になる。お盆を過ぎると、冬の主力商品である子供用シャンパンのシャンペリーの生産に取り掛かる。

 「8月の真夏の時期がラムネの最盛期だと思われがちやけど、そのころには、ほぼ終了してて、次の商品に取り掛かってんねん」と秦社長。


ハタ鉱泉株式会社
大阪市都島区都島北通1丁目10番20号

 1946(昭和21)年創業。秦啓員社長は2代目。看板商品のラムネは全国販売シェア日本一。ヨーロッパ、中国など海外にも輸出している。瓶入りのラムネのほか、ビー玉入りのペットボトルのラムネも製造。ひやしあめ、ニッキ水などの懐かしい味から、子供用の白酒、シャンペリーなど約60種類の商品を製造している。

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