2007/10/27

大阪市の「孤独死」事情

 高齢化社会が進む日本で、一人暮らしの人が誰にも看取られることなく死亡する「孤独死」が相次いでいる。北九州市門司区内ではお年寄りらが連続して餓死・孤独死した事件があり、今も記憶に新しい。核家族化が進む大都市・大阪市内でも毎年100件を超える「都会の中の孤独死」が発生している。ただ、「孤独死」には法的に明確な定義がないため、警察庁では統計上では「変死」に分類しており、このため明確な統計数字は存在しない。

 「孤独死」という言葉は、日本で核家族化の進んだ1970年代から使われていたが、一般的に使われるようになったのは阪神・淡路大震災発生後、仮設住宅や復興住宅で孤独死が相次いでからとされる。 大阪市では孤独死としての統計はないが、市健康福祉局では、行旅(こうろ)中に死亡し、引き取り手のない「行旅死亡人」を2004年度に131件▽05年度=105件▽06年度=101件−として発表している。 また、同市の2000年度の野宿死亡調査によると、路上死が213人発生している。発見場所は西成区(28%)、浪速区(13%)、北区(12%)、中央区(11%)、天王寺区(8%)、阿倍野区(8%)−の順。性別は男性209人、女性4人。死亡の平均年齢は56・2歳で最年少年齢20歳、最高齢は83歳だった。野宿生活者の死亡発見時の所持金は100円未満が41・5%、500円未満と合わせると57・3%を占めた。1万円以上の所持金者も13・4%あったが、あらためて野宿にいたる絶望の深さを感じさせた。 孤独死が増えている地域に共通するのが近所付き合いなどのコミュニティーが形成されていないということだ。 このため市は現在、市内に322の地域ネットワーク委員会を結成し、「お年寄りの方が集まる場所を提供するなど横のつながりを強化して地域のセーフティーネットを築き、よりよいコミュティーを形成したい」(市健康福祉局地域福祉担当)と話している。

葬儀社が明かす現場の悲惨さ

 大阪市企画葬儀取扱指定店となっている旭区の葬儀社では、今年7月から9月までに取り扱った葬儀のうち、3分の1(約30件)が孤独死によるものだった。孤独死による葬儀の対象になったのはほとんどが男性で、独居老人に限らず30代や50代の事例も少なくなかったという。死因は元気だった人に突然、死が訪れる虚血性心疾患が圧倒的に多く、突然死は誰にでもありうることを物語る結果となった。

 孤独死には現場の葬儀社しか知りえない悲惨さがある。発見が遅れれば遺体が腐敗し、死臭を放つことだ。夏場は特にひどく、1週間もたてば遺体は液状化し、最悪の状態になるという。こうした異臭騒ぎから、発見に至るというケースも少なくない。

 「ベッドを起こした状態でうつむいたまま亡くなり、発見までのわずか3日間で顔がうっ血していた人もいた」(同社スタッフ)例もある。一方、冬場はミイラ化した後に白骨化するため、発見が遅れるケースも多々あるという。

 「ご遺体の顔の復元など最善を試みるが、期待に添えないことも多い。一番悲しいのは最後のお顔をご遺族に見せられないことだ」と、葬儀社のスタッフは口をそろえる。

 孤独死の発見が遅れる場合にほぼ共通しているのは、亡くなった人に親族や近所とのコミュニケーションがないこと。こういったケースでは死後、葬儀社側から家族や親戚に連絡を取るが、「遠いので行けない」「行きたくない」と返事をされる場合も多い。一方で20年以上連絡を取っていなかったものの、連絡を受けてすぐに駆け付けてくる人もいるという。

 葬儀業界に30年以上携わっている同社のベテランスタッフは「これまで悲しい場面に何度も遭遇してきた中で、声を大にして言いたいのは、とにかく発見を早くということ。突然死は誰にでもありうることで、本人もしっかりと対策を講じてほしい。市内には自治会で連携して、毎朝玄関に黄色い旗を立て、安全を知らせる取り組みをはじめようとする町会もある。こうした取り組みを見ていると、われわれ葬儀屋も安心できる。顔を見ながらお別れできないご家族の悲しむ姿はもう見たくないから…」と話している。

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