通天閣をめぐる謎、ナゾ、なぞ・・・?

2006/4/22

▲天に通ずる高い建物ということで「通天閣」と命名された

 庶民の街で知られる大阪・新世界。ここには大阪のシンボルタワー「通天閣」がそびえ立っている。初代の通天閣は、創建当初の1912(明治45)年には「天に通じる高い建物」として東洋一(64m)の高さを誇っていた。現在の通天閣は2代目で1956(昭和31)年10月に完成。高さ103m、円形エレベーターを備えた近代的な姿で、浪速っ子の心に再び灯(ひ)をともしている。

なぜ神様のビリケン像を安置?

 通天閣の展望台に上ると真っ先に迎えてくれるのが幸運の神様ビリケン像。1908(明治41)年。米国の女流美術家が奇怪な神の姿を見て造った像がビリケンさんだ。合格祈願、縁結びなどあらゆる願いを聞いてくださる「福の神」として人気を呼んでいる。

 通天閣のビリケン像はかつて新世界の遊園地ルナパークの祠(ほこら)に設置していたビリケン像を約20年前、「通天閣をあんじょうする会」の会員らが「新世界にかつてのにぎわいを取り戻そう」と音頭を取り、一刀彫りで復元したもの。

▲展望台でまっさきに迎えてくれる幸運の神様ビリケン像。「合格祈願、縁結びなどあらゆる願いを聞いてくれる福の神」だとか。

 その後は「ビリケン祭」が開かれ、「ビリケン音頭」、映画「ビリケン」(阪本順治監督)も 公開された。今では受験期にはビリケンの足の裏をかいて願をかける来場者も多く、その時期はさい銭が1カ月8万円も入ることもあるという。

名付け親は誰? 高名な儒学者 藤沢南岳

 初代通天閣は、今から約90年前の1912年(明治45)7月に一大歓楽街「新世界」の地に建てられた。当時では東洋一の高さを誇り、大阪市民をあっと言わせたと いう。

 新世界を開発し、通天閣を建設したのは大阪土地建物という企業。通天閣の名は、同社の社長で、当時の大阪商業会議所会長を務めていた土井通夫さんの「通」を取って、「天に通じる高い建物」という意味で付けられたというのが定説となっている。

 では、名付け親は誰なのか?

▲円形のエレベーターは全国でも珍しいとか

 長い間不明だったが、1985(昭和60)年に「通天閣30年史」の編集企画を知った大阪市住吉区在住の藤沢さんが「自分の祖父が名 付けたと聞いています」と名乗り出た。

 名付けたのは、明治時代に政治の世界で活躍した高名な儒学者、藤沢南岳氏。漢籍への精通は当代随一といわれた人で、実際あちらこちらから命名の依頼を受けていたようだ。いわば、名付けのプロだった人。このことがはっきりして、初代通天閣が完成してからの謎が実に75年ぶりに解明された。

 また、通天閣はパリのエッフェル塔と凱旋門を模した破天荒なイメージで人気を集めた。ちなみに通天閣、東京タワー、名古屋テレビ塔は内藤多仲(ないとうたちゅう=1886−1970)という、若干26歳の若さで早稲田大学の教授に就任した人が設計した。この三塔はいわば兄弟塔なのだ。

ネオン灯のスポンサーは?

▲通天閣ではビリケングッズが人気

 初代の通天閣には「ライオン歯磨き」のネオンが灯っていた。現在は「日立」の文字でおなじみとなっている。浪速の夜空のシンボルにもなっているが、再建当初からネオンがあったわけではない。

 通天閣は再建されたが、施工主の奥村組に建設費の借金を一刻も早く返済しな ければならなかった。そこで、広告としてネオンを設置するため、広告代理店「萬年社」に広告主を探してもらうように依頼したのだ。

 最初の交渉先は当然「ライオン」だったが、現在と違い当時は「業績がそこまで上がっていないので」とやんわり断られたそう。続いて「三洋電機」「松下電器産業」「グリコ」「アサヒビール」など大阪の会社に依頼したが、どこも受けてくれなかった。

▲通天閣1階にあるエントランスサイン。「通天閣」と大きく書かれた文字は通天閣をこよなく愛する作家、藤本義一さんが執筆した

 そこで萬年社の東京での有力取引先だった「日立製作所」に白羽の矢が立つことに。広告料の条件は「返済資金にまとまったお金がいるから」という、通天閣の内輪の事情を日立製作所が全面的に受け入れ、年間300万円の広告料で10年 契約、お金は10年分まとめて3000万円を先払いしてもらったのだ。

 日立と契約が整ったあと、松下電器産業の創業者・松下幸之助氏が「何で東京の会社に取られるんや」と残念がっていたという逸話が残っている。実は初代通天閣の電灯工事は松下電器で一手に引き受けていたのだ。

 ネオンが再点灯したのは開業9カ月目の1957(昭和32)年7月。5年ごとに契約を更新し現在は「日立ITソリューション」のネオンが点灯している。また、東西南北の西面(塔屋の左側)は「公共面」として巨大な寒暖計が取り付けられた。

 現在は、通天閣のてっぺんの丸いネオンが簡単な色の組み合わせで明日の天気を知らせてくれる。日立のエレクトロニクス技術で気象台と通天閣を専用回路で結んでいるためで、夜空のシンボルとして親しまれている。

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