週刊大阪日日新聞

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2018/12/8

ミナミ(日本橋・新今宮・心斎橋)に新たな動き

日本橋 NIPPONBASHI

出店進むポップカルチャーのまち

味わい深いロケーション

▲昭和のレトロな家電や看板などが並ぶ展示場「昭和ノイエ」=大阪市浪速区日本橋4丁目

 ポップカルチャーの街としてすっかり定着した、大阪市中央区と浪速区にまたがる日本橋。アニメやゲーム、フィギュアの専門店が立ち並ぶ中、かつて電気や趣味の街としてにぎわった名残がある商店街「日本橋商店会」に近年、若手経営者の出店が相次ぐ。多くの外国人観光客らでにぎわう大阪の街に、新たな動きが起き始めている。

 「安っ! こんな店があったの!?」。軒先につるされた2千円ほどの着物に若い女性が声を弾ませる。アンティークなトランクをそろえる店からは、白ひげがトレードマークの店主が奏でるアコースティックギターの音色が。まるでジブリアニメの一場面のような非現実感>氈B

レトロな路地

 日本橋商店会は、多くの外国人客らでごった返す「でんでんタウン(日本橋筋商店街)」とは対照的に人影はまばら。十字に入り組んだ細い路地に家電製品や着物、工具類など30店が軒を連ねたが、大型家電量販店の台頭などによりシャッターを閉める店が目立つようになった。

 そんな中、レトロな路地に魅力を感じる経営者や客が少しずつ集まりつつある。

 真新しい木のドアと開店祝いの花が、薄暗い路地に映える。「アジアンカフェ ハッチン」と書かれた黄色い看板のその奥で、店主の八代一也さん(43)が仕込み作業を続けていた。

 計5坪ほどの2階建ての倉庫を改装し、9月にオープン。隠れ家っぽい所を自転車で探し回り、見つけたという。特殊な立地のため、固定客はまだ少ない。それでも「近隣は飲食店が少なく、出前を取ってくれたり客を紹介してくれたりする。まちぐるみのつながりが強い」。人情味ある店同士のやりとりも魅力だ。


▲着物や家電製品、工具などの専門店が軒を連ねる昔ながらのたたずまいを残す路地=大阪市浪速区日本橋4丁目

 同商店会によると、出店の動きは3年ほど前から。ハンドメード雑貨や和菓子、プラモデルを扱う店が昨年、今年と3店ずつオープンした。

 着物屋を営む赤石憲俊会長は「ほかでは味わえないたたずまいが、新鮮だったりするのだろう」。味わい深いロケーションが話題となり、あえて閉店後の寂しい雰囲気の写真を撮りに訪れる若者もいるという。

個性ある店

 意外なヒントを得た商店会は、4年ほど前にダイヤル式黒電話やブラウン管テレビなど、レトログッズを集めた展示場「昭和ノイエ」を開設した。

 近年の日本橋は、外国人に人気のカプセルトイや クレーンゲームを取り扱う店が目立つ。デパートのフードコートさながらに飲食店が充実するなど観光地化≠ェ進む。

 「ニッチなものを扱う店が集まり成り立っていたが、そうではなくなってきた」と指摘するのは、日本橋でフリーペーパー「pontab(ぽんタブ)」を発行する「DECI─LITRE FACTORY」の楠瀬航代表。

 近年注目される「ウラなんば」を例に「店主の顔が見え、個性ある店が自然発生的に集まる所に人は魅力を感じる。商店会もそういう存在になる可能性はある」と期待を込める。


新今宮 SHIN-IMAMIYA

星野リゾートのホテル進出

観光客の宿泊の集積地に

▲星野リゾートが新今宮に計画するホテルのイメージ(星野リゾート提供)

 JR新今宮駅周辺が、大きく変容しようとしている。日雇い労働者の集まる街が、今は多くの外国人でにぎわう。そんな場所に高級リゾートホテル運営で知られる星野リゾート(長野県軽井沢町)が目を付け、観光客向けホテルの進出を決めた。

 新今宮駅南のあいりん地区は、過去に日雇い労働者による暴動が起きるなど治安面で不安があり、観光とは縁遠いエリアだった。「昔は本当に怖かった」と、近くの商店街で長年うどん屋を営む女性(79)は振り返る。

 しかし、この20年ほどで周辺に温浴施設や大型ディスカウント店などが相次いで開店し、次第に雰囲気を変えた。

 徒歩数分の所には、通天閣がそびえる新世界がある。射的や囲碁将棋クラブなど昔ながらのたたずまいの店が軒を連ねるジャンジャン横丁。「ディープな大阪」に触れようと、多くの外国人が行き交う。

 あいりん地区では「1泊950円」などの格安ホテルが目立つ。もともと労働者向けの宿泊施設だったが、会員制交流サイト(SNS)や口コミで情報が拡散。民泊も増え、外国人観光客に人気だ。

 こうした場所に近い新今宮駅北側の約1万4千平方mの広大な土地に、星野リゾートがホテルの建設を計画。608室の20階建てで、22年春の開業を目指す。「大阪でしか体験できない風景や文化にあふれている」ことや交通アクセスの良さが進出理由だという。

 「まさかあんなホテルができることになるとは。どんな風に変わっていくんやろう」。うどん屋の女性は戸惑いながら街の変遷を見守る。


心斎橋 SHINSAIBASHI


▲ドラッグストアが並ぶ商店街。多くの外国人客が買い物を楽しむ=大阪市中央区心斎橋筋2丁目

インバウンド通り≠フ様相

「爆買い終結」どこ吹く風

 流行発信の最先端として連日にぎわいをみせるショッピングエリア・心斎橋。「東の銀座、西の心斎橋」と称された時代もある。近年はアジア系外国人らが目立ち、さながらインバウンド通り≠フ様相を呈している。

 エリア周辺で一番のにぎわいを見せるのが南北580mに伸びる心斎橋筋商店街だ。大型百貨店から専門店まで、ファッション、雑貨、グルメなどさまざまな店が軒を連ねる。

 道頓堀や新世界など大阪の観光スポットとも近いことから、平日、週末、昼夜を問わず人が多く、ぶつからないよう歩くのに気を使うくらい。そんな通りで目立つようになったのは「免税」「TAX FREE」の文字。聞こえてくるのは中国語や韓国語、英語…と、海外にいるような錯覚に陥る。

 通りはコスメ商品や生活雑貨を両手いっぱいに持ち歩く外国人がいっぱい。「爆買い<uームの終結」はここでは当てはまらないようだ。


▲たくさんの商品を手にする外国人客が目立つ=大阪市中央区心斎橋筋

 商店街では、外国人客の需要を見越したドラッグストアの進出がここ数年続いている。ドラッグストアで働く男性は「客の取り合いになっているとは感じない。お客さんが増えることは大歓迎」と需要の多さを実感する。

 商店街振興組合の前田雅久事務局長は「外国人客は歴史と文化のある心斎橋を楽しんでくれている」と話し、アジア圏以外の外国人客の増加も見据えている。


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