週刊大阪日日新聞

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2018/12/8

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

大阪万博 7つのリスク

 2025年の国際博覧会(万博)の開催地が大阪に決まった。日本での開催は1970年の大阪万博、2005年名古屋の愛・地球博以来で、大阪では55年ぶり、日本全体でも20年ぶりだ。公共事業投資をはじめとする地域開発、他府県や外国からの集客など、万博がもたらす大阪への経済効果は確かに大きい。しかし、決して水を差すわけではないが、そうした報道ばかりが目立つので、ここはちょっと落ち着いて、本紙では7つの「マキシマム・リスク(最大の危険要素)」を考えてみたい。


 皆さんは「1980年代までは、我が国最小の都道府県は大阪だった」ってご存じ? 今では香川県と最下位を入れ替わったが、大阪府の面積が増えたのは関西空港をはじめ、バブル期に大阪市が推進したテクノポート計画などで南港地区の3島埋め立て工事で急速に面積を増やしたおかげだ。

@夢洲で大丈夫?


▲大阪万博の会場地となる夢洲のイメージ(経済産業省提供)

 会場の夢洲(ゆめしま)は総面積390へクタールと京セラドーム大阪や大阪城ホールが130個ほど入る広大な埋め立て地。現時点で半分ぐらいはまだ湿地帯、全体の埋め立て完了は万博決定を受けても23年より早くはならない。万博予定地は島南部の和歌山側155へクタール、ちなみにIR(カジノを含む統合型リゾート)予定地は北部の尼崎側70へクタール。これらに長期滞在型リゾートなどを組み合わせ総合開発する計画だ。

 今秋の台風襲来で、通称・南港の咲洲(さきしま)で駐車中の車が吹き寄せられるなどの被害が出たが、夢洲も積み上げた大型コンテナや護岸の一部が崩れるなどした。現在、夢洲で仕事をするのは一部の海運荷役業者に限られ大きな話題にならなかっただけだ。

 もともと建設残土埋め立てなどで造成をした夢洲だけに、今後大型建造物建設などで「毎年どれくらい沈下するか?」の予測もまだ出ていない。台風で関空の水没による機能不全を目の当たりにした府民にとっては「想定外ではダメ」と改めて警告したくなる。東京・豊洲市場の移転開業が土壌安全対策で1年遅れたが、万博は開催時期が既に決定しているだけに心配だ。

 大阪湾内に浮かぶ人工島だけに、もし開催中に「南海地震」が発生したら確実に紀伊水道から津波が北上し襲ってくる。来訪者の島脱出計画にぬかりはないか? 仮設パビリオン多数の会場で、訪問客全員が避難高度維持できる高い建物はホントに確保できるのか?

AIRとセットが絶対条件

 夢洲開発は、地元で根強い反対が続くIR造成がセットになって初めて成り立つ。IR自体は、21年に全国3カ所の候補地が決定、万博前年の24年に開業予定。万博主体は、「五輪は都市主催」に対し国そのものなので、大阪へのIR誘致はセット化されてほぼ確実。鉄道が3線も夢洲まで伸びるので、「地元民が気軽に電車で足を踏み入れるのでは?」とギャンブル依存症対策上の心配が浮上する。今後、万博開催が前面に出てくると市民もIRに声高には反対しにくくなる。

B交通アクセス、延伸費は?

 現在は夢舞大橋(片側2車線)だけの夢洲へのアクセスは、道路が同大橋の片側3車線への拡幅と、南港・咲洲からの夢咲トンネル開通で車両の循環性を確保。公共交通は、大阪メトロが南港ポートタウン線の北側始発駅・コスモスクエアから更に北へ延伸して舞洲(まいしま)経由で夢洲入り。JRゆめ咲線も終着駅・桜島から西へ延伸して舞洲経由夢洲へ。もう一つ、京阪中之島線が終着・中之島駅から延伸して大阪メトロ中央線九条駅にドッキングさせ、京都方面から直接夢洲へアクセス可能となる。

 各社でこれほど膨大に路線を延ばし、果たして将来的に「利用客を確保できるのか?」という根本的疑問が残る。また都市部における鉄道の地下化、高架化に予定期限内で対応するには、建設費は現在試算の800億円程度でとても済みそうもない。

C予算青天井は五輪が実証

 東京五輪は招致時点で諸経費は7340億円とされたが、現時点で既に4倍の3兆円余りに膨れ上がっている。原因は国家プロジェクトにつけ込んだ大手ゼネコン関連の建設資材費や人件費の急高騰。当然、各省庁も万博にこと寄せて予算をぶんどりに来る。現在総額3千億円程度の大阪万博が、仮に同じように予算4倍へ膨れれば1兆2千億円。会場建設費としてささやかに1250億円だけを計上し、「国・府市・経済界で3分の1ずつ」とPRしているが、そんな額で地元負担が済むはずはない。

D2800万人の根拠


▲鮮やかな光が写し出される太陽の塔=11月29日、吹田市の万博記念公園

 70年の大阪万博が総入場者6422万人(会場敷地330へクタール)だから、「25年万博の2800万人なんて軽い」と思ってないか? 05年の愛・地球博は2204万人(173へクタール)、大阪で開催された1990年の花博は2312万人(140へクタール)だったから確かにハードルが低くそうだ。

 しかしちょっと待って欲しい。当時は東京ディズニーランド(TDL)もユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)も存在しなかった。非公表部分もあるが、TDL(151へクタール)で年間3010万人、USJ(54へクタール)で同1800万人の直近動員をメドに考えると、かつての万博動員数だけを参考にそろばんを弾くと痛い目に遭う。会場運営費光熱費820億円の財源は入場料収入だけが頼りだ。

E跡地利用どうする?

 70年大阪万博も90年花博も会場跡地はその後公園化されたが、大阪の住人で「よく利用しますよ」という方に会ったことがない。維持管理費は半永久的に続く。過去2回の大阪での跡地利用の結果をみる限り、有効利用できるか心配が募る。東京五輪のたった2週間の開催に比べると、半年間開催で経済的メリットは万博の方がはるかに大きいのだが…。

F大阪維新のPR警戒

 在阪の経済人に聞くと、最も心配するポイントは「松井・吉村の大阪維新コンビが万博を自分たちだけの手柄にして、再び大阪都構想を推し進めないか?」という点。「大阪万博成功のために、自民党から共産党までの幅広い大阪維新政権野党≠ヨの賛同を得るため、いったん大阪都構想を下ろして大同団結を呼びかければ2人の評価は一気に高まる。しかし、それだけの腹が据わった対応は彼らでは無理」とため息をつく。

 むしろ、万博誘致決定直後から「府市一体となった成果」とか「来春の統一地方選の前に、都構想住民投票を再び」と発言し前のめり気味。普通の大阪市民感覚だと、「都構想は既に1度、住民投票で否決されたでしょ」というのが本音。知事と大阪市長はもっと地に足を付け、府内の首長や議員の調整役に徹し、自ら額に汗して旗振り役に徹するくらいの態度を見せてほしい。


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