週刊大阪日日新聞

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2018/11/10

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

スマホは本当に安くなるの?

顧客獲得競争から非通信分野へ


▲大阪市内のドコモショップ

 先月末、NTTドコモが「来年4月期から2〜4割の値下げ」を発表。来秋の消費税10%引き上げに合わせ、菅官房長官が強く要請してきた値下げ圧力が現実になって動き出した。同時期には楽天が新たに大手携帯電話事業に参入予定で価格競争激化は必至。その楽天とKDDI(au)が提携を発表。残されたソフトバンクはトヨタ自動車と提携し、AI技術を活用して自動運転などの技術開発協力に舵を切った。みんなが当たり前にスマホを持つ時代に、携帯電話会社はこれからどこに向かおうとしているのか、を考えてみよう。

大手は平均月額7千円台

 携帯電話料金は平均すると月額いくら払っているのか? MMD研究所の昨春の調査によると、大手3社のスマホ利用者で7876円、格安SIM利用者で2957円、ガラケー利用者で3071円というデータが出ている。スマホ端末を2年分割で購入している人は2000円程度上乗せされて支払っているから、2年しばりで利用するとして計24万円弱。大手3社のユーザーで「高い」と感じている人は86・5%だから、政府が打ち出した「携帯料金値下げ」圧力を皆が歓迎している。

 では日本の大手3社の携帯電話料金は本当に高いのか? 総務省が公開しているデータでは「米国より安いが欧州より高い」というレベル。ただし、日本の携帯のつながり品質は非常に高く、当たり前に感じる地下鉄車中や東海道新幹線など高速鉄道の全線でほぼ切れずにつながっているのは実は日本くらい。これはすべて通信アンテナなどの膨大な設備投資が陰にある。そう考えると「日本の携帯料金は決して高くない」ともいえそうだ。

 では格安スマホに乗り換える手はないのか? 結論的にいうとこれらの会社は大手系列社が多く、その通信設備を借りて営業しているので品質的にほとんど差はない。現在の電話番号を引き継ぐのも(MNP)、元の契約社で手続きすればすぐ持ち出せる。唯一不便なのは、大手のように街角のどこにでもショップがあるわけではないので、故障や修理などの不具合の時だけだ。

驚異的なスマホ普及速度

 スマホはiPhone 3Gが日本で初めて発売されたのが2008年だからまだ10年くらいしかたっていない。それが今や20〜30代の9割以上はスマホ使用だから恐るべき普及スピードだ。携帯全体の伸びはすでに横ばいで、少子高齢化の日本ではスマホも買い換え需要くらいしか今後は見込めない。

 スマホは従来のガラケーにパソコンの機能を加えたようなもの。ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどSNSと呼ばれる機能を使うのに圧倒的便利。

 電車の中などで、乗るやいなやスマホを取り出して眺めている人がほとんどの時代。SNSやチャット、情報検索、ニュース、ゲーム、そして動画と何でも自分の好きなことがスマホでできる。

お菓子までスマホ次第

 以前は、「スマホ依存症」とか「スマホで個人情報流出」と警鐘を鳴らす動きもあったが、今の若者に1日でもスマホのない生活など考えられないから注意するだけムダだ。特に10代の若者は「物心付いた時からスマホがあった」という世代だから、何でもスマホ経由なのは当たり前。

 「スマホを触るのに指が汚れる」という理由が一因で、森永製菓は50年続いた人気商品「チョコフレーク」の売り上げ減少に伴う製造終了を発表。ガム類もコンビニのレジ横が定番の人気商品だったが、スマホを見ながらレジに並ぶ時代ではすっかり売れなくなって失速気味。スマホの存在が社会的にも大きな影響力を持っている。

 「スマホ世代はリアルなコミュニケーションが苦手」というが本当だろうか?確かに街で知らない人に道を尋ねたり、逆に尋ねられたりということは減った。ネット上のつながりを信用しすぎたり、広がり方を甘く見て一気に情報拡散したりと、トラブルに巻き込まれるケースも出る。公開中の邦画「スマホを落としただけなのに」(東宝)は、SNS世代のスマホ紛失によるホラーより恐怖な体験を描いた話題作だが、だからといって昔に戻れるわけはないから、スマホを使わない世代は文句を言う前に早く慣れていくしかない。

次世代「5G」って何?

 次世代スマホに関して、超高速の次世代無線通信システム「5G」という言葉が時々登場している。これは何だろう?「G」とは英語のジェネレーションの略で、5Gは第5世代という意味。

 歴史をひもとくと、「1G」とは1979年に自動車に据え付けた無線電話サービスのことで当然アナログだった。それが車から降ろされ、人が持って移動できるようになったのが「2G」で85年。ドコモのiモードなどの世界基準のデータやりとりができるようになったのが「3G」で、2001年開始の高速通信を指す。現在の「4G」は通信速度を速めた改良版で12年の登場。

 次の「5G」は正式には東京五輪が開催される20年に一般化。個人ユーザーに取っては「映画1本分が3秒でダウンロードされる」というから驚異的なスピードアップになるが、実はもっと社会を変革させてしまう重大ツール。具体的には、ソフトバンクとトヨタが組んだ自動運転技術は秒単位の遅れが事故につながるだけに5Gが絶対必要。さらに遠隔医療も、時差による手術指導などの手順ミスが防げる。もちろん一般家庭用テレビの画質が8Kなどにグレードアップされる際の技術にも欠かせない。

 こうしたIoTと呼ばれるあらゆる物がコンピューターでネットを通じて結ばれる技術は、同時多接続なくしてありえない。政府が推進する消費増税後の小売店でのクレジットカードや電子マネーによる決済でのポイント還元はもちろん、自販機やタクシーでクレジットカードや電子マネーが使えるのも、それぞれにスマホと同じ通信設備がちゃんと内蔵されているから。すべて5Gによるサクサクと接続されることが絶対条件になる。

 つまりこれからの大手各社は、少子高齢化で台数自体が頭打ちの個人スマホ利用者の獲得合戦より、非通信分野と呼ばれるスマホ決済などのサービス分野に成長性を求める。KDDIが楽天と組んだのも、ネットショッピングで培ったノウハウを利用したいから。利用者から徴収する通信料金が主収入ではなくなる時代がもうすぐそこに来ている。

 当たり前のように使っているスマホの世界も、裏では通信事業自体が大変革まっただ中と分かってもらえたかな?


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