週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2018/9/29

おしゃれな茶屋町が「学びの場」に

 ファッショナブルな若者が行き交う大阪キタの茶屋町エリアが変わりつつある。大学のサテライトキャンパスや専門学校が集まり、学生らは夢を実現しようと「学び」と「活動」の場を広げている。学生を支援する団体も増え、「おしゃれな街」から「夢をかなえる街」へと進化している。学生や支援団体の取り組みを追った。

学生が自ら学ぶプロジェクト


▲ビアガーデンに客を呼び込むアルバイト大学生=大阪市北区のウメダイガーデン

 まちを丸ごと「学び」の空間に─。「UMEDAI(ウメダイ)」プロジェクトは、大阪・梅田一帯を大学に見立てた人材育成の試みだ。若者や女性、外国人学生など、さまざまな立場の人々が交流を通じて学び合って いる。中でも次世代を担う大学生など18歳から20代後半をメインターゲットと位置付ける。

 官民連携で設立した未来教育推進機構が今年4月から事業展開しており、メインキャンパス≠ニして茶屋町にある「ABCマート梅田ビル」内にコモンズルームを開設した。開放的なスペースで「ウメダイ生」なら誰でも活用可能。ラウンジスペースでは飲み物を片手にゆっくり交流できる。

 JR大阪駅北側の再開発地域「うめきた2期区域」の「うめきたウメダイガーデン」が主な活動実践の場となっている。大学生を中心に来年3月までの期間限定でレストランとカフェを運営。飲食の提供はもちろん、設備管理やイベントの企画、広報活動も切り盛りしている。

 現在は、活動方針を決める学生委員会に所属する中心メンバー約20人とアルバイト約50人が活動に参加。テーブルがささくれだっているのに気付き、気持ちよく使えるようにニスを塗ったり、訪日外国人客を呼び込む方法を考えたりした。夏に合わせてビアガーデンを開いたところ、接客能力を超える来客の対応に追われたのも貴重な経験となった。

 今月には動画投稿サイト「ユーチューブ」に公式チャンネル「UMEDAI.TV(ウメダイ・ドット・ティービー)」を開設した。動画の撮影方法や企画構成を映像制作会社のプロから学び、ウメダイ生の思いや活動内容を発信していく。

 就職支援活動の一環として、同プロジェクトに賛同する企業の若手社員から働きぶりを紹介してもらうワークショップも開いている。未来教育推進機構の広報担当、柳井綾子さんは「学生にはウメダイの取り組みを通じて自分の適性を知って企業で活躍してもらい、ウメダイ卒業生には就職してもつながっていてもらいたい」と話している。


夢追い人が活躍する街、応援する街


▲校外活動を通してメーキャップの楽しさややりがいを実感するという宮原さん(右)=大阪市北区茶屋町の「大阪ベルェベルビューティ&ブライダル専門学校」

 夢追い人≠ェ集う街、茶屋町。地域で学ぶ学生たちは、時に学校を飛び出して街で生き生きと活動。スキルアップと地域貢献をつなげた取り組みが進み、学生の元気な力が街のにぎわいづくりに一役買っている。

 「大阪ベルェベルビューティ&ブライダル専門学校」には約500人が在学。生徒たちは、日本のみならず世界で活躍するメーキャップアーティスト、ネイリスト、ブライダルプランナーを目指す。

 同校では、学生のスキルアップを目的に4年ほど前から小中学校や老人ホームを訪問。即席ネイルサロンやメーク体験を提供している。茶屋町で年4回開催される大規模なイベントにも参加。ブライダルショーやハロウィーン、舞台仕様のメークを体験してもらい、街行く人に笑顔を広げている。

 「喜んでくれる姿を見たら幸せ。やりがいに変わる」と語るのはメイク・エステ・ネイル科2年の宮原由衣さん(20)。校外でしか学べないことも多く、スムーズなコミュニケーション、マナー、会話のネタ作り、客の納得感を見極める力など技術以外の即戦力を街で身に付けている。

 「茶屋町は学生の流行の最先端。刺激をもらえる」と話す宮原さんの夢は「海外で活躍する、時代をつくるメーキャップアーティスト」。夢を持つ若者たちが、次々と羽ばたいていく。


▲バンド初心者に丁寧に接客する児玉店長。楽器の相談や演奏のアドバイスにも笑顔で応じる=大阪市北区茶屋町の「イシバシ楽器梅田店」

 そんな茶屋町の夢追い人を応援している街の専門店も多い。商業施設「NU茶屋町」の「イシバシ楽器梅田店」(5階)では、音楽を始めた学生や若手バンドマンへのサービス充実に取り組む。

 春や秋は、軽音楽部の入部や学祭のステージ準備で学生の来店が増える繁忙期。店内3万点の楽器用品の中から「より気に入ったものを手に入れてほしい」と、事前予約すれば団体客でも個別にじっくり対応するサービスも行う。

 茶屋町の大型イベントでは、音楽ステージをセッティング。出場バンドの仲介役や演奏の助言をすることもある。音楽をこよなく愛する児玉源太郎店長(38)は「夢を持つ若者がいることが街の元気の源。楽器、音楽にずっと触れていてほしい」と優しく見守っている。


国際課題認識の高校生 イベント企画し活動


▲自らが企画した、民族衣装で各国の文化を伝えるイベントの舞台に立つ高校生ら

 国際協力や貧困・飢餓・紛争などに関心を持った関西の高校生が、茶屋町に拠点を持つ関西NGO協議会に集まり、参加者5千人規模のイベントの高校生実行委員会として独自のプログラムを企画、運営している。

 イベントは、国際協力などの分野を学び発表する「ワン・ワールド・フェスティバル for Youth 高校生のための国際交流・国際協力EXPO」。「高校生企画プログラム」部分を高校生自らが担当し、企画立案から当日の運営までを手掛ける。

 昨年は12人の高校生が、ジャーナリストを講師に招いてシリア問題を考える▽チョコレートとバナナから学ぶフェアトレード▽VRゴーグルを使用して難民キャンプの現状を知る―など六つのプログラムを実施。7月から集まり、約半年間の活動の中で講師や機材の手配、交渉などほぼ全てを生徒らで行った。

 今年のフェスティバルは大阪YMCA(大阪市西区)を会場に12月24日に開催予定。大阪、兵庫、京都、滋賀から集まった12人で実行委を組織し、大会テーマやイベントの内容、経費の一部を集めるクラウドファンディングなどの打ち合わせにいそしんでいる。

 同協議会の担当者は「人見知りの生徒も実行委員会を通して意見をどんどん発するようになり、成長を感じる。進学し、社会に出ても社会の課題について意識を持ってもらいたい」と期待。

 実行委員長の梅原恋子さん(17)は「高校生自身が国際課題の理解を深め、国際協力を身近に感じられる『場』をつくり、関心のある人がつながる『場』にしたい」と意気込む。


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