週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2018/9/15

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

加熱する返礼品競争に待った!

ふるさと納税、騒動の裏側


▲画像はイメージ

 ふるさと納税制度が始まって早10年。過熱する返礼品競争でついに総務省から「待った!」が掛かったよ。野田聖子総務相は「抜本的制度見直し」を強く示唆しているから、場合によっては存続そのものを危ぶむ声も。これに対して税の番人≠自他共に認める財務省は、驚くほど冷ややかで知らん顔。さてこうした背景に何があるんだろう?

きっかけは「ふる里」応援

 そもそもふるさと納税が始まったきっかけから。地方で生まれ育った人々は、都会の大学に進学した後、ふる里には戻らず、そのまま都会で就職したり結婚して家庭を持ったりするケースが多いんだ。そうなると当然、居住地の自治体に所得税と地方住民税を納めることになる。生まれ育った地方は小学校や中学校での義務教育の費用を負担しているのに、納税はすべて都会に持って行かれる不公平が生じていたよ。

 そこで、「自分のふる里や両親の出身地、さらに一時居住してお世話になった土地にお返しをしたい」という気持ちの受け皿として、その人が自治体を選んで寄付できるようにしたのが制度の始まりなんだ。寄付した人は確定申告をすると、住んでいる自治体に納める所得税から還付され、地方住民税は翌年に減額される仕組みさ。受け取った自治体側も、最初はお礼にカレンダーや絵はがきなどを送っていたよ。つまり、自分が収めるべき税金の一部の宛先を、変更するという形だったんだ。そのため、制度が始まって7年くらいはずっと総額500億円以下で、特に問題は生じなかった。

ネットサイトで一挙拡大

 でも、2015年くらいからふるさと納税の自治体をまとめて紹介するサイトができてきた。まるでアマゾンや楽天のネットショッピングみたいに返礼品が品別に見比べられるようになったから一挙に拡大したよ。総務省が「返礼品は寄付の3割以内に」「地場産品使用」と口をすっぱくして呼びかけても、無視する自治体が続出したんだ。年々増え続けてついに昨年は3653億円に達した。

 これだけ盛り上がったのはネットサイトの影響だけじゃない。税制改正で控除限度額(つまり戻ってくる額)が2倍になったり、還付申告がネットを使って簡単になった側面もあるんだ。

 表をみて。本来入るはずだった税金が、都会から地方に流れている実態がよく分かるよね。待機児童問題で揺れた保育園新設に、人口密集地では1カ所4〜5億円か かると言われるから、税金だけ流出する自治体にとってはたまったもんじゃない。黙って自分の住む自治体に納税し続けても、何一つ返礼品はもらえないのに、ネットで見ず知らずの自治体に寄付すれば、例えば「黒毛和牛2キロ」がもらえて得するんだから誰でもそうするよね。

怒る総務省に対し、財務省は知らん顔

総務省の理想、画餅に

 今になって怒っている総務省も、かつてはホームページで「ふるさと納税3つの意義」として、高らかにその必要性を強調していたんだ。

@納税者が寄付先と使い道を考えることは納税の大切さを知ってもらえる
A互いにアピールして自治体間競争が進めば、選んでもらえる地域になれるよう努力する
B納税者が故郷や縁のある地域に積極的に協力する意識が生まれる、

という趣旨さ。

 その考え方から言えば、豪華な返礼品競争は自治体の努力の結果なんだから、国が規制するのは筋違いということになる。

知らん顔の財務省

 この騒動に、官僚の金庫番・財務省はダンマリさ。なぜかと言うと、もともと所得税も地方住民税も総務省の所管で、財務省が持っている法人税や消費税などとは関係ないからさ。つまり財務省の役人は「こんな騒動になるのは、始めから分かっていましたよ。税配分を地方自治体や納税者に任せたら、もめるに決まっているでしょ」と静観しているんだ。財務省は地方消費税配分に関しても、1000億円単位で東京都から地方にポンと配分したりと、絶対に決定権を手放さない。彼らの方が一枚も二枚も上手さ。

 では、どうしたらふるさと納税はうまく機能するんだろう?納税者と寄付先の関係は実際に個別でチェックしようがないからすべてフリーにして、返礼品を当初のように絵はがき程度に戻すしかない。先の西日本豪雨では、被災地の自治体に返礼品なしでも13億円以上の寄付が集まったよ。2月の平昌冬季五輪でのカーリング女子銅メダル獲得で、全国から「感動した」と北海道北見市に3月だけで通常の6倍の寄付が集まった。

 「納税するだけで何ももらえないのなら、その分こっちの自治体に寄付しよう」という国民の気持ちはあくまで尊重するべき。極端にいうと、自治体側の「返礼品で9割返しても、地元産業振興になるからOK。寄付が1円も入らないより行政も潤う分、得する」という発想を変えさせないと騒ぎは収まりそうにないよ。


週刊大阪日日新聞
最新号
毎月第2・第4土曜発刊
毎月第4土曜発刊
「大阪日日新聞」
電子版
電子版の詳細はこちら
アップルストア グーグルプレイ
日日チャンネル【Gotoキャンペーン編】/「宿泊」「ステーキ食べ放題」「お酒飲み放題」で、なんと! 2,500円 だった
pagetop