週刊大阪日日新聞

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2018/9/1

大阪の防災 「防災の日」特集

 今年ほど災害が相次いだ年はない。地震に豪雨、さらには猛暑も数えるなら、まさに災害が連続する異常な年だ。しかし、ため息をついているひまはない。これから本格的な台風シーズンがやってくる。9月1日は「防災の日」。今一度、備えや対応を見直し、いざという時に「命を守る」防災力を高める機会にしたいものだ。(「防災」特別取材班)

女性用防災グッズ人気

岸和田市のふるさと納税 お礼品にも採用


▲女性にとってベストのグッズが詰め込まれた「1DAYなでしこレスキューボックス」

 「わが社が販売しているが、わが社の商品ではなく、岸和田の女性みんなの商品」と、防災グッズを製造販売する「まいにち」(岸和田市土生町)の企画広報課の西條徹さんは言い切る。この商品とは、3月に発売し人気を呼んでいる、珍しい女性用の防災グッズを箱詰めにした「1DAYなでしこレスキューボックス」で、好評を受けて、地元岸和田市のふるさと納税お礼品≠ノも採用されている。

 同ボックスに収められているのは10アイテム。「災害時には男性よりも困ることが多い女性」のために開発した。営業事務統括マネージャーの槇かなさんら女子社員と岸和田市など地域の女性を合わせて30人から聞き出した「あったらいいな」のグッズを「詰め込みました」(槇さん)というもので、軽くてコンパクトと「持ち運びやすい」点でも評価されている。

 収納されているのは、災害時に最も困るというトイレのためのグッズとして、水がいらずにどこでも使用できる「災害用トイレ処理セット」。5回分の排便袋が入っており、10年保存可能だという。またトイレ時の目隠し、あるいは防寒対策にもなる「トイレポンチョ」。着替えや授乳時にも利用できる。

 水はペットボトルよりも軽いパウチタイプを採用しており、500ミリリットル4個。阿蘇の天然水で、5年保存。電池が不要で、水に浸すと光る簡易懐中電灯、高カロリーのクッキー(3本)やようかん(2本)といった非常食、ウエットティッシュとポケットティシュ、マスク、ビニールポーチも詰められて、価格は6048円。ホームページから通販も可能である。

 しかもアイテムは希望によって「入れ替えも可能」という。例えば希望する人が多かった「生理用品」や「化粧品」といったものも選べる。

 槇さんが「女性にとってベストだと思う」という自信の商品。このボックスを実際に手にした都島区内の40代女性は「とにかくポンチョにしろ、水にしろ、どれもちょっとした心使いがうれしい。いままでになかったもので、便利で、あればうれしい」と感心した表情を浮かべた。ちなみに某トラック協会では、すべての女性ドライバーが運転席に乗せているそうだ。


備えが命を守る

大阪国際大・西岡ゆかり准教授に聞く

いざの時に疑似体験が役に立つ

大阪国際大学
西岡ゆかり准教授

 誰もが「被災に備える」ことの重要さは認識しているのだが、いざ「何を、どう」となると、判断に迷うことが少なくない。日頃から地域に向けて、防災教室や避難生活体験キャンプを開くなどの活動を積極的に展開している、災害への備えに精通する大阪国際大(守口市藤田町6)の西岡ゆかり准教授に、備えのポイントを聞いた。

 大阪府北部地震では、研究室の食器棚が倒れたという西岡准教授。まず「我が家の備え」を確かなものにするために、耐震補強をし、家具は壁や天井に固定したうえで、天井などとの隙間は隙間家具≠窿_ンボールでなくす。もちろん固定用具は壁でも柱の通っている、強度があるところでないとダメ。最近、食器棚などは揺れるとロックがかかるものがあって安全性が高くなっている。が「地震が治まって開ける時に注意。食器が飛び出してきて、思わぬけがを負いかねない」という。


▲昨年10月に避難生活体験キャンプを実施。一般参加者も多くを学んだ

 そして重い家具の横では寝ない。寝る場合には、倒れる家具を受け止めるイスなどを置く。かつては安全とみられていたトイレは「安全ではない」。脱出できなくなるので、戸は開けておく。風呂の残りは「抜かない」。入浴剤などが入っていないケースだと「布で濾(こ)し、加熱すれば飲用にも利用できる」とサバイバルの専門家らしいアドバイスをする。

 北部地震の際、止まったガスや電気の復旧を「どうするのか分らず、問い合わせが集中して、その対応が大変だったと聞いた」。自宅の元栓やブレーカーの位置は「しっかりと確認しておかなければ」と注意を促す。

 確認しておきたいのは、避難所までの道もそう。必要な荷物(非常用持ち出し袋など)を持って「行って見ておくことが大事」で、それも「明るい時と暗い時」の両方を経験しておく。それこそ道筋に危険な箇所がないかを確認したり、安全なルートを考えるなどの備えが身を守ることに繋がるからだ。

 被災後に行政などの救援が来るまで、最低でも3日間は辛抱する覚悟がいると言われている。そのために必要なのが、家庭での、命を守る備蓄食糧だ。「ローリング・ストック」が最近の主流で、これだと「わざわざ場所を取らないし、経済的にも良い」と、主婦目線で推奨する。「普段、食べているものを余分に買って、時々使っては補充する。冷凍食品でも良し、調理したものを冷凍しておくのも良し。食べ慣れたものは安心感を与えてくれ、食も進むはず」。

 そして避難生活体験キャンプを実施して、一般参加者が「ライフラインが止まった状態にいかに弱いを実感した」という。例えばトイレでは、西岡さんは「穴を掘って作ることから」と提案したが、周囲から「それはあんまり」との反対で取り止め、キャンプ場のくみ取り式トイレを使用した。ところが「ぼっとんトイ レ≠ヘ初めてと、おとなでさえしり込みし、できないと訴える人がいたのには驚いた」と振り返る。そこでキャンプなどで「一度は被災生活の疑似体験しておくことも必要では」と提案する。


防災ママカフェで「備災」指導

大阪府北部地震で募る不安


▲乳幼児の母親に備災を呼び掛けるかもんさん(右)

 乳幼児を抱える母親に地震災害への備えをしてもらうイベントが西淀川区千舟2丁目の在宅サービスセンターふくふくで開かれた。「備災」講座を全国で開くスマートサバイバープロジェクト特別講師、かもんまゆさんが、気持ちのありようを指導。大阪府北部地震に遭遇した母親の不安に応えた。

 かもんさんは、日ごろ使う「ママバック」にマスクやペットボトル飲料水を入れて防災仕様にする工夫を提案。備蓄食料について「乳幼児は食べ慣れていない物を食べない。好きな物を備蓄して」と呼び掛けたほか、親子で防災知識を深められる絵本として『クレヨンしんちゃんの防災コミック』『じしんのえほん』を例示した。


▲親子で学べる防災の絵本

 緊急地震速報のチャイム音については自分を守り、子どもを守るために行動する「ゴング」だと訴え、「ママがしっかりしていれば守れる命がある」と強調。「地震の話をすると、子どもは怖がる」と近況を語った母親に対し、かもんさんは「自分をリラックスさせなければ子どもに優しくできない」と助言した。

 イベント開催に協力したNPO法人にしよどにこネット代表の福田留美さんは「地震が再び起きればどうしようという不安があると思う」と受講者をおもんぱかり、1歳児の母親は「地震発生時は子どもと2人で、ヒヤッとした。子ども中心に備蓄したい」と話していた。

 イベントは「防災ママカフェ@にしよどがわ」と題して8月4日にあり、0〜4歳児を連れた母親ら約50人が受講した。


GO!救助犬

助かる命を見つけるために!

 ニュースなどでも被災地で活躍するイヌの姿が見られる。災害救助犬だ。行方不明者などを人間の1億倍といわれる嗅覚で、探し出すイヌである。

 大きな被害を出した、今回の集中豪雨の被災地でも、泥だらけの現地にこの災害救助犬が駆けつけている。

 災害救助犬は警察などのイヌが主力だが、今回のように、広域に及ぶ大災害時には、民間の力も必要になる。「救犬ジャパン」(岸和田市)は2016年に設立された、救助犬を育成するプロの訓練士が立ち上げた団体。6頭いる救助犬とハンドラーが生活を共にし、出動に備えている。

 ハンドラーの松林良子さんは災害に向けて「いざというときのために、大切な相棒だからこそ、日頃からペットにも訓練をしてほしい」と講習会などを積極的に開いている。

 活動資金は募金が中心。募金や公演の依頼を受付中だ。

■一般社団法人救犬ジャパン
 電話080(4240)5575


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