週刊大阪日日新聞

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2018/9/1

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

ボランティアってどうやるの?


▲広島市と社会福祉法人広島市社会福祉協議会発行の「災害ボランティアハンドブック」より

 山口県の周防大島で行方不明になった幼児(2)を68時間ぶりに山中で発見し、時の人になった大分県別府市の元鮮魚商、尾畠春夫さん(78)。新潟中越地震や東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨などに独りでマイカーで駆け付けたスーパーボランティア≠セったことが紹介され、「世の中にはすごい人がいるもんだ」と感動を呼んだ。今回はこのボランティアについて考えてみよう。

■役割は幅広い

 ボランティアとは、無償で自発的に行う社会奉仕全体を指すよ。自分の住む地域の公園の清掃もそうだし、市民マラソンやオリンピックなどのお手伝いもそう。

 被災地に入って行うボランティアには、専門系と一般系の2つがあって、専門系は現地救護所での医療や看護(医師や看護師など)、被災建物の応急処置や危険度診断(土地家屋調査士など)、外国人被災者に対する通訳・翻訳(専門学生など)を指すんだ。

 一般系はとても幅広くて、体力のある人は被災住宅などでの泥のかき出し、がれきの片付け・引っ越し手伝いなど=左下図参照。避難所などでは、到着物資・衣類の仕分け、炊き出しと配給、足湯やマッサージ、話しを聞くなど心のケア。それらを差配する災害ボランティアセンター♂^営の手伝いがあるんだ。少し落ち着いてきたら、交流イベントの開催に伴う慰問やサロン活動の手伝いなども大切だ。

■尾畠さんに学べ

 スーパーボランティア尾畠さんは、東日本大震災のとき、被災者の思い出写真を泥の中から集めてきれいにして、本人に返す作業を担当。周防大島に駆け付けた後は再び呉市に入り、被災した住宅の泥出しに日々汗を流しているよ。

 尾畠さんのいでたちがよい例だけど、服装や装備一つ取っても相当な覚悟が必要。彼はマイカーで入り、そこで寝起き。食事は持参したパックご飯と即席麺。それにわずかな梅干しなどの副食も持ってくる。現場で風呂やシャワーにも一切入らないんだって。これは「すべて自己責任で、被災地の人や組織には世話にならない」という基本姿勢を貫いているから。現地で金品や飲食物などを受けないのは当然だ。

 私は1995年の阪神・淡路大震災のとき、全国紙の夕刊編集長として何度も現地を取材で訪れたよ。海路・陸路の公共交通機関を利用し、随分遠回りして神戸市の被災地に到着したんだ。食料はもちろん飲み水も持参。寒い季節だったけれど、できるだけ動きやすい服装で、現地ではトイレを借りることすら避けた。

 私は取材があるので、高校生だった息子や娘を一緒に連れて行き、ボランティアとして子どもの話し相手や食料運びなどに振り分けられ手伝わせてもらった。人々の大災害体験が、後に日本の災害ボランティア元年≠ニ言われるようになった。

■被災地NG集

 災害ボランティアで大切なことは、まず被災した人と土地に敬意を払うこと。道路を1本隔てただけで、倒壊した家と無傷な建物が生死と共に明暗を残酷に分ける。足の踏み場のないがれきの山でも、そこに住んでいた人にとっては大切な家族との思い出が詰った生活の地。便利な現代に暮らし、当たり前になっている電気・ガス・水道が止まり、携帯だってつながらない。

 初めて訪れたボランティアは、こうした状況にあっけにとられ作業がまったく手に付かなかったり、逆にむやみにスマホのカメラをかざしたり、道端に落ちている物を記念に持ち帰ったりする勘違いサン≠ェ結構多いんだ。

 逆に被災地でハイになりすぎて、日ごろ慣れない重労働で熱中症や思わぬケガをする場合も。厳しい言い方だけど、足手まといになる行為は迷惑この上ない。さらに自分の経験や知識をひけらかしてリーダーに逆ったり、被災者と口論になるなんてもってのほか。現地入りする体力と心構えに自信がないのに、見学気分でボランティアに応募するのは絶対に止めよう。

 では、被災地に役立つ特別な資格もなく、体力やスキルに自信のない人でも

■現地以外でできる事

できることはあるのだろうか?

 まず義援金を送ること。個人が災害本部などの機関に支払ったお金は「特定寄附金」に該当し、税控除対象になる。受領証などを次の確定申告の際に税務署に提出すればいい。

 次に被災地の産品を購入すること。福島県はかつてフルーツ王国として名をはせたが、福島第1原発の放射能漏れ以来、風評被害で農作物や魚介類は価格が下がり市場に出してもなかなか売れない。

 最後は、安全宣言が出た被災地周辺の観光地をできるだけ訪れて宿泊や買い物をすること。火山性地震や津波を伴った地震など再発危険性には十分な注意が必要だけど、台風や集中豪雨は一過性。旅行予定者のキャンセルで、地元にもたらされるはずのお金が落ちなくなるのは大きなマイナスだ。

 災害は忘れたころに襲ってくる。自然の猛威に対する防災は時に無力でも、人の知恵で減災を図ることは可能。私は阪神・淡路大震災時、神戸・三宮ターミナルで、全国各地の地名が入ったパトカーや消防車がたくましく往き来するのを見て、「日本は捨てたもんじゃない!」と目頭が熱くなったよ。みんなが尾畠さんの真似はできなくても、誰でもすぐできることはいっぱいあるんだ。


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