週刊大阪日日新聞

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2018/8/11

注目集める裏スポット 

路地裏に集まる飲食店が人気に

 大阪各地で「裏」スポットが脚光を浴びている。いずれも表通りから少し引っ込んだ路地にあるが、寂れた雰囲気は一変。さまざまなジャンルの飲食店が集まり、夜になれば大勢の人が繰り出すようになった。裏といっても不健全さはない。隠れ家的なイメージが大阪人の遊び心をくすぐり、街を活気づけている。

お初天神裏参道
女性ターゲットに飲食店が集積


▲飲食店が集積し、多くの女性や若者でにぎわうお初天神裏参道

 通称「お初天神」と呼ばれる大阪市北区の露天神社北側にある奥行き約60m、幅約4mの路地は2015年3月、フレンチや串焼きなどの飲食店12店舗が集積する「お初天神裏参道」としてオープンした。現在は4店増えて16店舗に。夕方の路地沿いにはテラス席ができ、女性や若者の客で深夜までにぎわう。

 友人と訪れた大阪府豊中市の男子大学生(21)は「アットホームで隣のお客さんとの距離も近く、仲良くなれそうな雰囲気が気に入っている」と話す。

 路地はもともと飲食店街だったが、バブル経済の崩壊でシャッター通りとなった。にぎわいを取り戻そうと、地元の不動産会社「雲雀ケ丘土地」が再開発。仕掛け人となった同社の吉本草彦かやひこさん(29)は「女性をメインのターゲットとして幅広い客層を集め、ここでしか味わえない雰囲気と料理を提供する」とのコンセプトを示し、店舗の誘致を始めた。

 大手チェーンは避け、実績のある地元飲食店にこだわった。大手デベロッパーが展開する飲食店街のある梅田エリアで差別化を図る狙いだ。店舗当たりの客単価は3千円ほどで、多様な味を求めて「はしご酒」をする客も多いという。京都もつ鍋「亀八」の松畑潤一店長(32)は「元気に営業している店が多く、お客さんに『喜んでもらおう』との思いも強い」と雰囲気の良さを実感している。

 来年春までには、さらに8、9店を誘致する計画。新しく挑戦しようという若い店主を応援する意図もある。吉本さんは「大家と店、客がウイン・ウインの関係となり、みんなで作っていく通りにしていきたい」と意気込んでいる。


裏京橋
飲み感度の高い人たちの隠れ家


▲飲み感度≠フ高い人たちの心をくすぐる店舗が軒を連ねる裏京橋エリア

 仕事から解放されたサラリーマンが、仕事帰りに立ち飲みで一杯引っ掛ける夜の京橋。今、そこから少し離れた京阪本線の高架下を中心にした一帯が「裏京橋」として注目を集めている。 1人でふらっと立ち寄り、店主や常連客との会話に興じながら酒とさかなを楽しむ飲み感度≠フ高い人たちが通う店が軒を連ねる。

 JR京橋駅から徒歩約3分ほどの裏京橋エリア。以前は倉庫街だった。駅周辺の高架下の商店街には居酒屋がひしめくが、その先はひっそりとしていた。にぎやかなまちづくりにつなげようと、10年ほど前、京阪電鉄などが商店街に隣接する高架下にステージのあるダイニングレストランを開設した。

 レストランの営業が始まると、通り過ぎるだけだった一帯に飲食店ができ始めた。立ち飲み店が軒を連ねる「ディープ」な商店街と一線を画すエリアは、数年前にメディアに取り上げられ、裏京橋として紹介された。

 今では薫製や鍋の専門、魚を焼き鳥のように串で味わう魚串の店など、こだわりの店が集まる。週末は予約しないと座れないほどの盛況ぶりだ。

 裏京橋などで複数の飲食店を経営するディーライブ(大阪市城東区)の伊藤浅己社長(46)は「周辺の店舗と力を合わせ、通り全体で人を呼ぶようにしたい。駅から歩いてもらう以上は、満足度の高い店で『来てよかった』と言ってもらえるエリアにしたい」と力を込める。


ウラなんば
共存共栄で世界に通用する街へ


▲マップ作りから多様な客層が楽しむ街を目指す牧社長

 大阪で今、最も熱いエリアが「ウラなんば」だ。高島屋大阪店(大阪市中央区)から千日前通り付近の裏通りに個性豊かな飲食店がひしめき合う。若者の支持に加え、外国人旅行客や高齢者ら多様な層が共存共栄できる街を目指している。

 各地に広がる「裏○○」ブームの火付け役となった地域。空き家や事務所、倉庫が立ち並んでいたのが、今では飲食店街にすっかり変貌した。空き物件が出ると、すぐ埋まってしまう過熱ぶりだ。

 仕掛け人の一人で、エリア内に事務所を構えるデザイン・イベント企画会社「リンクコーポレーション」の牧香代子社長(42)は「ニューヨーク、パリ、ナンバと並び称される街にしたい」と将来を見据える。観光こそが人口減少時代に突入した日本を支えるとの信念からだ。

 始まりはA4判の小さなエリアマップだった。大阪・心斎橋のアメリカ村のような通称を定着させようと「ウラなんば」の名称を考案した飲食店主らと語り 合った。掲載店数は2012年の11店から、今年の第6弾は300店超まで増えた。

 店主の多くは30〜40代。無料通信アプリのLINE(ライン)でグループを作り、夜中に開く飲み会で情報を交換している。南海電鉄など地元企業との共同企画も盛んだ。

 街の変わり様に「行きにくい」という人も増えた。牧社長は昨年、シニア層も 楽しめる店を紹介する「シニア呑みマップ」を発行した。来年は訪日外国人向けのおもてなしマップを作る計画だ。「誰とでも話せて、友達になれるフレンドリーな街のモデルになれば」と話した。


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