週刊大阪日日新聞

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2018/8/11

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

熱闘甲子園に水差す スポーツ界パワハラ横行

時代錯誤の指導が問題に

 猛暑の下、第100回の夏の甲子園で球児たちの戦いが繰り広げられている。それにしても、今年はスポーツ界のパワハラや暴行・体罰による不祥事が続いているよね。2011年にスポーツ庁が誕生して、「根性主義の代償としてパワハラやセクハラに陥ることなく、スポーツを通じ幸福で豊かな生活の実践」を唱えていながら、理想とはほど遠い現場の実態が透けて見える。

相次ぐ不祥事にウンザリ

 師匠・貴乃花親方の進退問題にまで発展した貴ノ岩(大相撲)の暴行事件で今年の幕が上がり、春には女子レスリング界の栄和人日本連盟女子強化部長のパワハラ問題が。その後、日大アメフト部員の悪質タックル問題が起き、7月には日本ボクシング連盟の山根明会長を巡る一連の疑惑告発と、スポーツ界での不祥事が相次いでいるね。

 選手の非行も目立つよ。1月にはカヌー日本代表候補がライバル選手のドリンク剤に禁止薬物を入れるスキャンダルも。プロ野球巨人軍では毎年のように現役選手による賭博や暴行、内部盗難が続いていて、シーズン途中でオーナーが辞任することに。

 大阪でのパワハラ・体罰は、2012年に桜宮高のバスケットボール部で、顧問の度重なる体罰に主将が自殺した事件が記憶に新しい。

「勝てばいい」ではダメ

 今、熱戦が繰り広げられている高校野球だけど、実は豊富なお金と専門の指導者を持ち、合理的なシステムと設備やスタッフを備える私学高同士が勝利を積み重ねる競争の面が強いよ。なのに、テレビや新聞の報道は、相変わらずの汗と涙の美談ばかり。実態とかけ離れているね。無欲で甲子園に勝ち進んだ公立校との力の差が、1、2回戦での大量点差を見れば明らかだよ。

 そこにはパワハラも。人と金、モノを十分かけているのに甲子園に出場させられない指導者は、誰が見てもやり方が間違っている。それなのに、選手よりわが身の保身を優先するから、人のせいにしたり、問題を隠したりする体質になってしまう。甲子園至上主義の度が過ぎれば、出場という結果だけを欲しがるから、将来有望な選手をつぶしてしまうことだってある。

 そんななかで、私が直接お話しを伺った1982年に夏の甲子園を制した徳島県立池田高の故・蔦文也監督は違っていたよ。チームには怪物と言われた畠山準投手がいたけれど、甲子園出場を果たせたのは夏の1回のみ。その理由について監督に聞いたことがある。「あれ(畠山投手)は将来プロで長くやる子やけん。高校でつぶしたら何もならん…」。

 その後、畠山投手はドラフト1位で南海ホークス入り。大洋ホエールズにも移籍して通算16年間、投手と野手として現役を続けた。私欲を封じ選手の将来を見据える監督こそ文字通りの名伯楽だね。

 プロ野球の野村克也監督にも、指導について尋ねたことがあるよ。「おい、しっかり打て∞ちゃんと投げろ きちんと守れ≠ネどのあいまいな叱かり方をする指導者は信用できない。選手はみんな、しっかり打ちたいし、ちゃんと投げたいし守りたいんだから。なぜ、できないのかの理由を、正確に指摘してやらないと選手は伸びない。原因と対策をすぐ答えられない人のノックを何本受けても上達しない」ときっぱり。

過剰プライドは指導者失格

 そう考えると、今年スキャンダルに巻き込まれたスポーツ指導者は、どれも自分の名声や権威を重視するプライド過剰型。栄監督は手塩に掛け育てた伊調選手が巣立つことに我慢できず、内田監督と井上コーチは時代に逆行した軍隊的な強制力で選手を支配しようとしたし…。

 山根会長からは「李下に冠を正さず」「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という人の上に立つ者としての奥ゆかしさが感じられないし…。いまだ説明責任を果たさず、日本大学のイメージを著しく低下させている田中英寿理事長も同様だ。

理想のトップ、指導者とは?

 選手や指導者をバックアップするトップの理想像はどうだろう?かつて世界中に植民地を抱えた英国の海外統治手段に「君臨すれども統治せず」という言葉がある。これは君主として存在するけれど、実際の運営は現場に任せるという意味。つまり、「金は出すけど、口は出さない」というスタンス。プロ野球やサッカーJリーグのチームに対する親会社がそれに近い。

 では指導者はどうかな?今や大学の授業では、学生がスマホで先生を評価し、集計結果は学内で共有されているよ。これと同じようにSNSを使えば、どこでも誰でもクレームなどを発信できる。パワハラや体罰は、すぐネットで白日にさらされちゃうからね。

 問題発生を防ぐためにも、現場指導者には任期を設け、透明性のある数値評価を条件に再任するようにするなど、独断への歯止めが必要だよ。トップのお金にまつわる利権や強権的人事が特定の人物にだけ集中するとトラブルの元になるから、第三者を加えた公明性の確保が大切。

 スポーツ界に限らず企業や政治でも、もう「長い物には巻かれろ」「無理が通れば道理が引っ込む」は成り立たない時代。スポーツに関わる者は常にアスリート・ファースト(競技者優先)の意識を持ってほしいな。


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