週刊大阪日日新聞

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2018/8/11

ミナミが反転攻勢 

地価上昇、相次ぐ再開発… 訪日客追い風


▲地価大阪bPになった宗右衛門町の「クリサス心斎橋」

キタと異なる発展

 最近の大阪は「うめきた」を中心にキタに関心が集中しがちだ。しかし、ミナミも負けてはおらず、キタへの逆襲≠ェ話題になっている。「町のひとつひとつが個性的で、年中、祭りをやっているような雰囲気」と大阪の町に詳しい橋爪紳也さんが示すように、ミナミの最大の魅力はソフト面にある。これがキタとの違いで、インバウンド人気の高さはまさにそれ。しかもハード面での開発も進行中だ。おもしろくて、新しいミナミを追った。

インバウンドに湧く新しい″楓蜴s場

 月曜午前10時の盛り場といえば、週末の喧騒がうそのように静まり返っているものだ。ところが、近頃のミナミの「黒門市場」(中央区日本橋)は違う。最寄りの地下鉄日本橋駅を下りると雰囲気が一変。リュックを背負ったカップル、キャリーバックを引く若い女性グループ、パパを先頭に歩く親子連れなど、外国人旅行客と見られる人々でごった返す。

 混雑は市場に入ると一段と増し、祭りかイベント会場かと見間違うほど。細い通りは歳末並みの人混みで、スムーズに進めない。どの店もかつての市場と異なり、大部分を飲食スペースが占め、店頭では立ち食い客@pに調理加工した食品を並べる。店では外国語混じりに騒がしくやり取りが繰り広げられている。

 黒門市場では今や、これが日常で日曜や祭日も平日も関係なく、こんな光景が展開されている。1日平均約3万人という、びっくりのインバウンド景気だ。

 同市場で外国人観光客の姿が目立つようになってきたのは「2011年ごろから」と同商店街振興組合の國本晃生事務長は振り返る。そして「本格的に増えたのが、その翌年」だった。こじんまりしたカウンター席を設け、その場で食べられる店は以前も少しはあった。ところが「バブル後に市場全体の客足が大幅にダウンし、どこもガラガラ状態」となり、「何か手を」とイベントを打つものの「その時だけ」の状況が続いていた。

 そこへ降って涌いた<Cンバウンド景気に多くの店が飛びついた。海鮮丼が当たって、10人程度のカウンター席から100人が座れる食堂に転じた鮮魚店。神戸牛を鉄板で焼いたら、常に4、5人が並ぶようになった精肉店…。成功を目にした他の店も追従し新しい黒門≠生んだ。

 「黒門はサカナで有名だが、肉も果物も、新鮮な食べ物がいろいろあって、食べ歩きができる。必要な遊びの要素がある」のが、黒門の魅力とし「(東京五輪や未定だが万博なども控え)インバウンドはまだまだ増える」と推測しつつ「10年たったら黒門はまた変わる」と國本事務長は期待している。

訪日客の伸び率世界一

 少子化で人口は減り続けており、消費が期待できない経済事情を抱えるわが国にあって「今やインバウンドだけが経済成長の望み」といえるほどの状況が続いている。


▲平日も外国人観光客でにぎわう黒門市場

 2016年に大阪を訪れた外国人観光客は約940万人(大阪府調べ)。全国では東京、千葉に次ぎ3位だが、増加率は全国平均を大きく上回り、3年で3・6倍(大阪観光局調べ)という大きな伸びを示している。この伸びは「マスターカード」が発表したレポートでも「年平均24%」とされ、世界で最も海外旅行客数の伸び率が高かった都市として認められた。ちなみに東京は世界6位だった。

 ニューヨーク・タイムズ紙も昨年「海外旅行者から高く評価されている都市」として大阪を紹介。たこ焼きなどの独特の食文化にふれ、「大阪は同国(日本)の尽きることのない欲求(食欲)である」と魅力を分析している。

地価でキタ抜く

 インバウンド景気で元気になったのは、人気の道頓堀や黒門などの商店街だけではない。訪れる外国人観光客が年間550万人のキタに対し、ミナミは700万人と言われ、影響はミナミ全体に及んでいる。

 顕著な例が地価で、国土交通省の公示地価で、これまでナンバーワンの地位に君臨し続けたキタを抜き、ミナミの商業ビル「クリサス心斎橋」が最高価格地点となった。上昇率でも道頓堀の「づぼらや」が関西でトップになった。

 不動産需要の高まりからビジネスも活発化。外国資本の投資を含めた売買の増加に加え、新たな商業施設やオフィスビルのオープンなど新たな魅力≠フ創出にもつながっている。


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