週刊大阪日日新聞

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2018/7/28

ここまで来た!ペットライフ

 一緒に生活することで、暮らしに彩りを添えてくれ、惜しみない愛情や命の尊さをも教えてくれるペット。ペットブームと言われて久しいが、「ここまで進んだの?」と驚くようなペットビジネスも生まれてきた。

 業界団体「ペットフード協会」の全国犬猫飼育実態調査結果によると、2008年には1310万1千頭いた犬の飼育頭数は、17年には892万頭と減少傾向が続いている。一方、猫の飼育頭数は952万6千頭となり、初めて犬の飼育頭数を上回った。

 犬が減った要因に挙げられるのは、飼い主の高齢化。飼い主自身が体力的に散歩や世話が難しくなるケースもあるが、食事や屋内飼育の増加など犬を取り巻く環境が以前に比べて改善したことで長寿化が進み、飼い主に金銭面や介護面で負担が増しているとの見方もある。

 家族の一員≠ナあるペットといつまでも健やかに暮らすためのサービスも充実。ペットと一緒に暮らすことを前提にした有料老人ホームや賃貸マンション、ペット同伴でないと泊まれないホテルなど、ペットライフの最前線を紹介する。


介護グッズも多彩に

歩行補助バンドに防護マット…


▲認知症になり、室内を動き回ってけががないように設置する防護マット

 犬の平均寿命が30年前と比べて2倍近く延びたとも言われる時代。人間と同様、高齢化に伴って寝たきりや認知症になる飼い犬が増加している。飼い主の介護負担を軽減しようと、ペット用品も多様化が進み、介護ビジネスも花盛りだ。

 「高齢の人がペットを飼うのが体力的にも金銭的にも難しくなり、最期まで一緒に暮らしたいと思ってもさまざまな障害がある」と話すのは、ペット用品の通販事業などを手掛ける新日本カレンダー(大阪市東成区)ペピイ事業部の平尾泰久事業部長。

 同社はもともとカレンダーを扱う会社だが、動物病院との仕事も多くつながりがあったことから、ペット事情の変化に着目。1994年にペット関連の同事業部を立ち上げた。


▲階段の上り下りや歩行を補助するバンド

 8〜10歳にもなれば老化が進む犬が多く、足腰が弱くなり、立てなくなることも。30〜40キロもある大型犬だと、飼い主の高齢者が持ち上げるのも一苦労で、これをサポートするバンドがある。認知症になると、しっぽを追いかけ回したり、徘徊(はいかい)して部屋の中の隙間に挟まったりすることも。これを防止するガードも重宝する。床ずれを予防する肘当てや尿漏れを防ぐおむつ、寝たきり予防の体位変換クッションなど、多岐にわたる介護グッズが開発されている。

 同社はこれまでに約4千点を開発し、そのグッズも一層多様化が進む。平尾部長は「今はペットを飼うというより、ペットと暮らす時代。いつまでも元気で楽しく暮らせるよう、さまざまなグッズでお役に立ちたい」と話している。


ネコ専用マンション

入居希望が殺到するFelisフェーリス北堀江(西区)


▲猫と快適に暮らすための工夫が施された室内

 猫と暮らす単身者向け賃 貸マンション「Felis(フェーリス)北堀江」(大阪市西区)は、多くの猫好きから人気を集めている。白を基調とした明るい室内では、猫と快適に過ごすための工夫が凝らされている。

 大阪メトロ西長堀駅近くの閑静な住宅地にある鉄骨造り10階建てワンルームマンションで、2012年に完成。室内は猫のトイレ専用スペースを備え、リビングの扉はくぐり戸付き。壁の一部は爪を研いでも傷つかない硬い素材を使った。天井付近には透明のキャットウオーク(猫の通り道)を設置し、下から肉球を見て楽しめる。

 完成当初から入居希望者が相次ぎ、今年6月現在、27戸中空き部屋は2戸のみ。若い世代が多く暮らす地域で入居者は20代〜30代前半が占める。入居希望者からは「実家から独立する際に飼っている猫と一緒に住みたい」「これから猫を飼いたい」などの要望が多いという。

 管理会社の「商都」(本社・同市東住吉区)によると、ペット共生型マンション自体が少なく、壁が傷つくため猫の飼育を禁止する物件も多い。同社は「ペットを飼っている人の方が絶対的に少ない中で、猫専用のマンションは珍しい。少ないからこそ成功しているのでは」と分析。近くの動物病院と提携し、飼い主の安心面を確保している。

 来年は、JR塚本駅近くに規模を拡大した猫専用共生型マンションの建設を予定している。


老人ホームも愛犬・愛猫と一緒に

ペピイ・ハッピープレイス(東成区)


▲キャットウオークなどペットとの生活を前提に設計された部屋

 大阪市東成区に完成したペット共生型有料老人ホーム「ペピイ・ハッピープレイス TAMATSUKURI」が、入居者の募集を開始した。「ペット飼育可」の老人ホームは増えてきたが、ペットとの同居を前提に設計された老人ホームは珍しい。施設内にはペット用診療室やドッグランなどを設け、ペットシッターによるサポートなどのサービスも充実させる。

 同区の新日本カレンダー(宮崎安弘社長)のPHP事業部が運営する。本社の隣地約1200平方mを取得、鉄筋コンクリート造り9階建て延べ約3700平方mの施設を完成させた。

 入居条件は60歳以上で、ペットを飼育しているか、入居後に飼育する人。夫婦など2人での入居も可能で、犬は2頭、猫は3頭まで飼育できる。


▲今年3月に完成したペット共生型有料老人ホーム「ペピイ・ハッピープレイスTAMATSUKURI」

 部屋のタイプは1ルームが26戸、1LDKが19戸の計45戸。部屋によって、犬が寝床にするペットスペースや天井に近い場所の猫用廊下「キャットウオーク」を設け、24時間換気や滑りにくい床などを採用した。入居者向けの看護や介護などの在宅サービスも利用できる。

 現在、全国から約650件の問い合わせが入っている。希望者向けの入居体験なども実施して、秋頃の入居開始を目指している。

 同ホームの平尾泰久ゼネラルマネジャーは「高齢になると、動物との暮らしにさまざまな不安が増えてくる。ここにはペット関連の施設や専門家もそろっており、お年寄りの方が安心してペットと暮らせる環境を提供したい」と話している。


愛犬と泊まれるホテル

狗賓ぐひん(鳥取県伯耆町)


▲国立公園・大山をバックに愛犬とゆったりとした時間を過ごせる「狗賓」

 愛犬と一緒に宿泊できるホテル「狗賓」が5月、鳥取県伯耆町にオープンした。国立公園・大山の中腹に位置し、天然芝のドッグランを設け、スキーやゴルフなどを楽しむ利用者には愛犬の一時預かりも行う。西日本ではペット同伴型のホテルは珍しく、全国から宿泊予約が入っている。

 敷地約1万5千平方mで、大手企業の保養施設を改装した最大3階建ての建物はレストラン棟1棟、客室棟2棟、温泉棟2棟の計5棟。いずれも鉄筋コンクリート造りで、延べ床面積は約3600平方mとなる。


▲愛犬と一緒にくつろぐことができるデイベッド付きの室内

 客室数は20室。最大約70平方mの部屋にはセミダブルベッドが二つ置かれ、ソファとしても使えるデイベッドで愛犬とくつろげる。自家源泉による岩風呂とひのき風呂も備える。料金は1泊2食付きで2万円〜3万5千円程度。

 ドッグランは室内外に3カ所あり、栄養を考えた愛犬用の食事も提供する。愛犬の預かりサービスは今年秋から開始する予定。

 真田怜宰支配人は「おかげさまで1日当たり10件近くの問い合わせをいただいている。地元の食材を使った料理への評価も高く、多くの愛犬家にゆったりとした時間を過ごしてほしい」と話している。


加入率高まるペット保険

長寿命化で医療費が高額に

 ペットの寿命が格段に長くなった分、のしかかるのが医療費だ。人間と違いペットには公的な健康保険制度がなく、治療費は全額自己負担。

 統計によると、犬・猫にかる手術費用の平均は約15万円。ペットの生涯にかかる医療費は、犬の場合は平均で109万2208円(※年間の医療費平均8万4016円×犬の平均寿命13年)と高額だ。

 そこで、通院費用・入院費用・手術費用などをカバーしてくれるペット保険の加入率が高まっている。主な対象は犬と猫だが、保険会社によってはウサギやフェレットなどの小動物、鳥、爬虫(はちゅう)類も入ることができる。

 加入できる年齢は、犬が10歳程度、猫は8歳程度まで。「かかった診療費の何%が補償されるのか?」を指す補償割合があり、「100%」「90%」「80%」「70%」「50%」などと保険会社やプランによって異なる。「いざというときのために補償割合を大きくするか」「保険料を安く抑えて補償割合を低くする」かの選択も大切だ。

 ペット保険はいずれも全国どこの動物病院で診療を受けても補償されるのが一般的だが、病院の窓口で直接割り引かれる「窓口割引型」と自分で立て替える「立替請求型」の二つがある。「窓口割引型」は動物病院で、保険による給付分を差し引いて自己負担分だけ支払う。保険加入を証明するカードなどを提示すれば、その場で精算が完了し手軽だ。「立替請求型」は動物病院で治療費の全額を支払い、後日、保険会社に保険金を請求。多くのペット保険はこのタイプが多い。


体と心を癒やすタッチケア

愛情ホルモン「オキシトシン」を分泌

 「ワンちゃんとあなたの笑顔プロデューサー」として、ドッグマッサージなどのセミナーを行う「HapWan〜はぷわん〜」のペットケアセラピスト、多田綾子さん(48)。パートナー(愛犬・愛猫)と飼い主の両方が、「心もからだも癒やされた最高の状態」で幸せに暮らすアドバイスを行っている。

 多田さんが行う「プレイズタッチ」は、愛犬や愛猫の体にやさしくふれるタッチケア。飼い主とペットの互いの体と心の健康に役立つという。

 ツボ押しのマッサージとは異なり、圧をかけずにさまざまな方法でふれていくこのタッチケアは愛情ホルモン≠ニも呼ばれる「オキシトシン」の分泌を誘発。体の健康と心(精神、感情)の安定を促し、お互いの絆が深まるという。


▲愛犬家の前でタッチケアを実演する多田さん(右)

 「犬と人間の筋肉の収縮の仕方は同じ。運動すれば疲労物質の乳酸が発生し、体内のph(ペーハー=水素イオン濃度を示す指標)が下がります。運動や散歩で発生した酸を血流に乗せ、肝臓や筋肉に還流させることで疲労の回復が早まる。タッチケアにはその血液還流を促進する効果もあるんです」。

 タッチケアが病気の早期発見につながることも。体を触ることで腫瘍(しゅよう)やリンパ節の腫れなど、異常をいち早く検知することも可能だ。

 多田さんは「犬のためにケアしてあげるのではなく、一緒に楽しむ姿勢が大切」と話している。

《プロフィル》2009年に夫婦と、チワワとダックスのミックス犬、うめちゃん(現在11歳)とゆずちゃん(9歳)の2頭と暮らし始め、犬のすばらしさ、人に与える影響の大きさに気付いた。犬についてもっと知識を深めたいと考えるようになり、2013年6月からHappy Wanko Lifeを縮め、「HapWan〜はぷわん〜」として活動を開始。犬のケアや、自己啓発・美脳セミナーを開催している。hapwan@gmail.com


先進医療で負担を少なく

クウ動物病院 動物内視鏡医療センター


▲最新の医療機器が整っている手術室

 内視鏡手術(腹腔〈ふくくう〉鏡、胸腔鏡など)を中心に、動物に負担の少ないやさしい医療を目指すクウ動物病院動物内視鏡医療センター(鶴見区、院長・吉田宗則獣医師)。

 診療対象は犬と猫で、怖がりな猫のために一部に猫専用スペースを設けている。診療科目は一般外来(治療・検査・予防)▽外科手術、不妊化手術▽内視鏡外科▽消化管内視鏡▽専門外来(皮膚科・麻酔科)。眼科と歯科は来春から治療をはじめる予定だ。

 動物の負担の少ない低侵襲医療を目指し、最新の検査医療機器と内視鏡をはじめとした先進医療と専門医療に特化した手術設備を整え、安全性の向上に努めている。手術では麻酔専門医と協力し、「より安全で負担と痛みの少ない外科手術」(吉田院長)を目指している。

 同院の強みは四つのクウ動物病院グループの形成だ。グループの外部専門医とも協力し、高度医療と専門医療にも力を入れ、専門外来の相談も受ける。このため、日々の健康管理や健康診断から、愛犬(猫)の調子の悪いときなど、あらゆる不安な症状も相談でき、飼い主にとっては心強い。セカンドオピニオンも積極的に受け入れている。

 吉田院長は「ご家族が安心して治療を受けていただけるようにインフォームドコンセプトを大切しています。ホームドクターとしてご家族様には可能な限り理解しやすい言葉を用いてご説明させていただいております」と話している。

◇     ◇

 大阪市鶴見区鶴見3-12-25、電話06(6967)8668。診療時間=午前10時〜午後12時30分、午後5時〜同7時30分、水曜休診。


最期を任せられる安心の寺院

泰聖寺


▲花と緑に囲まれた樹木葬にはペットと一緒に埋葬することも可能な自然葬式合同墓もある

 大阪最古の歴史を持つ天王寺区下寺町にある泰聖寺には、ペットと飼い主が一緒に入れる理想の墓がある。3世帯に1世帯はペットを飼っている、このご時世。ペットフードの質が良くなったこと、獣医師技術の向上などにより、ペットの寿命も延びてきている。一緒に過ごす時間が長い分、「家族同様、自分の子どものように育てて来た」という飼い主の声も多い。このため最期もしっかり供養して見届けたいと、最近では個別火葬を希望される人も増えてきた。

 しかし、良心的な斎場ばかりではなく納得のいかないケースもある。納骨堂や霊園の経営悪化や火事などの災難で再建されないまま、閉鎖したケースもある。「山や川に不法投棄された」「法外な料金を請求された」「お経がテープだった」など、悪質な事件やケースもある。「これでは、飼い主もペットもいたたまれない。そうならないためにペットの終焉活動をしてほしい。」と同寺の住職は呼びかけている。トラブルに遭わないために同寺住職が提唱する《後悔しないための確認8カ条》は


▲泰聖寺の釈迦納骨堂

●ペットが生きている間に必ず事前見学する
●口コミを重視し、ホームページの掲示板を確認する
●固定炉で立会いプランがある(訪問も可能か確認)
●複数の業者に見積もりを取る
●火葬後に高額請求されないように、ペットの体重による総額を書面で確認する
●火葬埋葬証明書が発行されるかどうか確認
●月例法要や動物供養祭が定期的に実施されているか確認
●永代供養納骨が可能な安心できる寺院と提携している業者を選ぶ

 建立250年以上の歴史を有する泰聖寺では、読経・火葬・収骨で1万〜4万円。共同墓納骨は1万5千円から。人間と同じような供養をしてくれる。境内で保護猫活動もしている純空壮宏住職は、「ペットブームではあるが、何より飼う前に最期まで責任を持てるかしっかり考えてほしい」と切実に語っていた。


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