週刊大阪日日新聞

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2018/6/23

新入試にどう対応 私学、学習塾で取り組み加速

20年度から「センター試験」→「大学入学共通テスト」


▲グループに分かれて全体追求の振り返りや、さらなる追求を行う類塾の新しい寺子屋「天才教室」

 現在のマーク式の「大学入試センター試験」は2019年度の実施を最後に廃止され、20年度からは思考力、判断力、表現力がより問われる「大学入学共通テスト」が導入される。新しいテストの実施だけでなく、大学入試改革、さらには高校教育、大学教育を含めた「高大接続の三位一体の改革」が進む。学校教育は、「知識の習得」を中心とした従来の学習から、「知識の活用」を目指すスタイルへと大転換を迫られる。こうした改革に伴う「学び」の変化や最新情報を報告する。

21世紀型教育に取り組む各校


▲サイエンスプログラムで太陽エネルギーの測定をする常翔学園中の生徒

 常翔学園中学では21世紀型スキルを身につける4つのプログラムを策定。その一つに実際に見て、自身で実験して検証するサイエンスプログラムがある。これまで再生可能エネルギーの性質を学び、環境に優しい「ソーラーカーの制作」をはじめ多様な水せい生物が生息している淀川ワンドの水質の調査、太陽光を集める装置を用いて水を温め、太陽エネルギーがどれくらい集まるか測定している。

 同校では『本物に触れる』をテーマに興味を持つ・調べる・発表する流れを大切に、実験を中心とした授業に取り組んでいる。

学習塾でも課題解決型授業

 40年以上にわたり大阪で学習塾を経営している類塾では新しい寺子屋「天才教室」を開講。「小学4年〜中学3年」のコースでは「探求科」+「五教科」+「作文指南通信講座」を組み合わせて人間力・追求力を鍛えている。

 実際に探求科の授業を体験させてもらうと、5教科の枠を超えて、「能力・人間力・仕事力系」や「経済」などをテーマに仕事の世界や社会の生々しい現象に対して「何?」「何で?」とテーマのポイントを参加者全員で出し合って追求。さらに、6人前後のグループに分かれて全体追求の振り返りや、さらなる追求を行い、内容を定着、深化していく。

 類塾では「天才教室」の授業を保護者にもフルオープンしており、参加した中3男子の保護者は「子どもたちがこんなに真剣に課題に取り組み、一人一人が自分の考えを持って、人に伝えることができていて感心させられました。私の方が勉強させられました。家でも息子と会話をもっと多くし、考えや意見などを聞かせてもらいたいと感じました」と感想を述べている。

 新里勝一郎講師は「自分の頭で考え、お互いの考え方、問題や解法への気づきを共有することで、自分一人の思考の壁を越え、思考力や発想力を深め広げていけます」と話している。

先が見えない現代社会

 今後、日本は急速に少子高齢社会を迎え、それに伴い、生産年齢人口の急減、労働生産性の低迷、産業構造や就業構造の転換などへの早急な対応が求められている。

 一方で国際的にはグローバル化・多極化の進展、新興国・地域の勃興といった変動が起こっている。このような先の見えない状況のなかで、国は「自ら問題を発見し、他者と協力して解決していくための資質や 能力を育む教育が必要である」という考えが改革のベースとなっている。


思考・判断・表現力を重視

 今回、国が進める改革は高校と大学、そしてそれをつなぐ大学入試の一体的な改革だ。

 高校では、学習指導要領の抜本的な見直しが進められ、教授・学習法のアクティブ・ラーニングの視点からの充実が行われている。次期学習指導要領は「何を教えるか」だけでなく「どのような力を身に付けるか」という観点も重視する。適用は今の小学6年(18年4月時点)が高校生になった時から適用され、主体的に探究活動を行う科目が設置される。

 大学では、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)をメインに、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施方針)、ディプロマ・ポリシー(学位授与方針)の3つのポリシーを各大学が策定し、教育を行うことになる。

 また、大学入学者選抜では、現在のセンター試験を廃止し、これまで以上に思考力・判断力・表現力を中心に評価する「大学入学共通テスト」を導入する。

 17年11月の共通テストの試行調査では、すべての教科で社会とのかかわりを意識した問題が出された。国語・数学の記述式問題は、資料や図表、テキストなどを理解し、条件に合った解答を記述する力が問われた。また、授業におけるグループワークの場面が扱われるなど「探究活動」を意識した出題も目立った。

 新入試の英語は「グローバル化などの社会変化に伴い、コミュニュケーションを取る手段としての使える英語力が測られる」(大手進学塾の入試担当者)。このため、これまでの「聞く・読む」の2技能に加えて資格、検定試験を併用して「話す・書く」を含めた4技能が課される。


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