週刊大阪日日新聞

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2018/6/9

JRおおさか東線 全線開通へカウントダウン

鉄道空白地の解消へ 来春開通へ工事急ぐ


▲JR京都線を立体交差でまたぎ、南進するおおさか東線。関西の新たな南北軸となる
=大阪府吹田市(大阪外環状鉄道提供)

 JR東海道線新大阪駅から関西線久宝寺駅に至る新路線「おおさか東線」(20・3キロ)が、2019年春の全線開通に向けカウントダウンに入った。構想から半世紀以上を経て大阪東部の縦軸が完成することになり、沿線の市街地再生と活性化に期待が高まる。

【おおさか東線】 1931年に開通した城東貨物線を複線電化し、JR新大阪駅から大阪東部地域を経て久宝寺駅に至る旅客線を整備する事業。沿線の要望を受け都市交通審議会は63年に「新設すべき路線」と位置付けるなど半世紀前から構想があった。81年に運輸相が事業認可を出したが国鉄再建などの影響を受け事業は進まず、認可はJR西日本に継承。96年に建設主体となる大阪外環状鉄道が設立され、99年に工事着手。2008年に放出―久宝寺間が先行開通した。

御堂筋線の混雑緩和も

半世紀前から

 おおさか東線は戦前に整備された城東貨物線を複線電化し、旅客用として再整備する事業。半世紀以上前から構想があったが、国鉄民営化後に具体化。大阪府・市など沿線自治体、JR西日本でつくる第三セクター「大阪外環状鉄道」(本社・大阪市中央区)が建設主体となり、1999年に工事着手した。

 建設と施設保有は同社が進め、開通後はJR西が列車を走らせる「上下分離方式」で整備。2008年3月には南区間の放出―久宝寺間(9・2キロ)が先行開通した。

 新たに開通するのは新大阪―放出(11・1キロ)の北区間。西吹田、淡路、都島、野江(いずれも仮称)の4駅が新設される予定だ。JR西は「19年春の開業に向けて準備を進めている」と公表しており、ダイヤ改正が行われる同年3月にも旅客列車が走り始める見込みだ。

鉄道網充実

 北区間の整備により、旭区、都島区、城東区など大阪市東部の利便性は飛躍的に向上。従来はバスしか移動手段がない「鉄道空白地」が解消されて通勤・通学が便利になり、新たなまちづくりが期待される。

 大阪中心部からはJRや地下鉄、私鉄の各線が放射状に伸びているが、おおさか東線は各駅で各路線と接続する。都心部に入らなくても乗り換えが可能となり、地下鉄御堂筋線など主要路線の混雑緩和にもつながる。

 東海道新幹線新大阪駅と直結する意味も大きい。奈良方面から新大阪への新たなルートが生まれ、JR大阪環状線を経由した従来ルートをショートカットするバイパス≠ニしても活用できる。工場が集積する東大阪市から新大阪駅へのアクセスも容易になり、府の担当者は「ビジネスチャンスの拡大」にも期待する。

8割が完成

 大阪外環状鉄道によると、今年3月末の工事進捗率は約80%と順調。発着点となる新大阪駅のホーム増設、東海道線から貨物線に接続する新線区間の建設もほぼ終わり、新駅も形が見え始めている。同社は「地元の皆さんに愛され通勤や通学、レジャーに使っていただける路線になれば」としている。

 一方、同線は新大阪駅で梅田貨物線に接続する構造で、将来的にはJR西が整備を進める北梅田駅(仮称)への乗り入れも可能。北梅田駅から南進する「なにわ筋線」計画との関連も注目される。


にぎわい復活に期待

旭区・都島区北部


▲新たに開業する都島駅(仮称)。周辺住民から地域活性化の起爆剤にと期待が寄せられる=大阪市旭区

 おおさか東線の北区間沿線では再開発や人口増といった効果が見込まれ、開通を待ち望む住民や不動産関係者、商店経営者らは多い。最寄り駅まで徒歩20分超で鉄道空白地≠ノなっている大阪市旭区や都島区北部では、地域住民や不動産関係者から両区をまたぐ都島駅(仮称)への期待感が高まっている。

 同駅周辺に二つの団地を持つUR都市機構西日本 支社(同市北区)の担当者は、賃貸情報サイトでは 駅近≠ェ選ばれる傾向が強く、「最寄りのバス停だけでなく、最寄り駅が表記できる」と都島駅新設の利点を強調する。同駅ができる影響からか「3月は内覧に使える空き部屋がなかった」と明かす。

 駅がない地域だが、かつては市電が通り、紡績工場の従業員やその家族らが往来。同駅南西の蕪村通り商店街には約100の商店や三つの映画館が軒を並べていたが、1968年に市電が廃止された以降はシャッターを下ろしたままの店が増え、店の数は当時の2割程度まで減少した。

 周辺住民らは、同駅開業で地域に活気が戻ることを期待。

 近くで父の代から70年近くにわたってソフトクリームを販売する長島勝彦さん(62)は「新大阪駅や学研都市線と直結するので、若者にも便利になる。人通りが増え、少しでもにぎやかになれば」と話す。

 同商店街の現状を「今はどん底」と受け止めている金子清治会長(70)は、都心部が近い割に他地域と比べて家賃や土地代が安く、北区間が開通すれば居住地として魅力的な地域になると指摘。「若い家族に転入してもらえるよう、もっと積極的に地域をアピールしないと」と意気込む。今後はアクセサリーなどを作る若手クリエーターらを集めたイベントを定期的に開き、商店街への出店の動機づくりに努める考えだ。

 一方、課題もある。近くに住む男性会社員(64)は「送り迎えの車が道をふさいで車庫に車が入れられなくなるのでは」と懸念。放置自転車が増えかねないとの意見もあり、旭区の担当者は「駐輪場の増設など解決に向けて取り組む。区民にとって住みやすくしたい」としている。


コンビニから野菜の栽培工場まで

高架下を有効活用


▲高架下のビニールハウス内では野菜を育てる工場として活用が進む(大阪外環状鉄道提供)

 大阪外環状鉄道は「沿線企業や地域の発展に寄与したい。利用条件はあるが、アスレチックルームや釣り堀といった自由な発想で提案してほしい」とし、従来の形に縛られない使い道を期待する。

 既に開通している「おおさか東線」の久宝寺─放出間(9・2キロ)では、高架下の活用が進んでいる。駐車場、駐輪場、コンビニや居酒屋などに幅広く活用され、中には野菜栽培工場といったユニークな例もある。

 管理する大阪外環状鉄道によると、利用区画の約7割は埋まっており、一番多い活用法は駐車場と資材置き場。周辺より比較的低価格に設定され、長期使用が可能なことが人気につながっている。

 JR俊徳道─長瀬間(東大阪市)の2区画約860平方mでは、高架下にビニールハウスを設置して葉物野菜を水耕栽培している。障害者就労支援の場として社会福祉法人が利用しており、「まちの中心部に近く納品なども便利。雨風や直射日光も防げる」と高架下の使い勝手の良さに納得する。


若年層の定住を

将来ビジョン2022策定 大阪市旭区

 安心して住み続けられるあたたかいまちに─。大阪市旭区は5年後を見据えた「旭区将来ビジョン2022」を策定した。従来のビジョンを継承しつつ、安心して子育てができるまち▽優しさあふれるまち▽活力あるまち▽安全に暮らせるまち─の4本柱を打ち出し再スタート。実現に向け歩みを進める。

 新ビジョンでは地元に帰ろう!旭区に住もう!≠キャッチフレーズに、魅力あるまちづくりを展開。妊娠期からの切れ目ない子育て支援を強化し、子育て世代の住みやすさに力を入れる。

 来春開通予定の「おおさか東線」も大きな弾みになる。鉄道空白地帯≠ニなっている区の西端に都島駅(仮称)が完成。新駅が誕生する城北地区は元来、周辺地域のベッドタウンとして多くの住宅が建ったエリア。かつては商店街も多くの買い物客らでにぎわっていた。現在は独居世帯も増加、若者の流出も目立つ。

 旭区企画調整課の松原俊幸課長は「新駅周辺に子育て世代が住みやすいような手頃な価格のマンション、アパートが建つのでは」と若年層の定住増に期待を寄せる。

 おおさか東線の開通で通勤・通学の選択肢が広がることから、区民の足≠ニなっている「あさひあったかバス」との連携も模索する。


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