週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2018/6/9

企業の人手不足 わが社はコレ≠ナ解決

働く側の視点がヒント


▲アットホームな雰囲気を売りに人材を確保するスニップ都島本店=大阪市都島区

 人手不足が深刻化する中、働き方や職場の慣行を見直し、女性の労働力を高めようとする企業が増えている。さまざまな人材の活用で生産性を上げるダイバーシティー(多様性)戦略としても、女性の活躍を後押しする動きは加速しそうだ。一方、実施となると悩む企業も多い。先進的に取り組む関西の現場を訪ね、秘訣を探る。

 神戸市長田区の商店街。商業施設の一角にある部屋で、就学前の子どもたちが絵本の読み聞かせやボール遊びを楽しんでいた。

 ガラス窓で隔てた隣のオフィスでは、母親たちがパソコンに向き合う。「そばで様子を見守りながら働けるのでとても安心です」。長女(3)と出勤してきた藤田愛香さん(32)がほほ笑む。

隙間♀用


▲仕事の合間に子どもの様子をガラス越しに確認できるママスクエア神戸新長田店

 託児所を併設したオフィスを展開する「ママスクエア」(東京)の神戸新長田店だ。女性10人が 登録し、企業から請け負ったデータ入力や電話対応などの業務をこなす。

 働く時間はそれぞれの都合に合わせて決められ、子どもの学校滞在中や家事などの隙間時間≠ノ仕事ができるようになっている。

 藤田さんは出産前、小売業で働いていたが、産休や育休を取ることができず退社した。「この職場だと融通が利くし、同じ境遇の母親たちと悩みも語り合える」

 同社は全国20カ所に直営店を展開。各地の自治体とも連携し、空き家や空きビルの活用で雇用創出も狙う。担当者は「ママさんたちの潜在的な力が戦力としても注目されている」と説明する。

人間関係を重視

 大阪市内に9店の美容室を構えるSnip(スニップ)は、65人の従業員の約8割が女性。今夏、新たに1店を開業し、多店舗展開を加速させる。

 理美容業界は離職率が高い。就職から1年以内に半数、3年後には8割が辞めているのが現状で、慢性的な人材不足に陥っている。

 打開策としてスニップが重視しているのは「人間関係」だ。一緒に働きやすい仲間を発掘しようと、採用試験はスタッフ全員が面接官となり、投票形式で合否を決めている。離職率は年10%以下に減少したという。

 都島本店のスタイリスト、浜田光葉さん(25)は「アットホームな雰囲気が人材を集まりやすくしている」と話す。

多様な働き方

 国の2014年調査によると、働くことを希望する女性は全国で303万人に上るが、このうち3割が働けない理由として「出産・育児」を挙げている。もはや企業にとって仕事と子育ての両立は当然の目標だ。

 スニップでは、家事などで早めに仕事を終えたいという母親も少なくなく、全店の閉店時間を1時間早めた。このうち1店の定休日をあえて稼ぎ時の日曜・祝日にするなどの対策も。

 川口英一社長(40)は「スタッフのやりがいとモチベーションが活性化を生んでいる。女性はさまざまな事情を抱えているので、今後も個々を尊重して多種多様な働き方に挑戦したい」と意気込む。


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