週刊大阪日日新聞

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2018/4/28

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

セクハラは、パワハラと表裏一体

 財務省の事務方トップ福田淳一事務次官=4月24日付辞任=のテレビ朝日女性記者に対するセクハラ言動が、政権を揺るがせている。テレビ朝日が事態をおおやけにするまで、次官をかばい続けた麻生財相のぶっきらぼうな言動や省幹部の認識の甘さが、森友・加計問題で足腰が弱っている安倍政権の存続さえ危うくしかねない事態を招いた。

 内外政局や国際関係はともかく、一国の政権や官僚機構さえ揺るがせかねない、今どきのセクハラ問題について考えてみよう。

セクハラは不快な性的言動すべて

 まずは「何をセクハラと呼ぶか?」について整理してみる。基本的には「職場における性差別的な要素を含む、一切の言動」を指し、男女雇用機会均等 法≠ニいう法律で、事業主は対応を義務付けられている。「職場における」とは、上司や同僚、部下だけでなく、取引先も含まれる。また男性が女性に対する行為だけでなく、女性から男性、または同性同士でも成立する。場所も会社に限らず、仕事の延長線上にある飲食店や家屋、街頭なども対象だ。

 具体的には、@体に触れるA俗にいう下ネタ≠含む性的な言動B交際や結婚、出産について聞くC飲み会や食事などでの言葉や無理強いD周囲が不快に感じる写真などを見せたり、自分の肉体の自慢などがある。

 体に触れるのは一発でアウト。コミュニケーションのつもりで肩に手を回したり、「疲れたでしょ」と肩をもんだりするのも、相手が不快ならセクハラになる。

多い職場恋愛との勘違い

 ふと疑問に思うのは「職場恋愛はどうなるの?」ということ。社内恋愛で、交際して付き合いや結婚はよくあるし、仮に不倫関係でも双方が合意なら法的には問題ない。

 ここがセクハラとの境界線で最も厄介な点だ。つまり、男性が「オレに気がある」と勝手に思い込んで、職場や出入りの女性にそうした恋愛感情を伴ったアプローチをすると、結果的にセクハラになることが。女性も相手に好意を抱いているなら、「うれしい」と受け止めることもある訳で、判断が難しい。

 結論としては、男性は誘いを断られたら無理強いしないこと。間違っても逆恨みして嫌がらせしない。女性も難しいかもしれないけれど、きっぱりNOの意志を示して、相手に妙な気を持たせないことがトラブル回避につながるよ。

のぼせ上がったオヤジ次官

 そう考えると、福田次官とテレ朝記者の関係が透けて見える。60歳近い既婚者の次官は「この女性記者は自分に好意以上の感情を持ってくれている」とすっかりのぼせ上 がっていた。やり取りが明るみに出ても「まさか彼女がおおやけにするはずがない」と勝手に思い込んだ。

 一方の女性記者は、2人だけで食事や酒の席を一緒に過ごすのはあくまで取材の一環。次官の言動がエスカレートしたことで身の危険を感じ、やり取りの音声を隠し撮り。「これは行政トップによるセクハラです」と上司に報告。

 ところがテレ朝社内ですぐにき然たる態度で財務省へ対応しなかったため、業を煮やした女性記者が今度は週刊新潮に持ち込んだという流れだと思うよ。

 悪いのは、のぼせ上がって女性記者と疑似恋愛しているつもりだった中年おやじ次官。どんなにあがいても社会的地位と過去の実績を一瞬でふいにする痛恨の振る舞いだった。

女性活躍の真の実現を

 日本は昔から「英雄、色を好む」とか「下半身に人格なし」などと都合のよい理由を付けて、男社会が長かった職場を中心に、雇い主や上司によるセクハラとパワハラが混然一体で存在していた。そうした時代に働いていた女性は、今では明らかなセクハラとなる事態でも、雇用形態も含め弱い立場だったので、ジッと我慢して誰にも言えないことが数多くあった。

 昨年、全米で吹き荒れた芸能界や体操界のセクハラや性暴力も、プロデューサーやチームドクターという圧倒的優位な立場を利用したパワハラの延長が根底にあったことを忘れてはならない。

 ある調査では、セクハラ被害者の6割以上は「がまんした、何もしなかった」と答えている。社内外の相談窓口に行ったのはわずか3%。われわれもただあきれ返って事態の推移を見守るだけでなく、周囲にそういうケースが隠れていないか、いま一度見回してみる必要がある。


最近のセクハラ主な騒動

●一昨年の米国体操界で、チームドクターによる女子選手へのセクハラや性暴力が告発により発覚。刑事事件として有罪判決。

●昨年の米芸能界で、大物プロデューサーや有名俳優によるセクハラや性暴力が発覚。業界追放などが相次いだ。#MeTooや#TimesUpなどのネットの呼びかけによる社会運動に発展。

●昨年の総選挙で当選した立憲民主党の男性議員(比例東海)が20歳代の元女性秘書へのセクハラで告発され、無期限党員資格停止処分。

●昨秋、岩手県岩泉町の町長が、取材のため同町内に宿泊していた地元新聞社の女性記者の部屋に押しかけ、抱きつきキスを強要。数カ月後、事実関係を認め辞職。

●2月、東京・狛江市長が市職労から「女性職員に対するセクハラ」で抗議文。市議会は「市政混乱」を理由に減給20%2カ月の処分。市長は否定。

●4月、厚労省健康局長が、部下の女性職員にしつこく食事などに誘うメールを送り、口頭注意処分。

●4月、財務省福田淳一事務次官が、取材に当たったテレビ朝日の女性記者を呼びだし2人きりで食事などをし、ひわいな言動を繰り返したとされ、同社が抗議文。次官は辞表提出も、セクハラ意図を否定。一連の事案処理を巡り、麻生太郎財相や同省幹部が次官を擁護し、批判する声広がる。


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