週刊大阪日日新聞

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2018/4/14

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

「終わりの始まり」? 安倍内閣

 先月末、昨春の「森友学園への国有地払い下げ8億円値引き騒動」当時に財務省理財局長として強気の答弁を繰り返した佐川宣寿・前国税庁長官(60)に対する衆参両院の決裁文書改ざん≠ノ対する証人喚問が行われた。

 「官僚中の官僚」と言われ、国家財政実務の最上位にいた人物が、「刑事訴追の恐れがある」と連発し、事態解明にはほど遠い内容の証言に終始。安倍政権に比較的近いと見られている読売新聞・日本テレビグループの喚問に対する世論調査結果が、国民の感想を端的に現わしている。▽「佐川喚問に納得せず」75%▽「昭恵夫人は説明を」60%▽「麻生財相は辞任せよ」51%▽「総理の責任は大きい」64%などなど。

 その後も、理財局が学園側に「口裏合わせを持ちかけた」との報道があり、政府側は対応に懸命。これでは与党側が描いている「安倍総理周辺の関与は完全に否定された」との主張はどうにも難しい。

森友を大胆推理

 まず事件概要を推理も交えて整理しよう。

 幼稚園経営からステップアップし学校経営者を目指した籠池泰典被告。右派団体「日本会議」筋の面識をフルに使って、安倍総理夫妻やあらゆる政治家人脈に接近。小学校設置の許認可権を持つ大阪府、学校予定地を持つ国交省大阪航空局、売却を含めた用地処分権限のある財務省近畿財務局に働き掛けたことは間違いない。

 当初は無理筋と思われた豊中市の用地取得が、ラッキーなごみ出土もあってドンドン学園側の思う通りに運んだ。この間、脇の甘い総理夫人の存在が徹底的に籠池氏側へ有利に働く。

 そして国会で問題化。佐川理財局長は野党の追及を、徹頭徹尾突っ張ね続けた。その理由は安倍総理の「この問題に私や私の妻が関わっていたら総理どころか国会議員も辞める」と大見得を切っ たからだ。ところが佐川氏の知らないところで、近畿財務局に詳細な交渉記録が残っていた。

 私の知人の官僚に聞くと、「これほど詳細な記録、まして政治家の関与は通常文章内に残さず、メモまたは口頭で上司に報告し理解了承してもらう」そうだ。佐川氏を含む理財局幹部も交渉記録を見て驚き慌てて、公文書改ざんへと手を染めた流れが浮かび上がる。

「刑事訴追の恐れ」とは?

 では大阪地検特捜部の調べているのは何か?

 公文書改ざんに適用される可能性のある罪は次の3つ。@刑法156条「虚偽公文書作成罪」文書作成当事者がウソの内容を書いた場合で懲役10年以下。A刑法155条「公文書偽造変造罪」作成・決裁権のない人がウソの内容に書き換えた場合で懲役10年以下。B刑法258条「公用文書等毀棄罪」元の意味が損なわれるほど記載を削除した場合で懲役3カ月〜7年。

 いずれも、改ざんされた文書に虚偽がなく簡略化されただけで、しかも作成権限者が直接行っていれば、罪に問うことは難しい。

 ただし「情報公開法」に基づき最終決裁後の公文書書き換えは認められていない。仮に認めてしまうと、公開請求後に都合の悪い部分を削除できるからだ。最近発覚したイラクサマーワでの陸上自衛隊日報を「廃棄した」と言い張った背景はそうした事情からだ。

ゆるゆるの「公文書管理」新基準

 今後の公文書管理はどうなるのか?

 今月から公文書管理法に基づき新たなガイドラインがスタートした。要点は2つ。@行政意思決定検証に必要な行政文書は、原則1年以上保管。A外部打ち合わせなどの記録作成は、相手側の確認により正確に。

 これだけ読むと分かりにくいが、@は「1年過ぎたら廃棄OK」、Aは「相手側が嫌がる事は残さない」という意味で、都合の悪い部分を削除したスカスカの文章だけを残し、1年以上経ったら行政側の判断で廃棄できる。米国の公文書公開規定に基づき、日本の戦後処理に関し経年済み文書を公開しようとしたところ、日本側から「影響が大きいので引き続き非公開に」と要請があったことも分かっている。

 お役所は、昔から「由(よ)らしむべし、知らしむべからず」(権力者は人民を従わせればよいだけで、道理を分からせる必要はない)と言われるように、実情は情報全面公開にほど遠いのが現状だ。

説明しない検察

 残る佐川氏の嫌疑は、刑法233条「偽計業務妨害罪」で公文書を改ざんして国会論議を妨害したとして3年以下の懲役。または刑法247条「背任罪」で、学園側の利益を目的として、任務に背いて国に損害を与えたとして5年以下の懲役だ。大阪地検特捜部は、特に背任罪立件の可能性に注目しており、6月の国会終了を待って本人からの事情聴取に動く可能性がある。

 仮に検察が立件起訴しても、略式なら事実関係は公にならないし、不起訴や起訴猶予でも同じ。検察はその理由すら明らかにしない。公判請求といって、正式裁判が開かれてはじめて国民の前に起訴事実が明らかになる。佐川氏が連発した「刑事訴追の恐れ」とはそのことなのだ。

 ちなみに逮捕起訴され公判開始待ちの籠池夫妻の罪状は、補助金をだまし取った刑法246条「詐欺罪」。最高10年以下の懲役で、夫妻が初犯であることを考えると懲役2年執行猶予4年程度の判決だろう。量刑に比べて、逮捕後9カ月も起訴拘留を続け、その後も接見禁止とは異常な長期拘束だ。

ラストキーマンはこの人

 佐川氏で突き崩せなかった「森友問題」の次のキーマンはだれか?

 売却当時の理財局長だった迫田英典三井不動産顧問、元総理夫人付き経産省職員の谷査恵子イタリア大使館書記官、同省出身の今井尚哉首相秘書官などの名前が浮かんでいるが、「刑事訴追の恐れ」という切り札を使えば、佐川氏と同じケースを繰り返すだけ。

 ズバリ昭恵夫人が証人喚問されることに決まれば、実現までに総理は政権を手放すか、衆院解散総選挙でリセットを目指す「イチかバチか」の状態に追いつめられる可能性が高い。私は昭恵氏が釈明会見して自身の肉声で直接説明するのが一番の早道だと思うのだが。


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