週刊大阪日日新聞

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2018/3/24

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

インバウンド人気の大阪 見直そう

インフラばっちり、街はコンパクト

 春休みの行楽シーズンが来て、大阪の街にも観光客が増えてきたね。穴場のグルメ店に並んだら、行列の半分以上が外国の方で「えっ、ウソやろ」という経験も。大阪には昨年1年間で、過去最多の約1111万人の外国人が訪れたんだ。今年中には、関西への来訪者が関東を抜き、初めて日本のトップになるのは確実。観光ブームが、大阪に与える影響を考えてみよう。

3人に1人が大阪へ


▲訪日客らでにぎわう新世界かいわい

 大阪観光局によると、大阪への外国人来訪者は東日本大震災が起こった2011年には158万人だったけれど、関西空港発着のLCC(格安航空会社)が増えた15年ごろから急速に伸び、昨年ついに初の1千万人を突破。訪日者全体で2869万人だったから、3人に1人以上は大阪を訪れた計算になるよ。

 国別で大阪が大好きなのは、トップは中国(402万人・前年比8%増)。2位は韓国(241万人・同53%増)で、次いで台湾や香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどアジア諸国が中心。

 これは国交省の統計でもはっきりしていて、外国人に関西での訪問先を聞いたところ、中国、東アジア、東南アジアの人の70%くらいが「大阪市」と回答。一方、欧米・豪州の人は「京都市」が6割以上でトップを占め、「大阪市」は2位で5割弱。

爆買いから普段遣いへ

 かつての来訪者の中心は、中国の超富裕層だったので、高額の宝飾品やブランドバッグ、高級時計などの爆買い≠ェ定番だった。今はパスポートやビザの緩和で、訪日客の若年化や一般化が進み、ドラッグストアやディスカウントストアで普段遣いの衣類、家庭薬、食品を、デパートでは化粧品やアクセサリー小物に人気が移っている。

 外国人観光客が大阪で落としてくれるお金は、統計的にはサービスの輸 出≠ニいう位置付けになる。16年の大阪税関の統計によると総輸出の6%程度で、電気や機械には及ばないけれど輸送機器や食品をしのぐ9143億円というからすごいよね。

大阪城、USJ、道頓堀

 なぜ大阪がこんなに人気になったのか? 首都圏・成田の空港に比べ、関空は時間も距離も市街地中心部に断然近い。自分で海外旅行に行く時を思い浮かべてみて。買い物と見学・体験が主目的で、旅慣れた人や若い人ほど乗って寝るだけの運賃や宿泊代は安く上げたいはず。その点、LCCで安く行けるのは大阪だし、宿泊も民宿先が近くて便利だよね。

 そして大阪の観光ポイントと位置関係がいい。人気は、1にUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)、2が大阪城。観光と買い物を兼ねてブラブラできるミナミ・エリアが3番目だ。観光客はピンポイントで目的地へ行くので、普通「街をブラブラ」はしない。でも、南北を結ぶ高島屋大阪店から大丸心斎橋店間の戎橋と心斎橋の筋は、晴雨寒暖と関係なく歩ける珍しいエリア。両側にさまざまな老舗が並び、人が行き交う大規模商店街は外国にはまず存在しない。

 さらに道頓堀かいわいは戎橋筋と直角に交差し、道頓堀川と並行に位置しているので外国人にとても分かりやすい。こちらは食べ歩きができるゾーンで、食い倒れの街らしくタコ焼きやお好み焼き、串カツなど何でもその場で味見できるからアジアの人にとって身近に感じられるんだ。

魅力は世界規模評価

 三菱総研の調べでも関西の人気スポットのうち、難波・心斎橋は約3割が支持しトップ。次いで梅田・大阪駅周辺で23%、4位にようやく京都で東山(20%)、その突出ぶりが分かるよね。

 大阪城の人気は、国宝の姫路城や彦根城に比べ、外国人から見て「金ぴかの城内に入って、楽に天守閣へ登れる」というからビックリ。大阪に住む人は案外大阪城に登った事がない人も多いけれど、ここは中にエレベーターがあってスイスイ最上階まで行ける。

 またUSJは、ハリーポッターゾーンが4D化してさらに充実し、外国人客の大定番。園内は安全なので、おじいちゃんとおばあちゃんに連れられて子どもたちはUSJに、若いパパとママはミナミにお買い物や食べ歩きと手分けできるのも、コンパクトにまとまった大阪ならではの楽しみ方。

課題はキャッシュレス化

 では、これから早く改善すべき問題点は何だろう? まず到着時の空港通関手続きの簡素化。

 次にキャッシュレス化が遅れているタクシーや小売店の対応。今やタクシーをスマホのアプリで呼び、支払いはキャッシュレスが世界の常識。でも、大阪のタクシーは、まだ日本円の現金のみだったり、電話でしか配車を受けないケースも。中国人観光客相手に在日中国人による白タクが横行しているけど、これはスマホによる予約や支払いの便利さゆえで、タクシー会社側の怠慢でもある。同じ意味で、小売店の現金のみはビジネスチャンスをみすみす失っていると考えた方がいい。

 劇場などでのコンパクトな体験型娯楽もまだ足りない。京都では祇園甲部歌舞練場近くで、舞妓(まいこ)さんの踊り・茶道・能・狂言など日本の伝統芸7つを一度に体験できるギオンコーナーという施設があるが、その大阪版の提供を早く工夫してほしい。

案内や情報を相手国語でパンフレットにして設置するのは大切だが、今や外国人旅行者は必要な物をどんどんスマホアプリで得るので必ずしも必需品ではなくなっている。むしろ、発信したい情報を着実に相手の手に渡るような手だてを考える方が先決だ。

 街に住むわれわれが、外国人をサポートしてあげるのは英語や中国語の知識よりハート。何かの不都合に気付いたら、丁寧に「メイ・アイ・ヘルプ・ユー?」または親しげに「アー・ユー・オッケー?」(お手伝いしましょうか?)と声を掛けてみよう。


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