週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2018/2/24

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

キャッシュレス時代って来るの?

 前号で仮想通貨について取り上げたら、読者から「キャッシュレス時代が来るって本当ですか?」という質問を頂いた。実際に国が裏でキャッシュレスを推奨しているんだ。その理由は大きく分けて2つ。一つは少子高齢化≠フ人手不足への切り札。もう一つは2020年東京五輪で増加する外国人観光客にとっての利便性だ。でも、現金払いの人はまだまだ多いし、カードを持ちたくても持てないアルバイターや主婦、お年寄りも多い。将来の形を考えてみよう。

コンビニやファミレスも

 年末にコンビニのローソンが「首都圏で春から夜間や早朝に無人となる店舗を首都圏に2〜3店試験的に始める。この間の支払いはすべて、口座引き落としのクレジットカード(以下、クレカ)か自分でチャージする電子マネー(以下、電マネ)のみ」と発表。既に11月オープンの東京・日本橋にあるロイヤルホスト系レストラン「ギャザリング・テーブル・パントリー」は支払いがクレカか電マネだけで、店員は一切お金を扱わない。これまで街の小規模店やタクシーにあった「カード使用不可」という表示 の逆で、大阪をはじめとして全国に波及してきそうだ。

私は筋金入りのカードライフ

 私の場合は、何十年も前になるけど学校を卒業して就職する際に給与振込先として初めて都市銀行に自分の口座を持った。その際に窓口で進められてJCBのクレカを契約。イオンでマスターカード付きを、楽天でVISA付きのクレカを手に入れたが、普段使うのはJCBのみ。電マネは全国で使えるJR西日本のICOCAの1枚だけ。支払い額に応じてたまるポイントカードは、クレカと二重でたまって 得するので楽天カードとTSUTAYA─Tカードを使い分けている。普段クレカと電マネだけで、財布自体を持たず少額の現金をポケットに入れているだけなので、たまに現金のみのタクシーに乗ると、外国人観光客の不便さを実感する。

普及しても使わぬ日本

 現在、日本の所有クレカは約9割の人が平均2枚強を持っている。これは米国とほぼ同じ普及率なんだ。それなのに金額ベースでは、経産省調べで中国55%、韓国54%、米国41%に対し日本は 18%(2015年)で非常に少ない。日本は紙幣がしっかりしていて、人民元や米ドルのようにヨレヨレにならないのも一つの理由にあるけれど、現金派に聞くと「使い過ぎないし、使った分が分かるから」も理由にあるようだ。

 でもカード派の私に言わせると、支払いが「シャリーン」だけの方が断然早いし、月ごとの使用明細を見れば支出入管理は簡単。旅先などで突然「あっ、コレ前からほしかった!」と言う物に巡り会っても悩まなくて済む。火事などの災害や盗難に遭っても、現金 は戻らないがクレカや電マネなら使用停止にすれば無事だ。

カード難民はどこへ?

 「カードって発行してもらうのに、審査があるんでしょ」と心配する人も多い。買い物は一時的にカード会社が店舗に立て替え払いし、仮に残高不足で引き落としができないと、カード会社と本人の間の債務になる。審査に引っ掛かる人の大半は、携帯電話料金も含めた延滞などの経験がある人。特にキャッシングと呼ばれる現金貸付機能付きのクレカは、一定の安定収入が必要など審査基準が厳しい。そこで物販会社など比較的ハードルが低いクレカから使い始めるのが早道。電マネは自分で入金して自分で使うので、支払い不能に陥るリスクは低いよ。

 クレカは、店側の取り扱いメリットも大きい。手数料が1件3〜5%掛かるとはいえ、完全キャッシュレス化が実現すれば、わずらわしい売上計算から解放されるし、盗難や強盗被害だって半永久的になくなる。日本を訪れる外国人観光客がどこでもクレカを使えたら、年間1兆円程度の買い物売り上げが伸びるという試算もある。

内外の促進圧力高まる

 海外はどうだろうか?クレカの使用が当たり前の米国に対し、中国はネット通販最大手「阿里巴巴(アリババ)」系のスマホ決済システム「支付宝(アリペイ)」が世界的に普及。店側はQRコードを掲げるだけで専用端末などの自己負担がなく、客側はスマホのカメラでこのQRコードを読み取って支払いするだけ。インドは政府の肝いりで、国民個人の識別番号と指紋認証を組み合わせた電子商取引推進で、高額紙幣廃止にかじを切った。スウェーデンや デンマークなどの北欧では病院や郵便局などの公共施設を除いて「現金授受義務」の廃止、つまりキャッシュレス化を選択できるようになった。

 日本政府も「コスト削減と、経済活性化を図れる」と今後は一層推進する方針だ。特に財務省は内心、キャッシュレス推進に大乗り気。電子取引は必ずどこかに記録が残るから脱税しにくくなる。映画「マルサの女」(1987年・東宝)を覚えている人なら、国税庁査察部が現金の隠し場所をやっきになって探していたシーンの記憶があるはず。つまり税務署は現金で直接やり取りされるのが一番イヤなんだ。テロ集団の資金洗浄も、記録に残ってしまったらできなくなる。これから国は、「五輪までにIT化推進」の名目で零細業者の専用端末設置に補助金を出すなどの推進策を次々打ち出すはずだ。

 もう一つ心配なことがある。Amazonや楽天で通販を何度か利用した経験のある方なら、その後のDM(ダイレクトメール)で好みの商品の入荷を知らせるお勧めを受けた記憶があるはず。これは消費者の購入履歴が個人情報のビッグデータとして各社にどんどん蓄積され、ガッチリとお得意様として取り込まれて行くことに他ならない。

 現金を固定電話とすれば、クレカや電マネは携帯電話。使い始めたら最後、便利なので加速度的に普及する。「もし大規模サイバー攻撃を受けたら市民生活は壊滅する」との不安は常につきまとうが、大きな潮流は止められそうにない。


週刊大阪日日新聞
最新号
毎月第2・第4土曜発刊
毎月第4土曜発刊
「大阪日日新聞」
電子版
電子版の詳細はこちら
アップルストア グーグルプレイ
日日チャンネル【Gotoキャンペーン編】/「宿泊」「ステーキ食べ放題」「お酒飲み放題」で、なんと! 2,500円 だった
pagetop