週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 242,937部

2017/11/25

幼児教育 人格形成へ、

先生の質向上が鍵


▲社会スキルの学習を重視するCLA

 先月の衆院選で各党が公約に掲げた幼児教育無償化の議論は今後本格化していくが、今、自治体や幼児教育施設が重視するテーマが幼稚園教諭や保育士の質向上だ。幼児教育無償化を先行実施する大阪市は、管轄の垣根を越えた保育・幼児教育センターを開設して研修機能を強化する意向。大阪府も教諭や保育士のアドバイザーを育成するなど、人格形成の初期を担う幼児教育に余念がない。


▲体を動かして遊ぶ子どもたち

 「小学校は45分授業だから45分間座っていられるようにしよう」「名前ぐらいは書けるようにしよう」と言われてきたが、それは幼児教育の本質ではない。ただ座っていればいいわけではなく、先生の話に興味を持ち、十分に聞き取る力のある子どもに育っている必要がある―。

 就学前教育について、白梅学園大大学院特任教授の無藤隆氏は著書『3法令改訂(定)の要点とこれからの保育』でこう記している。

 3法令とは「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」を指す。文部科学省、厚生労働省、内閣府の垣根を越えて今回同時改訂された趣旨の一つとして、無藤氏は幼児教育と小学校の接続の問題を提示している。

 幼児教育に詳しい無藤氏ら専門家を講師に迎える大阪府は現在、アドバイザー育成やフォーラム開催を進行中だ。今年4月に保育・幼児教育センターを開設した大阪市も小学校生活になじめない「小1プロブレム」などの段差♂消を課題に挙げている。

 待機児童問題に対応した小規模保育の事業が展開される中、同センターの担当者は「小規模保育は2歳児までで、3歳になれば他園に移ることになる。小規模保育から幼稚園、小学校へとスムーズに行く巣立 ち≠ェ大切」と指摘。幼児教育の無償化と教諭や保育士の質向上を「セット」と捉えている。

大阪市の小中学生 自己肯定感全国平均下回る

 大阪市が2015年3月に編成した幼児教育のモデルプラン「就学前教育カリキュラム」には、市内の子どもの姿の一端が紹介されている。

 「自分には良いところがあると思いますか」という問いに対し、「当てはまる」と解答した小学生の割合は「どちらかと言えば」を含めて71.2%で、全国平均の76.1%を約5ポイント下回った。さらに、中学生は60.4%で、全国平均の67.1%に比べて約7ポイント低かった。

 大阪市の小中学生が全国平均に達していない状況は「朝食を毎日食べていますか」に対する解答にも見られ、「食べている」とした小学生は81.7%(全国平均88.1%)、中学生は75.7%(同83.8%)だった。

 自己肯定感の醸成や生活習慣の形成の課題について、市は「乳幼児からの積み重ねが重要」と分析している。


CLA代表に聞く

社会スキルの学習に注力

▲幼児教育のポイントは「楽しさ」と説くウォーカー代表

 人格形成の基盤となる幼児教育のポイントは何か。社会スキルの学習に重点を置くインターナショナルスクール「CLA(クリエイティブ・ラーニング・アカデミー)」=大阪市北区=のウォーカー・ショーゾー・ウィンクープ代表(34)に聞いた。

 ―幼児教育に必要なことは。

 「幼児期の脳はスポンジのように吸収しやすい。特に0〜6歳児は脳の土台が作られる。その幼児教育では子どもたちの性格を理解することが大切だ。例えば、内向的な子には1対1の状況で褒め、外向的な子にはみんなの前で褒めれば、その子は伸びる」

 ―どのようなことを心掛けているか。

 「CLAのカリキュラムは英語の学習と社会スキル(非認知能力)の学習を半々にしている。社会スキルの学習としてリーダーゲームがある。ゲームは三つの段階を設け、第1段階はリーダーになった子がメンバーの手を引っ張って行く。第2段階は『こっちに行こう』と声を掛ける。第3段階は手と声を使ってメンバーのモチベーションを上げる。こうしてリーダーシップを養う」

 ―目に見える効果は。

 「ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状が見られる場合、ブロック玩具やボール遊び、お絵描きなどその子の好きなことを見つけて 取り組む。最初は1分だけ、次は5分、その次は15分と長くする。そして嫌いな物を後から足していく。仮にピーマンが嫌いな場合、ブロック玩具の遊びを多くして、その後にピーマンの絵を描いたり、ピーマンダンスをする。ADHDの症状は徐々に解消されていくように思う」

 ―幼児教育の先生に求めることは。

 「子どもは大人の行動をまねる。例えば母親がかばんから物を出し入れする姿を見れば、子どもは無意識にかばんや机の引き出しから物を出し入れする。子は親を映す鏡と言われるが、まさに子は鏡であり、虫眼鏡だ。先生が柔軟性を持てば、子どもも柔軟性を持つ。先生が成長すれば、子どもも伸びていく」


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