週刊大阪日日新聞

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2017/11/11

「あおり運転」が社会問題に

大阪府内の取り締まり、昨年は392件


▲夜間の高速道路のイメージ

 運転中の割り込みや追い越しなどにキレて♂゚激な行動を取るロード・レイジ(路上の逆上)が社会問題になっている。今年6月に神奈川県の東名高速道路で夫婦が亡くなった事故は、男がささいなことで注意されたことに腹を立て猛スピードで追い掛けるなど「あおり運転」が誘発したとされ、悪質運転の危険性が改めてクローズアップされている。

 東名高速道路で福岡県の男の車が、前を走っていた夫婦のワゴン車を追い越し、前方で減速して追い越し車線で無理やり停車させ、大型トラックが追突して夫婦が死亡した。

 あおり運転は車間距離を異常に詰めたり、クラクションで威嚇したりするなど、事故につながりかねない危険な行為だ。

「あおり運転」にどう対処?

9割が高速道

 警察庁によると、同一の進路を進行する他の車両と必要な距離を保たない道交法違反(車間距離不保持)の高速道路での摘発件数は、今年1〜6月で3057件。2016年は6690件で、一般道を含めた全体の9割近くを占めている。

 大阪府警によると、府内での車間距離不保持の取り締まりは14年334件、15年396件、16年392件で、今年は6月末時点で216件。およそ9割が高速道路だった。車間距離不保持が原因の交通事故は毎年30件程度起きている。府警は10月下旬、あおり運転を積極的に取り締まるよう府内65署や高速隊に通知し、悪質な違反に目を光らせる。 

2人に1人が被害

 しかし、ドライバーがいくら注意しても、あおり運転の被害に誰もが巻き込まれる可能性がある。

 日本自動車連盟(JAF)が昨年6月、インターネットで交通マナーに関するアンケートを実施した。その結果によると、回答した6万4677人のうち、後方から他のドライバーにあおられたことがあるかという質問に、「よくある」「時々ある」と答えたのは55・5%で、2人に1人が経験したことが明らかになっている。

お互いさまの心

 あおり運転をするドライバーの心理状況はどうなのか―。

 大阪国際大(大阪府守口市)の山口直範准教授(53)=交通心理学=は「周囲の状況で自分の思い通りに運転できないことがストレスとなり、攻撃性につながっている」と指摘。前方の車の速度が遅くて思うように進めない、青信号に間に合わなかったなど、さまざまな状況がストレスにつながると分析する。


▲大阪市西区の阪神高速1号環状線

 自分の思い通りに動く車は「自分だけの空間」が生まれて匿名性が高く、ドライバー同士がお互いを知らないため、攻撃的な行動を起こしやすくなるという。

 山口准教授は「『割り込まれたのではなく前に入れてあげた』など、物事の捉え方を変えて気持ちを切り替えることが大切」と強調。「路上では思うように運転できないのが当たり前。みんなが『お互いさま』の気持ちで運転することで、あおり運転はなくなっていく」と話す。

身の危険を感じたら車から出ないで

 車間距離不保持は2009年の道交法改正により、高速道や自動車専用道路での違反は「3カ月以下の懲役または5万円以下」に罰則が強化されたが、摘発は後を絶たない。交通事故調査会社ラプター(群馬県)の中島博史所長(51)は「あおり運転に巻き込まれたら車をシェルター(避難所)にして身を守ってほしい」と注意喚起する。

 あおり運転に巻き込まれた時、意地になって速度を上げたり、相手の邪魔をしたりすれば、事故の恐れだけでなく、前を走っている自分が摘発の対象になる可能性もある。

 2車線以上であれば左側の車線を走ることが原則。あまりにしつこい場合は、一般道ならコンビニエンスストアやスーパーの駐車場、高速道路ならサービスエリアなど人目がある場所に駐車し、110番通報する。

 中島所長は「車を止めてまで絡んでくる人は何をするか分からない。ドアを閉めてロックを掛け、多少車が傷んでも自分の身を守ることを最優先してほしい」と話している。


記者の視点 「イラッとした時こそ」

 東名高速道路でワゴン車の夫婦が死亡した事故に大きな衝撃を受けた。猛スピードで車が行き交う高速道の追い越し車線に無理やり停車させられ、怒鳴り込んでくる男とのトラブルはいかに恐怖だったか―。

 一般道や高速道を問わず車を運転する上で「あおられている」「危ないな」と感じる場面は度々訪れる。片側1車線の自動車専用道路のトンネルで、前を走る軽乗用車に大型トラックが何度もクラクションを鳴らす場面を見かけたことがある。

 どのような事情なのか分からないが、いくらスピードを出しても目的地の到着時間は大きく変わらない。「イラッ」とした時こそゆっくり時間を数えたり、深呼吸したりする余裕が安全運転につながる。


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