週刊大阪日日新聞

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2017/11/11

守口市 幼児教育無償化検証へ

「経済的負担の緩和と未来への投資」


▲お遊戯で笑顔がはじける児童(本文と写真は関係ありません)

 全国の市では例のない0〜5歳児の幼児教育・保育料無償化を、守口市が導入してから半年。国に先駆けて実施した同市は、効果について検証に取り掛かる。子育て世帯からは「家計が助かる」と歓迎する声がある一方、待機児童の発生などの課題も生まれる。財政面では「ばらまき」に終わらないか注視する必要がある。

 同市は「子育て世代への重点投資」を市政運営の柱と掲げる。9月1日現在、無償化制度の恩恵を受けているのは、市内の幼稚園や保育所に通う0〜5歳児の4082人と、市内に住みながら市外の施設へ通う84人を合わせた約4200人だ。

 実施のための予算には、公立保育所の民営化などで生まれた6億7500万円を充てた。子どもたちを「社会全体で育てる」という観点から、所得制限は設けていない。

 幼稚園の教育費用は年間30万8千円、親の所得に応じて決まる保育所の保育料は、月額最大で6万4千円が家計に回せる計算になる。子育て世代にとっては、経済的余裕が生まれるのは生活していく上で、大きなメリットになる。

受け皿の確保

 市議会9月定例会の一般質問では、複数の市議が効果の検証とさらなる待機児童対策を求めた。西端勝樹市長は「施設規模に応じた最大限の努力をしていきたい」と、今後の努力を約束した。

 市保育・幼稚園課によると、本年度、保育所や認定こども園の利用者は前年度比38%増となり、新たに252人増えたものの、利用申し込み数も同4割増の1052人に上った。このため、48人の待機児童が発生。受け皿の確保という課題が改めて浮き彫りになった。

 無償化は少子高齢化対策と直結しており、利用増の一因になっているが、全体の4・6%に当たる子どもたちが恩恵を受けられない計算になる。

 市は0〜2歳児を対象に、幼稚園を保育所の機能を併せ持った認定こども園に移行したり、定員が15人程度の小規模園を新たに9園認可するなど対策を講じてきたが、現状では需要増に受け皿が追い付いていない。来年度は3歳児の「待機」が顕在化する可能性もある。

 市議会で無所属系会派の高島賢市議(改革クラブ)は「需要の掘り起こしで、申し込みが増えることは予想できた。想定を超えた場合の対策が不十分で、不公平感は拭えないのではないか」と指摘した。

中間見直し

 かつて大手家電メーカー・三洋電機の本社があり、同市は「企業城下町」と呼ばれた。ピーク時の1984年度には法人市民税が約72億円に上ったが、三洋の衰退もあって現状では5分の1以下へと大幅に減少した。

 人口は70年をピークに減り続けてきたが、本年度に入ってから世帯数とともに微増という明るい兆しがある。

 西端市長は無償化を「改革の中で生まれた財源で十分補える」と強調した上で、「市の面積は狭く、新たな企業誘致は難しい。いかに子育て世代に住んでもらい、個々の税収アップを図れるかだ」と、今後の課題を口にする。

 市は2015年度からの5カ年で取り組む「子ども・子育て支援事業計画」について、中間見直しを進めている。子育て分野においては、保育ニーズと受け皿の確保を見込んで、保育士の人材確保や処遇改善を含めた施策を検討していく方針。

 市こども政策課の担当者は「人口減の流れをなんとか止めないと、というのが施策の原点。無償化は経済的負担の緩和であり、未来への投資でもある」と話し、引き続き対策を講じていく考えだ。

ミニクリップ 「待機児童」

 認可保育所などの待機児童は、全国で2万6081人(今年4月1日現在)。3年連続で増加しており、大阪や首都圏など都市部に偏在しているのが特徴。保育料の負担軽減は、女性の就労意欲が高まるのと同時に、保育ニーズも増すため、受け皿が追いついていないのが実情で、土地や保育士の不足、年齢や地域的な需給のミスマッチも要因に挙げられている。


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