週刊大阪日日新聞

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2017/10/28

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

ニッポンのモノづくりが何か変

不正続々…タカタに三菱自、日産から神鋼まで

 16人の命を奪ったタカタのエアバック事故。三菱自動車の燃費データ改ざんや日産自動車の無資格者検査。ゴム製品の検査データを偽った東洋ゴム。そして今度は、製鉄の老舗、神戸製鋼の品質データの改ざんが明るみに。このところ日本の製造業がおかしい。この背景を考えてみよう。

優良企業タカタは倒産

 製造業の不正は形式犯と実質犯がある。形式犯は会計の不正が中心で、東芝やオリンパスなどがそう。企業収支の実態を偽れば、投資家に迷惑を掛け、社会的な信用を失うものの、ユーザーには直接、被害は及ばない。

 でも、三菱や日産のウソの報告は、直接は事故につながらなくても大量のリコール(欠陥製品回収と無料修理)を招く。出荷や販売もストップし、経営自体を危うくするから実行犯といえるよ。ましてタカタのように「ドライバーを守るエアバックが、死亡者を含む大量の受傷事故を起こした」となると大問題。早くから社内で情報共有しておきながらリコールをためらい、膨大な損害賠償と信用失墜を招いて倒産してしまった。

素材メーカーゆえのリスク

 神戸製鋼の場合は生産品が素材≠セけに問題はもっと根深い。同社の素材で自動車や飛行機などを作ったメーカーが一次的に製造責任を問われ、リコールの義務を負う。後にメーカーが神鋼に賠償請求する流れだ。

 まだ納入社数が完全に把握できていないけれど、米司法省やEU航空安全庁などから「安全基準を満たしていない商品を偽って売った」として、タカタのように1千億円単位の高額罰金を課される可能性もあるよ。

ニッポン製造業の実態

 高度経済成長とバブル崩壊を知る世代は、「日本は原材料を輸入し、完成品を輸出するモノづくり大国だ」と信じている人が多い。機械ではできない細かな作業が得意な職人さんがたくさんいて、「日本製品は海外で信用がある」と思い込んでいる。トヨタの職場改善事例をみんなで学び、全員が一致団結して1円、1分のコストを削る姿こそ日本の美徳とされた。

 でも今世紀に入って日本の製造業の立場は劇的に変化。モノがインターネットでつながる欧米型「IoT」化に乗り遅れ、労働賃金は中国や東南アジアに太刀打ちできなくなった。家電業界などは生産拠点をどんどん海外に移し、国内生産を縮小。残った自動車や鉄鋼なども人件費の削減に熱心。正社員を減らしたものの、IT導入や設備改善への投資が遅れ、現場は少ない社員と古い設備で納期を守らされる悪循環に陥っているんだ。

株価第一の経営者

 大企業の経営者はアベノミクスの株高政策にあおられて、経常収支の改善に懸命だ。内部留保のため込みと、経営陣の役員報酬の引き上げに奔走し、企業価値を必死に高めようとしている。日産のカルロス・ゴーン会長が年俸10億円を超えるのは有名だし、神鋼の内部留保も3千億円を軽く超えるから驚きだ。

 神鋼の建設機械は海外との価格競争にさらされ赤字部門に。その中で屋台骨を支えていたのは、今回不正が真っ先に発覚したアルミ・銅部門と火力発電所建設。特にアルミはエコカー全盛で需要が急増。経営トップは増産と納期厳守の大号令を掛け続けたのに、肝心の設備投資と、社員の待遇改善をおろそかにした。

 現場はノルマに追われ、作業員も疲れ切って検査業務に手が回らなかった実態が透けて見えるよ。これは東洋ゴムや日産などのケースも同じだ。

「三方よし」へ変えよう

 近江商人の心得に「三方よし」というのがある。世間でウィンウィン≠ニ言われる「売り手良し」「買い手良し」だけでなく、「世間良し」も満たさないといけないよ、という意味。企業は「株価第一」の発想をまず改め、売り手側の「よし」に経営者年俸だけでなく、社員賃金アップと同一労働同一賃金の実現を、そして買い手をごまかさない誠実さが必要だ。

 理想だけ掲げても、経営者の利潤至上主義は簡単に改まらない。過労死問題も含めて、現場に頼り切って責任を押し付ける体質を直さないと日本企業は変われない。それには「何かおかしいな?」と現場で感じたら、忖度(そんたく)することなく公的な第三者機関にすぐ告発できるような欧米型の緊張感ある労使関係を築く必要があるかもね。

問題となった日本の製造業の不正内容
タ カ タ

 エアバッグ部品の欠陥を知りつつ製造・出荷。エアバッグの異常破裂による死亡事故も起き、7000万個以上がリコール対象となって経営が悪化。民事再生法を申請した。リコール費用など負債総額は1兆円超えとなった。

三菱自

 「ekワゴン」など軽自動車4車種と「パジェロ」など普通車5車種の燃費について、実際より最大16%ほど上回る偽りの数値をカタログやウェブサイトに表示。

日 産

 「デイズ」「デイクルーズ」の軽自動車2車種で燃費を不当表示。また、無資格の従業員に新車の検査をさせていたことが発覚した。

神戸製鋼

 アルミ製品や銅製品の一部で強度などのデータを改ざん。自動車、航空機、原子力発電所、防衛装備品などで製品が使われており、影響の拡大が懸念される。リコールや損害賠償となれば、さらに混乱は広がる。


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