週刊大阪日日新聞

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2017/10/14

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

米トイザラス破たんから見えるもの

ネット普及でも、実店舗が必要な業種は何?

 米玩具販売大手の「トイザラス」が9月に52億ドル(日本円で約5800億円)の負債を抱え、事実上倒産した。日本は別法人なので当面の影響はないけれど、おもちゃ売り場に足を踏み入れた時のワクワク感を思い出すと、なんだかショックだよね。この背景にはインターネットによる購買方法の変化が潜んでいるよ。トイザラスの話しだけでは済まない社会変化について考えてみよう。

 1992年に日本へやってきた「トイザラス」。当時は街の小さなおもちゃ屋さんを品ぞろえで寄せ付けず、日本各地にどんどん巨大店舗を構えていった。今やその 数は160に上るよ。品ぞろえで街のおもちゃ屋を廃業に追い込んでいったトイザラスだけど、今度は価格に勝るネット通販に押され始めた。

 同じことは書籍販売や家電量販店、そして衣料や食品のショッピングモール、日用品のホームセンターなどにも言えるんだ。ただし、ネット販売の影響をもろに受けているところと、意外にそうでもないところにクッキリと分かれている。

画一商品はネットが安い

 ネット販売に向くのは家電や玩具、書籍などいわゆるどこで買っても同じ商品。みんなもご存じのとおり、今はほしい商品を見つけたらネットで最安値をチェック。さらに店に出向いて実物を確かめる。最後にオンラインで購入する流れが多くなった。全く同じ商品を手に入れるなら、1円でも安い方が良いもんね。

 つまり、みんなが実店舗をショーケースとして利用しはじめたから「お客さんが来ても、物が売れない」という状況に陥っているんだ。

 ところで、ネットではなぜ安く買えるんだろう。実店舗を苦しめるのはネットにはない経費。品ぞろえのための配送経費や売り場の人件費、電気代などの設備費がそれ。さらに売れ残りの返品にもお金と時間が掛かる。ネットではこうした費用が一切掛からないから、はじめから勝負にならない。これで米国トイザラスがつぶれた理由が見えてきたね。

家電、本、音楽は店離れ

 家電量販店はどうだろう。郊外型の店舗はジリジリと縮小する一方、繁華街の店舗は爆買い≠ノ代表されるインバウンド景気で良好だ。大型家電は購入した時の設置や配線、アフターサービスなどで実店舗優位の時代が長かった。でもネット価格に対抗しようと、量販店側は経費を削減。「売り場に人がいない。いてもメーカーの派遣で他の商品のことを知らない。購入後の修理も実費で時間が掛かる。電話に出ない」とサービ ス面を次々に切り捨てたため、ジワジワ客離れが起きている。

 逆に高齢化が進む住宅街の小さな電気屋さんは、照明の付け替えまで行い、多少割高になっても顧客との信頼関係を保って生き残っているところも。

 書籍は送料無料で即日自宅ポストに届けてくれる楽天やアマゾンなどのサービスが普及し、街の小さな本屋が激減。でも、旭屋や紀伊國屋、TSUTAYAなどの大型店は、女性や若者の立ち読み文化≠ナ健闘しているよ。

 ちなみに音楽業界は一足先に販売の主流をネット配信に切り替えた。持ち運び用の音楽はスマホでダウンロード。歌手やレコード会社は、ライブでグッズ類を限定販売しさらにもうけるという形に。

衣料品は微妙?

 ネット全盛時代にも生き残れる実店舗は何だろう? 第一が好みや鮮度、品質で差が大きい生鮮食料品、元が安すぎて配送コストが割高になるトイレットペーパーやティッシュに洗剤など。高額で説明やオプションが多く、対面でないと売りにくい不動産や自動車。ブランド力維持のため薄利多売による値崩れを警戒する高級ブランド品が上げられる。

 微妙なのが、靴を含めた衣料品。デザインまではネット画像で見られるけど、「サイズ違い」を理由にした返品率がなかなか下がらない。

生鮮食品にもネットの波

 そんな中でアマゾンはアマゾンフレッシュ≠ニいう食品スーパーと百貨店食料品売り場で扱う商品をすべて網羅したサービスへ今春から参入。この分野は特に独り暮らしの高齢者のニーズが高いよ。

 価格競争より品質が問われる分野で、現在は生協の個配が半分以上のシェアを占め、スーパーのネット配達と食品総菜宅配が計2割と強い(矢野経済研究所調べ)。そこにアマゾンは、ケーキや精肉など有名店の品も含めた圧倒的な品数と、午前0時までの宅配での手渡しを売りに参入。ただし生鮮食料品だけに再配はしない。

 スーパーは自社店員や契約主婦による品定めと、小回りの利く宅配で対抗するけれど、過去のレコード店やおもちゃ屋、本屋のようにならないという保証はどこにもない。


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