週刊大阪日日新聞

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2017/9/30

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

なぜ急に総選挙? 与党が「勝てる時に」で

 9月に入って気温が秋らしくなったと思ったら、急に衆議院解散総選挙に突き進んできたね。6月に通常国会を閉じ、臨時国会早期開催を野党が再三要求するも、政府与党は応じず。その間、8月3日に内閣改造があり後は長い夏休み入り。森友・加計問題の大騒ぎもいつの間にか秋風とともに過ぎ去ったと思ったら、急に600億円も掛け選挙だから誰でも驚くよね。いったい何がどうなったんだろう?

 国会議員の任期は衆議院が4年、参議院は6年。でも、参院と違い、衆院は任期中に解散総選挙になるケースが多いから、平均在職期間は2年8カ月なんだ。今は満3年に近づいているから「まぁ普通」だね。

 解散には2通りあって、内閣不信任案が可決された時と、今回のような首相の専権事項としての解散=B実は解散のほとんどは後者で、世界的にも珍しい極めて強力な総理権限と言えるよ。総理が「今なら勝てる!」と思った時に、突然解散カードを切るから政権交代はめったに起こらないんだ。

非自民でも与党側OK

 民主党との政権交代に懲りた自民党の政府要人は私に、「非自民でもいい。反自民でなければOK」と言っていたよ。つまり連立与党を組む公明党はもちろん、改憲勢力と言われる日本維新の会、小池新党、河村たかし名古屋市長率いる減税日本は、どちらかと言うと「非自民」。だから自民トップからすれば、自民離れした国民の一時的な受け皿になればOKと考えている。

 一方、「反自民」で最も警戒しているのは野党4党で統一候補≠擁立されること。昨年の参院選1人区では、32カ所のうち11カ所で自民候補に勝っているからね。自民党の調査でも「もし実現すれば衆院小選挙区(現在より6減の289)で70〜80議席」と予想されていて、こうなると今の与党3分の2体制どころか「過半数がやっと」になるから警戒は当然だよね。

民進自滅で総理決断

 だからこそ、安倍晋三総理とその周辺は、何よりこの時期を選んで解散総選挙に打って出たんだ。低迷する最大野党の民進党は、人気回復の切り札だった総理の天敵、山尾志桜里・前総務会長(43)が、ダブル不倫疑惑で離党し、党の求心力が一挙に落ちたからね。今や単独で政権奪還を目指せる党勢にない。

 では、自民首脳に「非自民でも、改憲では仲間」と言われる日本維新の会のお膝元「大阪」と、小池新党の本拠「東京」はどうだろう。カギを握るのは堅い支持母体「創価学会」をバックに持つ公明党さ。国政では自民と連立を組んでいるけれど、大阪と東京では自民と手を切り、知事与党となって国政とはねじれているよ。維新代表でもある松井一郎大阪府知事はハッキリと「都構想実現のため、公明候補がいる小選挙区には対立候補を立てない」と言っている。大阪の公明4議員の選挙区では、自民も当然候補者を立てないから、野党統一候補とだけ戦うので有利。この流れが維持できれば自民は結果オーライ≠ウ。

小池新党は公明対応次第

 では小池新党の東京はどうだろう? 前回は25小選挙区で、自民が22の大勝。ところが7月の都議選では、小池新党の都民ファーストに歴史的な大敗。自民は都議選で負けた後、同年内に行われた国政選挙は必ず負けている。そこで官邸が「小池新党の準備が整わないうちに」と総選挙に打って出た側面もあるよ。

 東京は公明と小池新党の関係が微妙。前党代表の太田昭宏さん(71)が小選挙区から立候補しているからね。小池さん側が「太田さんの選挙区にウチの候補者は立てません」とハッキリ妥協すれば事態は一気に動く。東京12区で、小池新党が候補者を出すか否かで公明との関係が読み解けるんだ。

 保守色の強い民進・前原代表は、改憲と増税には積極姿勢なので与野党での争点はほとんどない。ただし、戦後一貫して手が付けられなかった昭和憲法に、国民が一度も意思表示する機会がないまま改憲議論が繰り広げられることに納得できない人も多い。ここは「改憲着手の是非」で投票先を選ぶ選択肢が、戦後初めて示せることになりそうだよ。

 今回は18歳以上が投票権を与えられた初の総選挙。既にメディアの間では各種世論調査の結果から、「低投票率と与党圧勝」がささやかれはじめているよ。そのささやき通りに与党が新定数3分の2超の310議席以上を再び確保したとする。自民党はこれまで一貫して高齢者層を支持基盤としてきた。ところが少子高齢化で日本の生産労働人口を今後も確保しようとすると、若者・女性・外国人に目を向けざるを得なくなった。この層はこれまで自民は弱い部分。そこで政府と官僚は「人生100年時代構想」を打ち出して世代間の公平な負担≠ニ言えば聞こえがいいが、実は「高齢者に薄く、若者に手厚く」という税金の遣い道に舵を切り始めたんだ。

 私は長く国政選挙の起承転結を見てきた。よく「追い風や逆風が吹く」というけれど、これは予兆なく選挙最中に突然やってくる。公示と投開票は10月。今のところ、与野党どちらにも風は吹いていない。

 今回の総選挙実施に納得できない人の数は、各種調査で6割超。文句のある人もない人も、投票所に足を運んで権利としての1票を投じるしかない。


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