週刊大阪日日新聞

大阪市(都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
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2017/8/5

門真と大阪で1000円の差 水道料金≠フ地域格差はなぜ?

要因は水利権


▲守口市にある庭窪浄水場(大阪市提供)

▲※平成28年9月1日現在、上水道料金(メーター使用料を含む)※料金は20立方メートルあたり

 「水浴びでもしたい」と、ぼやきも出る連日の暑さに、「水」が恋しい今日この頃。その水の料金(水道料金)は住んでいる町で違うのはご承知の通りだが、その格差は意外に知られていない。実はかなりの料金差があり、大阪市と守口市、門真市のゴチャゴチャした境界線上の地域では、路地1本で水道料金が大きく違うなんてことも。3市の水道料金を巡る事情を調べてみた。

 水道料金を比較してみると、大阪と守口で月に452円、大阪と門真ではなんと千円近くもの差がある。3市は互いに隣り合っているのに、どうしてこんなに差が生じるのだろうか。

 わが国の水道事業はほとんどが地方自治体の公営事業として、それぞれの自治体が独自に運営している。 料金を決める要因として最も大きいのは「水利権」だろう。近畿の水がめ≠ニ称される琵琶湖から豊富な水量を得る淀川から取水する権利で、自治体で差があり、どれほど持っているかでコストは上下する。

 浄水場などの施設を所有しているかどうか、配水管の距離、老朽化対策などの運営コスト、消費者である市民の数、大量使用の大企業の存在などによって製造単価が決まり、料金は設定されている。

守口市 自己水96%で安い
門真市 すべて企業団から購入

 守口市の水道は1925年に始まり、府内では大阪市、堺市に次ぐ3番目に古い歴史を持つ。現在は年間1667万t(2015年度)を配水している。

 同市の強みはなんといっても水道水源となる淀川の水利権を持っている点だ。そのため年間配水量の96・1%を自己水で賄っている。自己水の製造単価は1tあたり49円だが、企業団から浄水を買うと、75円と高くついてしまう。

 「守口市の水道料金は全国平均よりかなり安い。例えば市販のミネラルウオーター1本分の値段で、水道水1000本は飲めるから、経済的にかなりお得。もちろん味も、飲み比べてもわからないほどなのだから」と同市水道局の吉本知亮総務課長はアピールする。

 一方、隣りの門真市は淀川の水利権を持たない。このため同市は配水の100%を府の企業団から購入しており、この差が水道料金に跳ね返っている。

 面白い余談を一つ。かつて淀川の流れが今とは違っていたため、この辺りの境界は非常に入り組んでいる。守口市立第1中学校も境界をまたいでいる一つで、正面玄関は守口市でも、プールは大阪市旭区に位置している。水道は守口市から引いているので、校内のどの蛇口をひねっても、出てくるのは守口の水。当然、大量に使うプールも大阪市料金ではなく、守口市料金となる。

大阪市 経営効率化で安価維持

 大阪市の水道料金はどうして安いのか。

 同市水道局の大塚久征経営企画課長によると、「大阪市が水道事業を始めたのは1895(明治28)年で全国の自治体の中で4番目に早い」という。このため、水道事業を始めた草々期からダムの建設や水路確保のための投資も行い、水利権を取得している。

 さらに市は早くから柴島(東淀川区)、庭窪(守口市)、豊野(寝屋川市)の3カ所の浄水場を整備するなど水道インフラも充実。「大阪市の水道料金は使用水量が多くなるほど、料金を高くする逓増制を採用」(大塚久征経営企画課長)しており、業務用に比べて一般市民が使う水道料金は安価だ。

 大阪市の基本料金は850円。月20立方m以内なら1カ月当たりの水道料金は2073円と府内の自治体でも二番目に安い。

 ただ一方で、売り上げは激減。「節水は大変いいことだが、20年前に800億円以上あった売り上+げは現在600億円。20年以上値上げをしていないが、収入は逆に200億円減。今後も経営の効率化などでできるだけ安価を維持したい」と話している。


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