週刊大阪日日新聞

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2020/9/12

町を訪ねて「鶴見」

 鶴見区の最も西に位置し、城東区からの分区に際して区名に採用された「鶴見」。大阪信愛女学院短大の鶴見キャンパスがある、鶴見通を挟んだ北側は区画整理された町で、整然としている。一方、南側は大型マンション群を一歩抜けると、かつて「下ノ辻」と呼ばれた集落の名残もあり、温かみを感じさせる。この町は近江から移住してきた人たちによって開村されたと伝えられている。そのため古い住民によると、今でも「言葉に江州弁なまりがあり、盆踊りは江州音頭」などといった近江ゆかりの色が濃い土地である。

来春開学予定

大阪信愛学院大学

 鶴見には大阪信愛女学院の鶴見キャンパスがある。短大看護学科(3年課程)の専門学舎として、240人ほどの女子学生が「医療の現場で、人の心に寄り添える看護のプロ=vを目指して、充実したキャンパスライフを楽しみ、学んでいる。その 信愛≠ナは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から認可が遅れているが、4年制大学の来春開学に向けた準備が進められている。認可後には「大阪信愛学院大学(仮称)看護学部となる鶴見キャンパス(大学2号館)で8月16日、実施されたオープンキャンパスをのぞいた。


▲「母性看護学実習室」で説明を受ける参加者ら

 「決して〇大には来ないでください」と、ユーモアセンスを感じさせるコピーで中止をネット配信した学校など、今夏はコロナ禍で、オープンキャンパス事情が例年とは異なり、中止や変更を余儀なくされたケースが続出している。しかし授業内容だけでなく、リアルな学校の雰囲気や環境、施設などを、ウェブではなく、実体験できるオープンキャンパスが進学を決める大きな判断材料として重要であることも事実だろう。

 今年2回目となった、この日の参加者は予約制で、限定された30人の受験予定者と保護者の22人。4年制では男女共学となるが、学生参加者に男子の姿は見られなかった。もちろん体温測定や手の消毒だけでなく、靴にもカバーをかけるなど、コロナ感染防止策を徹底した。そのうえ校内見学でも、限定参加者をさらに3組に分けて、時間差で実施した。


▲少しだけ看護師の仕事を見る体験も

 施設の見学で、参加者の関心が高かったのは、母性や小児、在宅など、各種の看護に対応した実習室だった。いずれもベッドを並べ、モデルの人形を使っての実習が可能な設備が揃っているとあって、興味深げに近づき、スタッフに熱心に質問する参加者が目立った。

 また見学に先立ち、大講義室では「大学設置準備室」のメンバーが、カリキュラムの特徴や卒業時に取得可能な資格などについて紹介した。助産師であり、他大学の学長経験者でもある新道幸恵さんは「一期生は教員と一緒に大学づくりをしていく(存在)」と呼び掛けた。上田博之さんによる「解剖生理学」の模擬授業も行われ、「個別相談」も実施された。

 参加した城東区在住の高校生は「過去に2度、入院経験があって、その時に話を聞いたことで看護師≠ノなりたいとの気持ちを強く持った。教室がきれいで良かったが、他も受験するので、まだ決めていない」と話した。「昨年も来て、今年も見に来た」という親子連れは「決めている」と断言する。私立高の看護系進学コースの高校生も「骨折した時にお世話になった看護師さんみたいになりたい」との受験動機だが「受験がどうなるのか」との不安も口にしていた。

 なお同校のオープンキャンパスは今後、9月26、27日と10月11日、12月13日に予定されている。

信愛学院の公開講座

 大阪信愛学院短大は地元や近隣3区役所の協力で、地域住民が学べる公開講座を積極的に実施しており、人気を集めている。講座は年度によって違うが、最近は年3回、秋に開講が定着し、会場は基本的に鶴見キャンパスを使っている。

 公開講座はすでに10年以上も続き、昨年11月に開かれた「認知症予防と園芸療法」で53回を数えた。この園芸療法の講座は、同短大で授業を持っている園芸療法士の寺田裕美子さんをコーディネーターに開かれているもので、植物と癒やしに関わる心理療法として注目されている 信愛≠ネらではのユニークな講座だ。また子育てに関わる講座も人気が高い。


人気店が店名新たにリニューアル

麺処にしむら


▲一番人気の醤油ラーメンを提供する西村正悟さん(フェイスシールド着用)

 鶴見5丁目の内環状線沿いにあるラーメン店「麺処にしむら」。国産地鶏の鶏ガラと魚介のWスープという和風だしは、夏と冬で塩分濃度を変える丁寧な仕事ぶりで、今年5月1日のオープンから行列ができる人気となった。それもそのはず、店主の西村正悟さんはTVでも取り上げられた人気店「鶴麺鶴見本店」の店長をしていた人物で、同店をリニューアルしての再登場となったものだ。

 コロナ禍で西村さんが始めたツイッター。おもちゃのマイクを片手に替え歌を歌ったり、失敗談も含めた日常を赤裸々に綴ったりして、人気を集めている。「少しでも元気になって喜んでくれる人がいるのがうれしい」という。

 先日、子どもの誕生日に「何を食べたい」と聞いたところ、子どもが「にしむらのラーメン」と答えたという家族が食べに来てくれた。「この時ほど幸せな気持ちになったことはない」という。3人の子を持つ西村さん。化学調味料を使わない黄金色のスープに特注の麺は、子どもたちも安心できるとしたうえで、「子どもの舌は正直だからね」と満面の笑顔で胸を張って見せた。


タクシー内の忘れ物はこちらへ

大阪タクシーセンター

 鶴見4丁目に「公益財団法人大阪タクシーセンター」=写真=と大きく看板された3階建てのビルがある。タクシーの配車センター≠ニ間違える人がいるようだが、大都市におけるタクシーの適正な運用ができるように、運転者の指導や研修、乗り場の設置など「適正化事業」と、運転者の「登録事業」などを行っている、公益性を認定された財団法人の建物だ。

 同センターの業務で、市民が最も関わるのは「苦情、忘れ物の受付」だろう。今年はコロナ禍の影響で乗客が3〜4割減となっているものの、タクシー内での忘れ物の数は毎年、横ばい状態が続いているのが実情。昨年度、センターに寄せられた届け出は1万3835件で、うち5000件を超え圧倒的に多かったのが「携帯電話」だった。

 同センターでは届け出があった遺失物の情報を、190弱あるタクシー会社にFAXで流して、確認しているが、忘れ物そのものは各社か警察に保管されているため、引き取りはそちらに出向くことになる。客の降車時への声かけ、後部座席の確認といった運転者への教育も実施しているが、常備されている「タクシーカード」や領収書を「もらっておく」ことが「手早く遺失物発見につながる」と同センター業務課の妹尾芳宏課長はアドバイスする。

 なお忘れ物や苦情は電話06(6933)5618で受け付けている。


鶴見の語源

 源頼朝が富士の裾野で巻狩りをした際に、金の短冊を結んで放した鶴の一部が飛来し、住みついたのを人々が見に訪れたのが、一説。また村落を縦貫する中高野街道が剣街道≠ニも呼ばれていたが、その剣がつるみ≠ノ転訛したともいわれる。


社務所で鍼灸

鶴見神社


宮本勝さん

 1925(大正14)年の第2次大阪市域拡張で市に編入されるまでは、東成郡榎本村の「大字下ノ辻」だった。鶴見連合振興町会の会長を長年務め、現在も相談役として地域を世話する宮本勝さん(83)も、毎日、中高野街道を歩いて、放出にある榎本小学校まで通った。

 戦時中、遠く集団疎開するところを、縁故を頼りに「横堤」に疎開となった宮本さん。終戦を迎え、たった5カ月間の隣村経験だったが、強いカルチャーショックを受けたという。「とにかく驚いたのが、言葉がまるで違ったことだ」。現在の鶴見区は、摂津の鶴見地区を除き、北河内の村々であったためだ。

 今では想像するのが難しいが、かつて区全域が用水路を巡らせたレンコン畑などの田園地帯だった。「この辺りも田んぼばかりで、のどかな風景が広がっていた」が、水路が道路や住宅となり、花博に合わせての地下鉄長堀鶴見緑地線の延伸を機に、マンションやショッピングモールなどが建てられ、新しい住宅地として生まれ変わっている。

 母親が1952年に創業した酒屋「角屋」を中学生の頃から手伝ってきた宮本さんは、近江と縁が深い地元の鶴見神社の総代長でもある。


花谷幸比古宮司

 鶴見の地を開いたのは、近江国下阪本村比叡辻の農民17人で、平安時代末期、天台宗の内紛抗争が坂本の日吉大社にも及び、それに嫌気をさしたとか、争いで生活の場を奪われたためという。移住者が日吉大社の八王子社の分霊を勧請したのが、鶴見神社の始まりである。そして花谷幸比古宮司(70)も「滋賀の大津あたりと気質が同じ」と、鶴見の古い住民の特徴を指摘する。

 ところで同神社はかなりユニークで、なんと社務所の中が「お宮の鍼灸整骨院」になっていて驚かされるが、聞いてみると花谷宮司は「その道では知る人ぞ知る存在」らしい。戦前に中国で学んだ父親が終戦の翌年に宮司と兼業で開業。自身も中国に留学し、親子2代に渡る中医鍼灸℃tで、森ノ宮医療大で「東洋医学概論」を教える先生でもある。「息子は鍼灸をする気がない。鍼灸院を続けていくには、鍼灸ができる嫁≠求めるしかないのかな」と笑う。

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