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2020/9/12

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

若者に大人気の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が安全保障上の脅威?

米中対立の矢面に グローバル社会にとって不毛な争い


▲若者に大人気の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」

 中高生や若者に大人気の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」。この身近なアプリが「もしかしたら今後、使えなくなるかもしれない?」。実は今、TikTokが米中対立をはじめ、外交問題の矢面に立たされている。スパイ活動など安全保障上の脅威≠ニして、世界から締め出されている中国の通信機器メーカー「HUAWEI(ファーウェイ)」のようになるか、事業自体を米国内で総売却するかの選択に迫られている。愛好者の多くは成り行きが気になるところだ。

中高生が夢中に

 「そんなアプリ、使った事がない」という人は、ここから先の記事を読む必要はまったくない。TikTokがなくても、電話やメールがあれば不自由しないからだ。

 TikTokが生まれたのは2016年の中国。生みの親はバイトダンス社を創立したIT技術者の張一鳴(チャン・イーミン)(37)。翌17年には早くも世界進出がはじまり、ユーザー数はすでに10億人。米国で1億人、日本でも1千万人が利用している。

 2018年4〜6月期には、iOSアプリでダウンロード数が世界一になり、日本では特に中高生が夢中になっている。TikTokは15秒≠フ短編動画を作り、みんなと共有できるSNSアプリ。手軽さが最大のウリで、動画編集も音楽やテーマを選ぶだけで簡単にでき、若者たちにアッという間に広がった。

利用者情報が中国当局に渡る?

 そこに「待った!」を掛けたトランプ米大統領。米議会がかねてより指摘していた「利用者情報が中国共産党に渡りかねない」という安全保障上の懸念が理由だ。米国内での中国製アプリ使用禁止を訴え、TikTok以外にも「中国製で信頼できないITサービスは追放する」と発表した。

 実際に今月15日を期限に、TikTok事業を米企業へ売り渡すか、不調に終わった場合は米国内からの閉め出しを示唆している。

 トランプ自身は、米企業が買収するかどうかではなく、「あくまで禁止」を念頭に置いている。昨年末には、すでに米軍人と沿岸警備隊員に「公用スマホでのTikTok使用禁止」を通達しており、米国民の4割はこのトランプ決定を支持。FBI長官は「中国のスパイ行為は10年前の13倍」と警告しており、トランプ自身も「中国製アプリは利用者の個人情報を通じスパイ利用される」と警戒心を見せている。

 ところでトランプ自身は、ツイッターでの情報発信を好んでいることは有名だ。当選直後から延々と続く、反トランプメディアの偽ニュースへの対抗措置ともいえる。 TikTokの締め出し≠ノ関しては、「先日タルサ市での演説会で、入場整理をオンラインの事前登録制にしたところ、TikTok愛好者らに大量に空登録され、『当日会場がガラガラ』といういたずらを仕掛けられて頭にきたから」と報道する向きもあるが、真相は果たしてどうか。

 外交的に中国と仲の悪いインドは、すでにTikTokを含む中国発祥のアプリ59個を禁止。親中で中国が最大の貿易相手国のオーストラリアでさえ禁止を検討中だ。香港でも国家安全維持法成立で事業撤退した。

 日本では与党が規制の検討を開始。われらが大阪府も、約3万3千人が登録し、「若い人に伝わるツールとして有効だと思っていた」(吉村知事)が、「住民不安」を理由に府公式アカウントを休止。アプリの運営会社との事業連携協定も一時的に凍結した。他の地方自治体も次々にサイト閉鎖に動いている。

原理原則曲げぬ中国

 創業者の張一鳴は、「自分はITオタクで、TikTokの映像内容に興味はない」と言い続けていた。最初から中国内に留まらず世界戦略を描いており、米国進出時には経営トップに米国人を据え、中国内では一時売国奴呼ばわりされたことも。バイトダンス社はITエリート技術者の集まりであり、そういう意味で張氏はファーウェイ社の任正非(レン・ジェンフェイ)CEO(75)同様、中国政府よりも自分たちの技術を信じ世界制覇を目指す優秀な経営者の1人だった。中国におけるバイトダンス社のITシステムは、大手通販のアリババなどと結びつき、すでに日常生活と切っても切れない存在になっている。

 確かにTikTokには、GPS機能など「必要なの?」と思わせる機能がある。しかし、それは米国産のフェイスブックやツイッターも同じだ。ただし、米中で決定的に異なるのは、ネット情報に対する当局の厳しい検閲があること。TikTokでは、中国内でタブーとされる「チベット」「天安門」「法輪功」「ウイグル」などの言葉や文字は、国際版でも削除されたりチェックされたりした形跡が報告されている。

 ファーウェイ社やバイトダンス社は、こうした中国の網の中から飛び出そうと世界戦略を進めていた。しかしトランプにことごとく阻止され、結果として中国当局に服従する形で助成を受けないと事業継続すら困難な状況に追い込まれた。グローバルな起業家は中国にとって極めて貴重だし、彼らがもし米国ビジネスの全てを失えば、当局にとってもこの分野から得る国益の約半分を失いかねない。

 中国はトランプ政権に対し「中国企業へのいじめを止めろ!」と再三警告するが、もともとは米中貿易摩擦が発端。ポンペオ国務長官は「我慢の限界」と呼び米中新冷戦≠フ到来をそそのかしてけん制している。中国系企業に中国当局の影がチラつけば、今後の海外戦略はさらに困難になる。

影響は広く利用者に

 中国は米国内でのTikTok買収の動きに対し、国内法を改正して先端技術の海外移転規制に乗り出した。もともと「国家情報法」で、国内企業は求めに応じて企業情報を提供する義務が課せられている。香港の「国家安全維持法」と同じく、自由主義国家では当たり前の政権批判や個人情報保護の概念は中国にはない。ファーウェイ社やバイトダンス社がいかに説明しても、米国ら自由主義圏からの疑念が晴れることはない。

 トランプの「アメリカ第一主義」の内向き発想と、習近平の「中華思想」による自国ルールを押しつけた世界進出。どちらもIT技術の発達による国境を越えたグローバル社会には、似つかわしくない不毛な争いだ。

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