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2020/8/8

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

米中対立は今どうなっているの?

コロナ報道の影に隠れて世界で進む中国包囲網

 日本の報道が連日、新型コロナウイルスの感染者速報一色に染まる中、世界では急激に中国包囲網の動きが加速している。

 香港での反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」を成立させた中国に対し、米は中国共産党幹部や金融機関への制裁を可能にする「香港自治法」で対抗。7月下旬には、ポンペオ米国務長官が中共と習近平国家主席を名指しで非難。互いの国内にある総領事館をスパイ容疑などで閉鎖し合う事態となった。「米中新冷戦」とも呼ばれているこの事態に世界は今、どう動いているのかを考えてみた。

妥協の余地なき両体制

 まずは両国の現状から眺めてみよう。「アメリカ第一」の自国優先主義を貫くトランプ大統領は、もともと政治家ではなく金もうけの世界に生きてきた人で、関心事は実は経済だけ。過去の発言をみると、新疆ウイグルの住民弾圧や、香港の人権、南シナ海の海洋進出など中国の諸問題にはまるで関心がなかった。

 ところが、トランプ流の外交一国主義は国内の民主党支持者にだけでなく、同盟国にも拒否反応が拡大。そこでポンペオ国務長官が、トルーマン大統領時代に米ソ冷戦の始まりを告げた「マーシャル・プラン」のマーシャル国務長官をまね、 中国との新冷戦*糾Jけを唱い上げた。EUやアジアの同盟国に「中国は共通の敵」と認識させ、トランプ大統領の再選を支持させるのが狙い。

 対する中国はどうか? 習主席の任期は本来2023年までのはずだったが、自身で憲法を書き換えて「半永久政権」の道筋をつけた。この辺りが自由主義法治国家の米国と、共産主義人治国家の中国との差だ。

 自由主義社会では政権批判は勝手にでき、選挙で政権交代も可能。封建主義国からいきなり共産主義国になった中国は、実は有史以来、国民が投票によって議員や首長を選んだことがない。しかも大国だけに一つの原理原則で縛らなければまとまらないため、政権批判が最大の犯罪。どこにでもカメラがある超監視社会で、地震や洪水の際は人的被害を発表しないし、国際救助隊も受け入れない。中国には国家情報法があり、求められれば企業は国に情報提供する義務があるからやりたい放題。米国がファーウェイやTikTokの使用制限に動いた理由もここにある。

 昨年まではトランプ大統領の横暴ぶりに開かれた貿易≠主張した中国の好イメージの方が先行していたが、香港人権問題で一気に覇権主義の馬脚が現われた。このほど成立した香港国家安全維持法は住人への締め付けだけでなく、外国人への海外適用も認めている。つまり日本人が日本国内で行った中国政府批判も、その人が後に中国や香港へ入国した際に過去の罪を問えるのだ。

 総領事館閉鎖合戦でクローズアップされたスパイ問題は今に始まった事ではない。両国は以前から機密情報や企業情報の奪い合いを長年繰り広げてきた。米CIAはプロ集団だが、中国は物量作戦で多数が米国に入り込み、さまざまな職業人や学生になりすます。

■米中貿易摩擦の経過
2018年7月 米が中国の輸入品に対し計2500億ドル分の制裁関税 中国が米の輸入品に対し計1100億ドル分の報復関税
12月 米中、貿易戦争「一時休戦」するも合意案に難色
2019年5月 米が2000億ドル分の制裁関税10%→25%に 米、中国からの全輸入品に制裁関税拡大計画発表 ファーウェイ制裁強化発表
6月 中国600億ドル分の報復関税を25%に
9月 中国、追加関税率10%と総額750億ドルの報復関税発表
12月 米、1600億ドルの対中関税を無期限に延期 米、9月発動の1200億ドル分の対中関税10%→7.5%に
2020年2月 米中経済貿易協定で互いの輸入品に上乗せした関税を初めて引き下げ
3月 米は新型コロナウイルスの流行を受けてマスクなど一部の医療用品を対中関税から除外 電話会談で米中が新型コロナウイルス対策を緊密に連携することで一致

経済戦争、米に勝ち目なし

 米中摩擦の1丁目1番地は貿易不均衡。2017年の収支は中国が過去最高の2758億ドルの大黒字。トランプ大統領は再三、関税の積み増しで脅し、中国側は農産物や工業製品など4分野で2年間2千億ドルの購入を努力目標として示したが、実現していない。

 香港問題は米議会で新しい香港自治法を作るよりも、実は「ドル・ペック制」と呼ばれる米ドルと香港ドルの緩い固定相場制を一気に解消してしまえば、香港経済は立ち行かなくなる。しかし、中国は長年米国債を買い続けて大量保有しており、外貨準備高も豊富。米経済の返り血は大きいのでとても踏み切れない。

少数民族妥協は皆無

 中国は漢族が人口の92%。残る8%に56の少数民族がいる。人口は世界最大の14億人。最多少数民族のチワン族は東京都民よりも多く1620万人もいる。

 中国には「ソ連のトラウマがある」と言われている。旧ソ連がウクライナやバルト3国などの他民族国家を独立させた結果、ロシアと敵対した国も多いからだ。ソ連に学んだためか、中国共産党は1950年代からチベット弾圧を開始し、今も新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区など少数民族地域での高等教育は北京語でしか認めていない。中央政府に対する批判や独立運動の兆しは徹底して封じ込めている。

他人の物は自分の物

 中華思想は一度でも収めた国はずっと自分たちのもの≠ニいう考え。歴史上漢族がチベットや新疆ウイグルを支配したことはないが、一時的な勢力範囲がすべて領土ならミャンマーや朝鮮半島、尖閣諸島、沖縄県まで入りかねない。

 中国はよく「木箱に入れた水のような」という表現で例えられる。誰も気付かない時にジワッと染み出し、いつの間にか周囲を濡らすという意味だ。先月末、在日米軍司令官が「尖閣周辺海域の中国公船侵入は、連続100回以上で前例のないレベル」と強く警告。菅官房長官は中国に再三抗議したが、中国側は「尖閣は中国領」と受け付けない。

 それどころかベトナム、インドネシア、フィリピンなどと領有権を争う西沙、中沙、南沙の諸島群に多数整備した人工島は今、勝手に新たな行政区にしてしまった。2016年にオランダ・ハーグの仲裁裁判所で無効判断が示されたが、完全無視。貴重な珊瑚礁もどんどん壊されている。米海軍は再三この海域で複数空母を展開し航行権を主張。中国海軍は米空母不在時を狙って空母を派遣、演習を重ね既成事実化を狙う。

 中国は現代版シルクロード『一帯一路』で、米と敵対するイスラム圏を数珠つなぎにする作戦。既にパキスタンはズブズブの関係だし、スリランカのハンバントタ港は大金で2017年から90年間借り受けた。米が自国経済優先で援助の金を出し渋れば、中国がちゃっかりと札びらを切って寝返らせる構図だ。

 最後は香港。住民は漢族だが、街を開いたのは500年前のポルトガルや英国の人々。彼らが作った街に漢族が出稼ぎで住み着いたのが始まり。人々は中国同胞というより独立した香港人なのだ。

 そもそも「一国二制度」は中国が台湾併合を画策した時に持ち出した手法。それを香港返還時にあわてて当てはめたに過ぎない。国家安全法で民主派立候補予定者を封じ込め、立法会選挙は来秋まで延期するという人治国家・中国の勝手なルール変更は目に余る。

 今後、最大のポイントは台湾の行方。習主席は任期延長の成果として、どうしても台湾併合にメドを付けたいと思っている。

 一見すると解決の糸口は見えないようだが、11月の米大統領選でトランプが再選を果たせば「さあ、経済の話しをしよう」と一気に雪解けに向かう可能性もある。

 日本は米ソ冷戦は「米国一辺倒」でよかったが、米中の二者択一は経済的に中国を切れないから簡単に答えは出せそうもない。

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