週刊大阪日日新聞

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2020/7/25

「疫病退散」と天神祭 大阪歴史博物館で資料公開

「ウィズコロナ」の意外な発見も


▲願懸重宝記

沢井浩一さん  俵和馬さん

 「疫病退散」を祈願した資料が、大阪市中央区の大阪歴史博物館で公開されている。新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた企画であり、江戸時代の「天神祭」のにぎわいを伝える屏風(びょうぶ)も公開されている。コロナ禍によって、天神祭の船渡御、陸渡御、奉納花火が中止となった今夏だが、大阪歴史博物館に足を運ぶと、先人による疫病との付き合い方を巡って意外な発見がありそうだ。

赤い玩具


▲猩々ダルマ

 酒を好む架空の動物「猩々(しょうじょう)」は、赤い体毛を持ち、体色も赤い。その猩々ダルマなどの赤物玩具の「呪力」について、学芸員の俵和馬さん(29)による解説は興味深い。

 「赤物玩具とは全体を赤く塗った玩具のこと。赤色には疫病よけの祈りが込められている。『天然痘』は、かつて疱瘡(ほうそう)神という疫神(えきじん)が引き起こす病と考えられていた。その疱瘡神は赤色を好む、もしくは嫌うとされている。赤物玩具を子どもに与えることで、病魔を遠ざけようとした」

 つまり、疫病の流行は抗(あらが)えないため、赤物玩具を通して「疱瘡神と遊ぶ」ように付き合い、病が軽く済むようにお引き取り願おうとする考え方だ。現在の「ウィズコロナ」ならぬ 「ウィズ疱瘡神」の対応だったというわけだ。

人面、虎、パワースポット


▲人面墨画土器

 赤物玩具だけではない。各時代の疫病よけ、魔よけの資料が、「疫病退散の祈り」(9月28日まで)と題して紹介されており、人々がどのように疫病と付き合ってきたのかを見ることができる。

 大阪市天王寺区の上本町遺跡から出土した「人面墨画土器」は文字通り、土器の外側に複数の人面が描かれている。この顔こそが疫神だという説がある。当時の人々は病気の原因を疫神のタタリや身についたケガレに求め、この土器を川や溝に流すことで、病気をはらおうとした。

 実際、この人面墨画土器が使用された奈良時代には疫病が流行し、都市部に大きな被害をもたらしていた。まさに、人々の未知の病への恐れとその対応を示す資料と言える。

 虎も、魔よけだった。7月27日まで公開中の「松下虎図」は、朝鮮通信使の船乗りだったピョンバックが1764(宝暦14)年3月に現在の神奈川県大磯で昼休憩を取った際に描いた。朝鮮で絶対的な力の象徴だった虎は、悪を追い払う守り神であり、その爪は魔よけの御利益があるとされた。日本 には虎がいなかったため、通信使が持参した贈答品の虎の皮は珍重されたという。


▲松下虎図

 この他、医学・薬学の神とされる神農(しんのう)を描いた「瘡神宮(かさかみぐう)護符」や、少彦名神社(大阪市中央区道修町)で11月21、22日にある神農祭で配られる張り子の「神虎」、歌舞伎作者の濱松歌国(はままつうたくに)著「願懸重宝記」も展示。願懸重宝記には疱瘡をはじめ、病気、歯痛の回復に霊験あらたかなパワースポットが紹介されている。

広がる船団

 「疫病退散の祈り」と共に、大阪歴史博物館が今夏開催中の展示が、江戸時代の天神祭の様子を伝える「天神祭の船渡御図」(8月3日まで)だ。

 江戸時代の天神祭は旧暦6月に斎行されていた。みこしは難波橋から乗船し、下流の御旅所へ渡御していた。当時の姿を描いた屏風「天神祭礼図」は、かがり火やちょうちんに照らされながら、催太鼓、みこし、御迎え人形などを乗せた船が川を行く厳粛な雰囲気を描写。もう一つの屏風「天神祭礼船渡御図」は、船渡御を見物するにぎやかな人々の様子を伝えている。

 学芸課長の沢井浩一さん(57)は「現在の船渡御は船が1列に川を上り、戻っているが、江戸時代は船団が広がって進んでいた。屏風の絵を通してパノラマ的に鑑賞してほしい」と呼び掛けている。


▲天神祭礼図の一部

 余談だが、渡御を迎えるために作られた御迎え人形は、浄瑠璃や歌舞伎に登場する英雄を題材にした等身大の人形であり、基調は赤色。疫病よけの祈りが込められた色だ。この点からも、疫病退散を祈願する天神祭の特性を知ることができる。

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