週刊大阪日日新聞

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2020/7/11

特集 橋下教育改革10年目の検証

府立トップ10校 校長インタビュー

 橋下徹氏の大阪府知事時代に教育改革の一環として、グローバルリーダーズハイスクール(GLHS)に指定された府立トップ10校は、2020年度で10年目の節目に入る。大阪のトップ校集団として、すでに不動の地位を築いているGLHSの今を追った。

文武両道でリーダー育成 探求する文化が浸透

生野高校 岡村 多加志 校長


「学校全体で学び研究する文化が浸透し始めた」と話す岡村校長


五綱領に基づく人間教育を進める生野高校
─生野高の教育方針は。

 校訓である五綱領『剛健』『質実』『自重』『自治』『至誠』のもと、GLHSの一校として『21世紀を行き抜く本物を育てる』を目標にしている。ネット社会やコンピューター技術、人工知能(AI)が導入され、国際化も進むなど激動化する世の中を生き抜くためには、国際関係においても人に信頼されることが重要になる。

 人と人とのつながりを学ぶ意味では勉強はもちろん、部活動や学校行事でも同世代で汗を流し、先輩に学び後輩に伝えるなど、学生の時にしか学べない人間関係もある。その意味でも『文武両道』を大きく掲げている。

─特徴的な学習の取り組みは。

 前後期の2学期制で、公立高の中で最大である70分授業を実施。2010年から取り組む『探求』の授業では研究テーマを自ら決め、1年間かけて調査、研究を行い発表をしている。大学進学し研究者になった際に、自分で決めたテーマをより深く研究できる人材への土壌づくりができている。

─文理学科導入10年目の成果は。

 10年間で探求活動が浸透してきたのが成果。学校全体で学び研究する文化が浸透し始めた。毎年実施している国際交流では、希望者がオーストラリアに行き2週間にわたり現地の人と交流。語学や文化をコミュニケーションをとりながら学んでおり、世界に目を向けるという意味で大いに役に立っている。

─今後の課題は。

 文武両道を掲げていく上で、『進学を優先してほしい』『部活に力を入れてほしい』という声が上ったこともある。現在は両立が浸透したが、今後はいかに学校の個性を忘れず、勉強、部活ともに磨き上げていき続けられるかだと思う。

 将来チームを引っ張る人材を育てるためにはどちらかが欠けてもいけない。公立高最大である1日計350分の授業時間であるため、限られた時間をどう有効活用するか試行錯誤を続けていく必要がある。

 また、世界で情報化、国際化が進んでおり、学校も新時代に対応しなければならない。新型コロナウイルス感染拡大で、新たにリモートによる授業法もできた。今後も感染第2波が来た際には、再び生徒が何週間も登校できない可能性もある。インターネットを利用した健康管理や、授業の進め方も早急によりよいものを模索していかなければならない。

─入学を目指す中学生に一言。

 他の9校と比較すると通学の利便性は弱い。一方で都会にはない落ち着いた環境や広大な土地があり、やりたいことを集中して学べる環境がある。勉強に部活と忙しい中にも充実した毎日を過ごせると思う。さまざまな経験、勉強や友人との出会いを通じて、最終的には仲間とともに次の時代を切り開いてほしい。

 松原市新堂1丁目。大阪市生野区で1920(大正9)年創立し、69(昭和44)年には広い校地を求めて現在の土地に移転した。今年で創立100年を迎える伝統校の一つ。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され3期目を迎える。ラグビー、かるたなど計40の部活があり、陸上部は8年連続インターハイに出場した。卒業生には吉村洋文氏(大阪府知事)、井村雅代氏(アーティスティックスイミング日本代表ヘッドコーチ)らがいる。


しなやかさと信念持つ人材に 難関大進学率は2倍以上

豊中高校 平野 裕一 校長


「教師の能力が上がり、生徒の研究の質も上がる。いい循環が起きている」と話す平野校長


「国際社会で活躍する人材の育成」に力を注ぐ豊中高校
─豊中高校の教育方針は。

 目指すものは『国際社会を舞台に活躍する人材の育成』。勉強だけでなく部活や学校行事を通じ、多様性をもって柔軟に知識を活用できるしなやかさ、一本芯の通った信念を持つ人材育成に力を注いでいる。

─特徴的な学習の取り組みは。

 GLHS指定校として、教育方針にもある国際社会で活躍する人材を育てるために、欧州での語学研修を独自に実施。希望者が現地で欧州各地から集まる学生と一緒に授業を受け、知識やコミュニケーション能力を身につけるとともに、実習中はホームステイして文化も学ぶ。また、希望者には外国人を交え討論をする『即興型英語ディベート』も実施し、英語の話す力を身につける授業も行っており、国際社会のリーダへの成長に役に立っている。

 生徒が地域に出向いてボランティアを行う志学も特徴で、全生徒が福祉施設などで部活の活動成果を披露したり、地域の清掃を行い地域との交流や他人の役に立つという経験を得ることができ、人材の育成に大きな役割を担っている。

─文理学科設置が与えた影響は。

 研究テーマを設定し、探求する『課題研究』では教師が毎週集まり、授業方法や内容についてより良いものにするため意見を出し合い話し合っている。各教員が自身の教育法を見直すきっかけにもなり、確実にスキルアップにつながっている。教師の能力が上がることで、生徒の研究の質も上がり、先輩の研究に感化された後輩がより質の高い研究を行うといったいい循環も起きており、相乗効果が見られている。

─今後どんなことに力を入れていく。

 現状、10年前と比較し、難関大への進学率は2倍以上になり、教師や生徒の成長が結果として出ている。今後はICT(情報通信技術)を使い授業の無駄を削減し、限られた時間をいかに有効活用し、校風を守り進学校であり続ける努力をしていくかが重要になる。

 例えば、ICTを使った授業では、事前に作成した資料を活用することで板書時間を削減でき、生徒にもノートに文字を書かない課題を出すこともできる。減らした時間を、生徒と教師のふれ合いを増やすような教育活動に充てることで、より生徒の心の成長に寄与することができると考えている。

─中学生へメッセージを。

 実現できるかできないかにとらわれず、10年後自分がどうなりたいか『夢』をもって入学してほしい。そして、夢の実現のための授業や学校活動が、豊中高校にあるかを事前に吟味して受験してほしい。そうすれば、入学後も目的を持っていい時間を過ごすことができ、夢の実現への近道となる。

 豊中市上野西2丁目。1921(大正10)年創立。校訓は心も体も健康とういう意味の「質実剛健」と、みんなで協力し何事にもチャレンジという「協同進取」の二つ。部活も盛んで、野球部、水泳部、ダンス部などがあり加入率は9割を超す。卒業生には鳥井道夫氏(サントリー名誉会長)、辻晴雄氏(元シャープ社長)、新宮晋氏(彫刻家)らがいる。

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