週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2020/4/25

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

医療崩壊を阻止せよ 本庶提言から読み解くわれわれにできること

「把握されている10倍はいる」…
 最大の問題は無症状感染者の多さ

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「緊急事態宣言」が全国に拡大された。同時に大阪府などは「特定警戒地域」に指定。すでに全国の約20カ所の医療機関で院内感染が起こり、府では医療従事者に応援基金を創設して、医療崩壊を阻止する支援体制を整備。ネット上に示されている本庶佑(ほんじょ・たすく)京大特別教授(78)=2018年ノーベル賞生理学・医学賞受賞者=の緊急提言を中心にわれわれができる対応策≠読み解いてみた。


▲大阪市住吉区にある大阪急性期・総合医療センター

ウイルス専門家

 本庶先生は、一般には「ノーベル賞のエライ人」としか知られていないが、現役の京都大がん免疫総合研究センター長で医師。専門は「ウイルスや細菌に対抗する抗体研究に基づくがん免疫治療法」の世界的権威。その言葉には専門家としての重みがある。提言は多岐にわたるが、ここでは重要な4点に絞って見て行こう。

コロナはずるい忍者だ

 提言@敵は見えない忍者。相手を見つけないと戦えない。検査して無症状・中軽症・重症の振り分けが必要。

 国は当初、「保健所経由でPCR検査」をしていた。これは水際対策には有効だが、市中感染が始まったら無意味。現在、各地の病院で発熱者拒否が続いているが、PCR検査ができないから受け入れを拒否せざるを得ない。検査が追いつかず、肺をCT撮影して肺炎の有無で診断を代行する始末だ。

 理想はかかりつけ医が患者からの検体を民間検査会社に出し、PCR判定すること。韓国のドライブスルー方式も好評で、鳥取県などが採用を決めた。東京都が先陣を切って病院内にテントを張り、地元医師会がPCRセンターを開設。発熱外来も別に置いて患者の洗い出しへとかじを切った。本庶先生の提言通りの措置だ。

無症状感染者こそ危険

 提言A医療崩壊阻止へ、満員電車は最も危険。1カ月程度外出するな。

 「把握されている感染者の10倍はいる」と予想する医師もいるほど、新型コロナの厄介な点は無症状感染者の多さだ。この無症状感染者が知らないうちにウイルスをまき散らし、いつの間にか治ってしまう。都会のシンボルでもある満員電車は濃厚接触の極み=B家族や同僚にうっかり感染させないためには「分ける」と「除菌」しかない。家族でもタオルなどを共用しない、こまめに手洗い・うがい・入浴するのがポイントだ。

 クラスターを発生させ、病院の機能を奪う院内感染は関西でも続発している。どこに無症状感染者がいるか分からないから、発熱とは関係ない診療科や開業医にもリスクが生まれる。今やどこの医院にいっても「発熱者お断り」の状況。実際に発熱し、救急車搬送してもらっても受け入れてくれる病院がなかなか見つからない。 代替策としてスマホやパソコンの動画機能を使ったオンライン診察がスタート。初診から対応してくれ、クレジットカード連動で処方せん投薬も受けられる。

 都会の大病院ではコロナ禍のあおりで、予定された手術が延期になったりする玉突き影響がすでに発生。「ならば」と子どもやお年寄りを地方の実家に預けるコロナ疎開・帰省≠考える人が出て、今度はこれが地方医療体制をひっ迫し、ウイルス拡散の悪循環を招いている。

何でも使い救命第一

 提言B野戦病院の戦いでは、有効なものは何でも投入せよ。

 コロナとの戦いは、弾こそ飛び交わないが戦争だ。患者が続々と運び込まれ医療物資もスタッフも足りない野戦病院と同じだ。大阪府の感染症用ベッドは600床で、東京の750床に次ぐ第2位。しかし、現場はベッド数より医療スタッフ不足の方が深刻。さらに重症者用のECMO(人工心肺)などは、24時間スタッフが付きっ切りで非常に手間が掛かる。

 コロナ退治のポイントは「重症化させない」に尽きる。最近よく聞くアビガンなど他の病気治療薬を「効くなら、非常時だからためらわず投与せよ」という意味だ。

 軽症者は借り上げたホテルで待機療養してもらい、病院のベッドは中症者以上のために空けてもらう。そうして一般救急病院に感染者があふれ出すことを防ぐ。院内感染の防止と夜間医療体制の確保にも有効だ。

 今や医療スタッフのプレッシャーは日々増大している。防護服、医療用マスク、フェイスガード、手袋といった感染防止盾≠ェ圧倒的に足りないからだ。これらは輸入品が大半だから、生産国は自国を優先して日本などに回してくれない。大阪市が「医療現場で使うので雨ガッパを寄付して」と呼びかけたのもそのためだ。同じく府が基金を創設し、医療スタッフや軽症者受け入れホテル従業員への応援金≠ニして分配しようというのも、労苦に報いてもらうため。

目先利益のみ追うな

提言C 未来への教訓は、経済利益より命・社会・国を守ること。

 支持不支持の割合が逆転した安倍総理は、評論家との面談で今回のコロナ禍を「第3次世界大戦」に例えた。その発想は正しい。アベノミクスでいくら好況になっても、地球規模のパンデミック(感染爆発)が起これば、すべてが一瞬で吹っ飛ぶことを思い知ったからだ。トランプ米大統領のように国民が世界で最も亡くなっている中で経済再開を叫ぶのは論外だが、お隣の韓国ではコロナ封じ込めの功績で、文在寅政権が歴史的大勝を収めた。国民は命に関わる危機管理に極めて敏感だ。

 本庶先生は日頃から「目先の結果より、基礎研究が大切」と説いていた。大学の価値は産学協働で金もうけすることではない。安倍政権は、少子高齢化対策に医療や介護・福祉の費用を削り、グローバル化の名の下に製造業を見下し、インバウンドに力を入れた経済成長を推し進め、そのツケが一挙に来たといえる。

 目前の利益に走らず、バランスの取れた投資を維持することこそ「国民の命を守り、想定外のトラブルに即応できる」という教訓を得たのだ。

■新生・スーパー玉出の湯本正基社長に聞く 新鮮、良質を安く

■森友自殺文書開示訴訟 口頭弁論 国側主張「コロナで延期は合理的」

■文化功労者、西川きよしさん 漫才文化 認められた

■「大阪・光の饗宴」開幕 コロナ禍に希望の光を

■WMG関西 1年延期承認 競技日程は保留

■海老蔵さんら道頓堀で祈願祭 劇場文化の復興を


週刊大阪日日新聞
最新号
毎月第2・第4土曜発刊
「大阪日日新聞」
電子版
電子版の詳細はこちら
アップルストア グーグルプレイ
日日チャンネル【Gotoキャンペーン編】/「宿泊」「ステーキ食べ放題」「お酒飲み放題」で、なんと! 2,500円 だった
pagetop