週刊大阪日日新聞

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2020/4/25

森友改ざん 職員自殺 上司は懲戒後栄転、天下り

異例の出世、内部告発

 森友学園への国有地値引き売却を巡る財務省の公文書改ざん事件で、自殺した財務省近畿財務局職員の上司が懲戒処分を受けた直後に同局ナンバー2の総務部長に栄転し、退職後に神戸信用金庫(神戸市)に天下りしたことが、内部からとみられる告発文書で分かった。財務省は異動も再就職も問題ないとしているが、この上司は職員の死亡直後に遺書を見たがったり、遺族にマスコミに接触しないよう働きかけたりしていたことから、遺族は不信感を募らせている。

 森友事件を巡っては、公文書の改ざんに関与させられた近畿財務局の上席国有財産管理官、赤木俊夫さんが2018年3月に自殺した。当時、赤木さんの上司だった同局の楠敏志管財部長は、改ざんに関与して戒告の懲戒処分を受けたが、その1カ月後に同局ナンバー2の総務部長に栄転していた。

 文書によると、楠氏は19年、退職して下部組織の神戸財務事務所に再任用されたが、その際、特別に個室を与えられたという。さらに今年、財務事務所を退職後、財務局や財務事務所にとって監督先に当たる神戸信用金庫に天下りしたという。

 こうした異動や天下りについて、告発文書は「当時の上司たちは全員、異例の出世をしています。まさに赤木さんを食い物にした」などと訴えている。

 取材に対し財務省は、楠氏が指摘通りに異動と再就職をしたことを認めた。ただ管財部長から総務部長への異動は、同等の職位で昇任ではないと主張。また天下りの指摘については、再就職の規制に違反する行為があったとは承知していないと答えている。

 しかし財務局関係者によると、内部で総務部長は他の部長よりも格上のナンバー2と見なされている。楠氏は再任用された神戸財務事務所で、会議室を個室として与えられていたことを認めた。さらに、神戸信用金庫への天下りは必要な手続きを踏んだのかという問いには答えなかった。

 亡くなった赤木さんの妻によると、楠氏は赤木さんが自殺した翌日、自宅を訪れた際に2度にわたり遺書に言及し、見せてほしいと申し出たが断ったという。

 また「報道機関が押しよせたらえらいことになる」「新聞社ってこわいですよ」などと、再三にわたりマスコミに接触しないよう働きかけたという。

 赤木さんの妻は、楠氏に直 接話を聞こうと天下り先の神戸信用金庫に赴いたが、何も答えてもらえなかった。これについて赤木さんの妻は「夫の死を利用して出世したのだとしたら許せません。これからも真相を話してもらいに行くつもりです」と語った。


▲内部告発文書の全文

「僕は一切しゃべらない」

故赤木さん妻の問いに元上司

 4月13日、月曜日。朝から雨の降る寒い日だった。亡くなった財務省近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻は、早朝から凍えながら、神戸信用金庫(神戸市)の本店前に立っていた。緊急事態宣言の最中で人通りもいつもより少ない。告発文書で「赤木さんを食い物にした」と指摘された公文書改ざん当時の上司、楠敏志氏が出勤してくるのを待っていた。

 朝8時前、楠氏が姿を見せた。2年前、夫が亡くなった時に自宅に来ているから顔は分かる。近づいて話しかけた。


▲自殺した職員の妻の質問に「しゃべらない」と告げる上司だった楠氏=4月13日、神戸市

 「楠さんですよね」

 「いや」

 「私、赤木です」

 「あぁ!」

 「お話、聞きたいんですけど」

 「時間ないから」

 何度頼んでも冷たくあしらわれ、思わず涙声になった。
 「お願いします!」

 職場の前で女性に泣かれて焦ったのだろう。楠氏はとりあえず昼休みに会う約束をして建物に入った。

 その後、赤木さんの妻は近くの三宮神社に向かった。ここは夫の俊夫さんとよく訪れた思い出の地。楠氏に話を聞く前に手を合わせ「ちゃんと聞かないと」と胸に誓った。

 約束の昼休み。楠氏は姿を見せたものの、「(森友事件のことは)僕は一切しゃべらない」と言いながら足早に歩き去っていく。

 「夫はあなたから、美並局長(当時の近畿財務局長)が『全責任を負う』と言ったと聞いたって」

 「僕はもう会社(近畿財務局)を辞めたから」

 「それは理由にならないですよ」

 「僕はもう一切関係ありませんよ」

 「逃げるんですか。あの時『2週間待ったら死ななくてよかったのに』って、おっしゃいましたよね」

 「いろいろな動きが会社の中であったから」

 「それを教えてください」

 「会社のことは一切しゃべらないって」

 「じゃあ名刺ください」

 「渡しませんよ。何であなたに」

 「本当のことが知りたい。夫が死んだんです」

 「だからしゃべりませんって。僕は何も言いませんから、過去のことは」

 「過去のことと言いましたね。夫は過去のことですか。亡くなって終わりですか。私の中ではまったく終わっていないんです」

 「これで失礼します。ついて来ないでください」

 逃げるように職場に戻っていく楠氏。建物に入ろうとする背中に赤木さんの妻が声をかけた。

 「楠さん、次は答えてくださいね!」

 楠氏はゼロ回答だったが、赤木さんの妻はちっとも落ち込んでいなかった。「大丈夫ですよ。へっちゃら、へっちゃら。卑怯ですね、何にも答えなかった。でも言いたいことを言ってやれて満足です」

(大阪日日新聞編集局長・記者、相沢冬樹)

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