週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2020/2/8

大阪都構想 再審再び 

10年続く議論への回答

 政令指定都市である大阪市は今回も維持されるのか。廃止され、特別区に姿を変えるのか。かつて僅差ながら否決された「大阪都構想」が、今年11月上旬にも再び住民投票で問われる。「大阪府との二重行政を解消し、市民サービスを充実させる」「莫大なコストがかかり、特別区の財源不足や税収格差につながる」。賛否を巡り10年続く議論への回答が示される。

大阪都構想

 大阪維新の会の看板政策で、政令指定都市(政令市)である大阪市を廃止し、東京23区と同様の特別区に再編する構想。市と大阪府の法定協議会が作成し、5特別区への再編案をまとめた「協定書」が2015年5月17日の住民投票で反対70万5585票、賛成69万4844票の1万741票差で否決された。17年に法定協が再び設置され、昨年12月、新たに4特別区への再編案の大枠が了承された。2回目の住民投票が11月にも実施される見通しとなっている。

政令市存廃議論10年 4特別区への再編固まる

11月にも住民投票

 2015年5月の住民投票で否決された大阪都構想は、大阪維新の会が半年後の大阪府知事と大阪市長のダブル選を制したことで息を吹き返し、改めて制度案作りが進められてきた。大阪維新は昨年春の統一地方選でも大勝し、公明党が賛成に転じて議論は加速。25年元日に市を廃止し、4特別区に再編する制度案の大枠が昨年末の法定協議会で了承された。

 都構想は08年に知事に就任した橋下徹氏が市との二重行政を問題視し、10年に大阪維新を設立して議論が本格化した。大阪維新は11年の統一地方選で躍進し知事、市長ポストも確保。住民投票にこぎ着けたが、人口約34万〜70万人の5特別区への再編案は否決された。

 その後、「松井一郎知事、吉村洋文市長」体制で進めた再挑戦の動きは一時、立ち往生した。大阪維新は法定協や議会手続きを単独で進められず、協力を求めていた公明党との関係が悪化したためだ。松井、吉村両氏は昨年4月、立場を入れ替え臨んだダブル選で圧勝。影響力を強め、公明の協力獲得にこぎ着けた。

 新たな制度案は24行政区を人口約60万〜75万人の4特別区に再編し、名称を「淀川区」「北区」「中央区」「天王寺区」とする内容。淀川区に新大阪駅や25年大阪・関西万博会場の人工島・夢洲、北、中央、天王寺各区には中心的な繁華街を配し、教育委員会や児童相談所などを設けて身近な住民サービスを受け持つ。府は都市開発などの広域行政を担い、介護保険事業などは新設する一部事務組合が担う。

 今後は制度案を市民に説明する法定協の「出前会合」を4回開催し、6月ごろに協定書として正式決定。両議会の承認を得て住民投票を実施する。日程は11月1日が最有力となっている。

 前回は自民、公明、民主(当時)、共産各党の地元組織が反維新・反都構想で連携した。松井氏は「エキサイティングに主張をぶつけ合い、中身が伝わらなかった。今回は冷静に伝えたい」と戦略を練る。吉村氏も「最後の審判を仰ぐことになる」と決意を示す。


政令市で初
「妥協の産物」消滅か 大阪市異例の動き

 大阪都構想が実現すれば大阪市は1956年の制度創設以来初めて消滅する政令指定都市となる。府県からの独立が果たせず「妥協の産物」として誕生した歴史を持つ政令市では異例の動きで、横浜市などはなお「完全な独立」を志向する。

 制度創設に伴って政令市となった第1陣は、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の5市。これに先立ち国は、独自財源を元に自由な行政運営をしたい市側の求めに応じて、完全独立する「特別市」制度を設けていたが、府県が他地域の衰退につながると猛反対。導入事例はないままだった。

 政令市は現在20市にまで増え、国道管理や児童相談所設置など都道府県並みの強い権限を持つ。政策研究大学院大の横道清孝副学長(地方自治論)は「道府県という『保護者』抜きで国と対峙し、行政の質が高まった」と現状を分析し、制度はなし崩し的に定着したとみる。大阪大大学院の北村亘教授 (行政学)も「多くの政令市は現行制度のメリットを感じている」と指摘する。

 「二重行政」の解消を模索する動きはある。最も人口が多い横浜市は県民税を市民税に移管するなど、さらなる権限強化を主張。県から独立する「特別自治市」の制度実現も掲げ、指定都市市長会としても国に繰り返し要請している。

 ただ大阪市のように自らを解体する動きは他に進んでいない。北村教授は「合併と逆に市域分割をする都構想では行政コストが上がる。大手術は拙速だ」と警鐘を鳴らしている。


保育所利用調整積み残し 「自治体分割」で混乱も

 「実情に合った施策で住民サービスを最適化する」。大枠が了承された大阪都構想の制度案は、特別区設置のメリットをこう強調する。だが大阪市が特別区に分割されると、子どもを通わせたい保育所が隣の区になってしまう可能性もある。優先順位を付けて利用者を決定する「利用調整」のルール作りは住民投票後に積み残す方向で、不安を訴える声もある。

 大阪市北区の30代の女性は「子どもを保育所に預けやすい現在の環境が失われるのでは」と都構想を疑問視する。勤務先と子どもの保育所は隣接する中央区にあり、送り迎えと通勤に便利だ。利用調整は市全域で行われ、行政区が住まいと別でも問題はない。

 だが都構想が実現すれば原則として利用調整は特別区ごと。行政区の北区と中央区は特別区として別々の自治体になる。

 東京23区でも共通ルールはない。世田谷区では利用調整に用いる基準の点数を付ける際、住所が区外だと一律「マイナス10点」と算定し大きく不利になる。担当者は「年齢や地域にもよるが現実的に区外からは受け入れられない」と話す。

 大阪市によると、昨年4月時点で市内在住で市内の保育所に通う子どもは5万2673人。市から特別区に移行した場合、このうち1452人が自宅と保育所が別々の区になってしまう。

 市の担当者は「自区優先とはならないと思うが各特別区長の判断だ」と説明。ただ幹部は「住民にとって思わぬ不利益が生じる可能性がある。課題の洗い出しも含め、もっと議論が必要だ」と危機感をあらわにした。












2008年2月 橋下徹氏が大阪府知事に就任
10年4月 都構想実現を目指す政治団体「大阪維新の会」設立。橋下氏が代表に
11年4月 統一地方選で大阪維新の会が府議会の過半数を獲得、大阪市議会でも第1会派
11月 橋下氏が大阪市長、松井一郎氏が知事に初当選
12年8月 政令指定都市の廃止手続きを定めた大都市地域特別区設置法成立
15年4月 統一地方選で大阪維新が府議会、市議会の最大勢力維持
5月 都構想の是非を問う大阪市民対象の橋下氏が政界引退を表明
11月 都構想再挑戦を掲げ、松井氏が知事に再選、吉村洋文氏が市長選で初当選
17年6月 都構想の新たな制度案をつくる法定協議会設置
19年4月 統一地方選で松井氏と吉村氏が立場を入れ替えた市長、知事の「ダブル選」で圧勝。大阪維新の会も府議会で過半数を獲得、市議会でも第1会派に
5月 大阪維新と公明党大阪府本部が、1年をめどに都構想の協定書(制度案)を作成し、速やかに住民投票を実施することで合意
12月 法定協で、25年元日に大阪市を廃止して4特別区を設置するとした制度案の大枠を可決、了承




20年4月 協定書案の内容を市民に説明する法定協の「出前会合」開催
6月ごろ 法定協で協定書を決定
9月ごろ 府市両議会で協定書承認
11月1日? 大阪市民対象の住民投票

■府の中小融資 受け付け開始 運転資金や設備資金

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