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2020/1/25

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

ゴーン事件の真相は何か? 現在、過去、未来から読み解く

 元日産自動車会長のカルロス・ゴーン被告(65)が4月の初公判を前に、年末のどさくさに紛れてレバノンへ出国。現地で記者会見し、日本の司法制度と日産や政府を痛烈批判した。この問題を考えるポイントは3つ。まず「ゴーンは日産で何をしたのか?」という過去=A次に「彼が批判する日本の司法制度は本当に問題なのか?」という現在=A最後に「これからの彼」という未来≠セ。

弁護士同席は世界の流れ

 日本の司法制度で、裁判に掛けるかどうか(起訴)の権限は誰が握っているか。それは検察官だ。検察官は裁判をする限り、有罪を立証する責任があるから、証拠不十分だったり微罪だったりするものに関しては裁判の請求をしない。

 検察にはそういった心理が働くと知ったうえで、ゴーン被告の事件を見てみよう。この場合、捜査は警察ではなく、東京地検特捜部が直接手を下した。だから、あらかじめ起訴することは決定事項だった。

 ドラマなどでもご存知の通り、特捜部が直接扱う案件の起訴率は100%近い。この特捜部が直接手を下す案件とはどういったものか。私の知人の検事はこう説明する。「我々の存在は日本国を守ること。ローマもギリシャも過去の優れた国の滅亡は、外敵ではなく内部崩壊にはじまった。民衆が不条理に感じる事を見逃しては、不平不満がたまるからだ」

 つまり、特捜が許せなかったゴーンの不条理は日本企業で非常識な報酬を得た罪≠ニいうことになる。

 ゴーン被告は会見で、日本の検察を痛烈に批判。「私は母国でない国に独りで留め置かれ、何が理由か分からない罪で、理不尽な司法制度の下でいつ終わるか分からない裁判に掛けられようとしている。妻とも会えずこのまま日本にとどまることはジワジワと死んでいくようなもの。自らを守るためには日本を出るしかなかった」。

 取り調べ時間の長短やシャワー回数はともかく、逮捕時に最も問題となるのは欧米をはじめとする諸外国では当たり前の「取り調べ時の弁護士の同席」が認められていないこと。日本の接見禁止≠ニいう制度で、逮捕者を弁護士や家族と長期間接触させず、取り調べ側のペースで自供を引き出す捜査テクニックが長年用いられており、過去のえん罪の多くは自白強要が原因。昨今では「可視化だ、録画だ」と検察側も折衷案を出しているが、そもそも弁護士の同席を認めればすべてが解決する。

 ゴーンの逮捕容疑も分かりにくい。1、2回目の「金融商品取引法」違反(有価証券報告書虚偽記載)の容疑は、簡単にいうと「直近8年間の報酬を79億円としているが、後払いの株式が170億円になり申告していない」という内容。ゴーン側は「まだ支払われていない株式報酬の過少申告は不可能。独断でなく役員会ですべて了承を受けた」と反論。3、4回目の「会社法」違反(特別背任)は「海外代理店などに不正に資金支出した」というものだが、これもゴーン側は「中東の自動車販売店の活性化目的。役員会で承認された」とし、どちらも解釈を巡って対立していて、はっきり犯罪とはいえない。

 逃走により日本の弁護団は既に辞任、4月のゴーン初公判はまったくメドが立たなくなった。

 国外逃亡に対し日本政府がICPO(国際刑事警察機構)を通じ「逮捕送還」を請求できるのは、自国民の日本人だけ。

長すぎた「日産救世主」の座

 ゴーン被告は、ブラジル生まれのレバノン人でキリスト教徒。フランスを含め3カ国籍を持つ。レバノンのアラビア語、ブラジルのポルトガル語、ルノー社があるフランス語、そしてビジネスに欠かせない英語の4カ国語に堪能。並みの日本人ビジネスマンが太刀打ちできる相手ではない。

 経営危機の日産自動車へ提携先の仏ルノー社から送り込まれたのが45歳の時。たった1年で過去最高額の当期利益3310億円を上げた。背景にはコストカッター≠ニ呼ばれる容赦ないリストラがあり、国内5工場を閉鎖し全従業員の14%、約2万1千人を解雇した。企業改革に手腕を発揮し日本企業構造改革の神様≠ニ呼ばれた。

 この功績で、仏ルノー社長兼CEOとなり、同会長にも。2016年には三菱自動車会長も兼務し、翌17年には世界販売台数でトヨタを抜いて、ルノー・日産グループはフォルクスワーゲンに次ぐ2位に躍進。まさに絶頂期だった。

 その裏で16年にキャロル現夫人と再婚。その時期に役員報酬増額を強く要求してうなぎ昇りで増え続け、私的流用や負債付け回し、虚偽記載などの横暴な振る舞いが広がったとみる向きも。

金持ち天国レバノン

 では、この騒動が今後どうなるかについて触れたい。ゴーン被告がいるレバノンは、地中海の東岸に位置し北東部は紛争地シリア、南部は敵対関係にあるイスラエルに接する。面積は岐阜県くらいの小国で第2次大戦後に独立したが、それ以前の宗主国はフランス。多数の宗教が林立するモザイク国家=B

 イスラエルに何度も侵攻され、内戦も続いて産業は崩壊。難民も数多く抱え込んでいる。こうした政情不安で貧富差が拡大。富裕層1%が全国民の総所得の4分の1を占めるとされる。

 ゴーン被告は世界で成功した経営者≠ニして切手肖像になるほどの有名人で、国内の金融機関やレストランなどに幅広く投資。同国の武装警官に守られ暮らす姿を見る限り、政権中枢にかばわれ優雅に暮らせそうだ。

 今後は、脱出劇をクライマックスにした米ハリウッド劇映画制作、執筆出版活動を解禁。かつて仏大統領広報官を務めた人物の率いるPR会社を広報窓口にしており、さまざまな情報を小出しにして人々の興味をつなぎ止めながら、自身のカリスマ性とイメージの向上で失地回復を図る作戦だ。

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