週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2020/1/11

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

どうなる? 日本の医療制度 

75歳以上は2割負担 湿布、アレルギー薬は全額自費

 「人生100年時代」を考える政府は、医療費を抑える制度改革を次々と打ち出そうとしている(全世代型社会保障検討会議/議長・安倍晋三首相)。昨年末の中間報告で「一定所得以上の75歳以上の窓口負担を2割に引き上げ」と「大病院を紹介状なし受診する人の自己負担額の引き上げ」をまとめた。実は、もう一つ大きな改革点として「ドラッグストアなどで購入できる市販薬を処方せん薬から除外」するという重大事が隠されている。

 「これ以上の負担は勘弁して!」と若い世代は悲鳴を上げ、高齢者も「70歳を過ぎると病院にかかることが多い。これ以上の負担増は無理!!」と訴える。そもそも今のままではダメなの?改革の目的は?日本の医療はどこへいくの?について解説しよう。

五輪熱狂の影で進む医療制度改革

医者のかかり方、どう変わる?

社会保障負担増はもう限界

 日本人の所得は増えているのに、消費が伸びない―。実際に総務省によると、この30年間で収入は10・9%も増えたが、消費は逆に1・3%減っている。「先行きが不安だから、みんな貯蓄に回しているんでしょ?」と思うかもしれないが、実はそうじゃない。医療・介護・年金の社会保険料負担が年々かさみ、この30年で83・9%も増加。平均的なサラリーマン所得の3割まで及んでいる。これでは貯蓄はもちろん消費にも回しようがない。


▲2人で1人のお年寄りを支えているが、2050年には1.4人で1人を支えることに

 なぜ、こうなってしまったかは、私が毎回のように書いているけれど「少子高齢化」が原因。今は若者2人で1人のお年寄りを支える形だけど、2050年には1・4人で1人を支えることに。古今東西、労働力人口が減り、非生産人口の高齢者が増えて幸せになった国はなく、若年層は「世代人口比に応じた医療費負担を」と悲鳴を上げている。

「75歳以上2割負担」で攻防

 では現在の医療費について見ていこう。患者の自己負担率は上表の通り。残りはすべて健康保険や税金から支払われる。75歳以上の年間医療額(税負担なども含む総額)は平均92万円で、65歳の約5倍に上る。戦後ベビーブームの「団塊の世代」(1947〜49年生まれ)が2022年に75歳に達することから、総医療費は18年の40兆円対し、25年には50兆円、40年になると70兆円とうなぎのぼり≠ノ増えることが確実なんだ。

 こうした背景があって、まず急がれたのが「75歳以上の2割負担(現状は1割)」。実は官僚たちは「原則75歳以上をすべて2割」にしたかったんだけど、自民・公明の与党議員が選挙への影響を考えて大反対。これを受けて「一定所得のある75歳以上…」という表現に落ち着いた。

 もっともこの場合の「所得」とは給与以外に年金も含まれるから、結局はかなりの75歳以上が2割負担を強いられることになる。官僚は都合の悪いことは分かりにくい表現でごまかす名人だ。

「全世代に公平な医療」は困難な道のり

「大病院、紹介なし受診」値上がりへ

 次に「紹介状なしで大病院に行く場合の追加負担増」の中身を見てみよう。現行では400床以上の入院ベッドがある施設が対象になっているけれど、これを200床以上に引き下げ。つまり、対象が420病院から673病院に広がる。

 今は初診時5000円前後の追加負担が多いが、1000〜3000円程度のアップに。もっともまずは近くの町医者にかかり、紹介状をササッと書いてもらえばタダで済む話しだから、手間を惜しまなければ大丈夫。官僚は別途「医療機関受診のたびに100円ずつを徴収」ともくろんでいたけれど、これも与党議員が反対し、たな上げになった。今回の中間報告はここまでだ。

本丸は「市販薬の処方せん除外」

 議論の本丸は「市販薬を処方せんから除外する」という大ナタだ。対象として検討されているのは湿布薬・花粉症などの抗アレルギー薬・肌保湿薬・ビタミン剤≠ネどなど。ドラッグストアなどで市販されている薬を、医院が処方せんで出せないようにするという内容だ。

 つまり、どういうことかを説明しよう。例えば1000円の湿布薬は、今は処方せん薬局で1〜3割負担で手に入れることができるけれど、ドラッグストアなら全額自己負担になるということ。

 健康保険組合連合会は「実現すれば年間薬剤費で約2200億円の削減効果」と期待する。でも、薬がほしくて医療機関を訪れる「お薬受診」が減ると、医療機関に診療費が入らない。だから、日本医師会は「安易に市販薬で済ませ、結果的に受診遅れになれば重症化を招く」と言って猛反発。今回の中間報告ではこれもたな上げ状態だ。

 ドラッグストアなどの薬局側は「実現すればビジネスチャンス」と捉えていて、すでに対策に着手している。今後は販売価格や購入ポイント付与などで競う構えだ。

「広く薄く」?「命は地球より重い」?

 そもそも医療制度改革の背景には、白血病治療の新薬が3000万円など超高額薬が続々と登場し、これまで不治の病とされたものが治療可能になってきたことがある。つまり、日本の医療保険制度が「広く薄くカバーするか」、それとも「生死に関わる医療を優先するか」の二者択一を迫られているんだ。

 例えば、フランスでは高額な抗がん剤は全額公費負担、胃薬は3割患者負担、ビタミン剤は全額患者負担と細かく分けられている。

 医療費を結果的に減らせる予防医療や高齢者健康増進の手助けに対する個人や自治体への公費助成金は「介護・福祉」の分野に分類され、徐々に増額されてはいるものの、医療費負担増のせめぎ合いの中で議論は後回しにされている。

 社保会議の最終報告は夏にまとまる。東京五輪の熱狂≠フ影に隠してこっそり通過させてしまうのが官僚の狙い。所得に応じた負担を強調しすぎると社会全体の生産力に影響する。「全世代に公平な医療」は、言葉では簡単でも、かくも困難な論議なんだ。

■コロナ重症センター 月末完成へ 人材確保が難航 12月中旬以降に運用予定

■大阪ワクチン≠フ接種 来春以降の見通し 吉村知事

■万博道路網、整備費増へ 土壌汚染で最大700億円

■吉本が花火大会開催へ 「ひとときでもホッとして」

■関フィル門真に引っ越し 市とパートナー協定締結

■コロナ禍の飲食店を応援 2020年度一般会計補正予算案

■ストレスチェック、動画で啓発 大阪労働局

■空飛ぶクルマ23年実用化へ気勢 産官学で組織する協議会

■福岡限定メニューが道頓堀に 一蘭「釜だれとんこつラーメン」

■学習塾で入試対策授業 私立校教諭が直伝

■新教育総合研究会 4年連続9部門受賞

■三重の食や体験 多彩に 天神橋筋商店街・12月6日まで

■「GoTo」採択で12/10から催し ララはしば商店街と橋波商店連


週刊大阪日日新聞
最新号
毎月第2・第4土曜発刊
毎月第4土曜発刊
「大阪日日新聞」
電子版
電子版の詳細はこちら
アップルストア グーグルプレイ
日日チャンネル【Gotoキャンペーン編】/「宿泊」「ステーキ食べ放題」「お酒飲み放題」で、なんと! 2,500円 だった
pagetop