週刊大阪日日新聞

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2019/11/23

牧尚人の弁護士対談 

村上春樹さんの「壁と卵」に共感

牧法律会計事務所 代表 弁護士 牧 尚人 × ゼラス法律事務所代表 弁護士 高山 巌

 弁護士の使命を全うするため活動を続ける面々と語り合う「弁護士対談」。ホスト役の牧尚人氏(44)=牧法律会計事務所代表=は今回、元朝日新聞記者の高山巌氏(48)=ゼラス法律事務所代表=を迎えた。高山氏は、作家村上春樹さんがかつてスピーチした「壁と卵」を引き合いに、弁護士としての信条を語った。文責/深田巧

国家権力は無味乾燥

高山 刑事手続では、弁護人が弁護人としての仕事をまっとうすることが大切だと思います。それがプロフェッショナルであり、私が常に心掛けていることです。検察官も、弁護人もやるべきことをやり、裁判官が実像を見極めることが刑事裁判です。


牧法律会計事務所 代表
弁護士 牧 尚人

 高山さんは朝日新聞の記者から弁護士へ転身されました。その際、検事になる気はなかったのですか。

高山 検察官は組織の中で大変だとつくづく思います。法廷で、検察官は組織としての言い分を話しているように映ることがあります。もっと、一法律家の意見を言えば法廷は充実するのに、と感じることもあります。

 国家組織である検察庁を相手に、くじけそうになることはありませんか。

高山 刑事事件は、弁護人が勝てることはそもそも多くないので、負けてもくじけませんよ。ただ、アンフェアなことをされると悔しいですね。

 2009年5月に始まった裁判員裁判をどう評価しますか。

高山 よい面もあると思います。それまで裁判官は仲間同士で、自分たちの価値観だけでやってきた。ある意味「閉じられた」空間で事実認定し、量刑を決めていたわけですが、市民が裁判員として参加することで、裁判官に緊張感を与えたと思います。しかし、制度開始から10年たって、課題も見えてきました。裁判官が裁判員と議論する中で同じ方向に持って行こうとする危険性が高まっているように感じます。

 裁判員裁判が始まっても、ダイナミックな裁判はないように感じます。

高山 通常は裁判官3人と裁判員6人の合計9人の組み合わせで審理が進められますが、裁判員の比率をもっと高めるべきでしょう。市民の声を反映するための裁判員裁判と言われていますが、果たしてそうでしょうか。実際には、裁判官による裁判は完璧だと思っていて、そこに裁判員を招き入れているようにも思います。例えるなら、「高速で安全に走っている新幹線の運転席に招き入れて、どうぞ見てください」ということになってはいないかということです。評議内容の守秘義務を緩めるなどして、裁判官が勝手なことをしていないかを検証する仕組みが必要ではないでしょうか。

 話は変わりますが、作家の村上春樹さんをお好きなようですね。


ゼラス法律事務所代表
弁護士 高山 巌

高山 村上春樹さんは2009年にイスラエルの文学賞「エルサレム賞」を受賞し、記念講演しました。スピーチの内容は本当に印象的でした。「ここに高くそびえる壁と、壁にぶつかると壊れてしまう卵があるとすると、私はいつでも卵の側に立つ。たとえどんなに壁が正しくて、卵が間違っているとしても。私は常に、卵に寄り添います」と。理屈ではないと思います。私も、壁に当たって壊れる卵を見れば、その卵を応援したくなります。国家権力は無機質であり、冷たい。卵のような息吹を感じない。私は、村上春樹さんのスピーチに感銘を受け、以後座右の銘にしています。

 高山さんが17年に開設し、代表を務めるゼラス法律事務所の名前の由来を聞かせてください。

高山 ゼラス(zealous)は「熱心な」という意味です。法廷では技術が必要ですが、情熱も必要です。私が弁護士になった時所属した大阪パブリック法律事務所の下村忠利所長から、寄せ書きをいただきました。そこには「熱心弁護は我らが誇り」と記されています。技術と情熱は車の両輪だと思っています。

 最後にプライベートな話を聞かせて下さい。趣味は何ですか。

高山 趣味はほぼありません(笑)。ゴルフをしたこともありますが、忙しくてやめました。ただ、来年の東京五輪・パラリンピックの開催期間中は仕事の予定を入れていません。観戦を楽しみたいと思っています。

 体も動かした方がいいと思いますよ。健康には十分気をつけて下さい。本日はいろいろ話を聞かせていただき、ありがとうございました。


牧法律会計事務所

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TEL.06-4708-5056   
http://maki-lawfirm.com/

牧尚人(まき なおと)プロフィル
 仕事を通じて、まだまだ弁護士には相談しにくい、あるいは弁護士の仕事は遅いと思う人が多いと感じ、気軽に相談できるように2回目の相談まで無料で受付。加えてスピーディな対応をウリにしている。業務の遂行には、依頼者の負担を軽くするため、手を煩わせることは最小限に、ムダな費用も省くよう心掛けている。


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