週刊大阪日日新聞

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2019/11/23

うめきた再開発 「物語」描く 2024年一部まちびらき

特別インタビュー 三菱地所執行役専務 岩田研一さん

 JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」2期工事が、まちびらき(一部)の2024年夏を目指して進行中だ。1987年の国鉄分割民営化によって売却が決まった貨物駅跡(約24へクタール)を舞台にした再開発は、1期工事として2013年にグランフロント大阪が完成。来場者は開館5年目に1日平均15万人を記録するなど、大阪・梅田の街並みを大きく変えた。そんな再開発の取り組みを、仕掛け人の岩田研一三菱地所執行役専務(64)は「物語」と表現した。集大成を迎えたうめきた物語の行方を展望してもらった。


いわた・けんいち 1955年生まれ。札幌市出身。小樽商科大商学部卒。79年に三菱地所入社。三菱地所ビルマネジメント社長、三菱地所プロパティマネジメント社長を歴任。2016年から三菱地所執行役専務(関西支店担当)。趣味は映画鑑賞。最近印象に残った作品は、バットマンの宿敵に焦点を当てた『ジョーカー』。

評価得たグランフロント大阪

 阪急、阪神の街だった梅田にグランフロント大阪が開館し、新たな人の流れを作った。当初2割だったグランフロント大阪へのオフィス入居率は9割に上っている。テナント企業に支持してもらった事実は、言いかえれば、大阪の人たちの支持を受けたことになる。景気回復の追い風があったとはいえ、うめきた1期のグランフロント大阪は評価を得たと思う。しっかりと2期に継承することで、一つの物語が出来上がる。

 うめきた2期エリアには、JRの地下駅が23年春に完成予定だ。31年春開業を目指す「なにわ筋線」を通して、関西空港とのアクセスが向上する。

 うめきたを「トリガー(引き金)」にして、大阪を世界へ発信したいと考えている。グランフロント大阪の中核施設である知的創造・交流の場「ナレッジキャピタル」は、海外からの注目度が高い。東南アジア諸国連合(ASEAN)のベトナム、タイ、インドネシア、ミャンマーなど潜在力の高い国々とのつながりを深め、さまざまなコラボレーションの成果を生み出したい。

復権の夢

 2期エリア内に都市公園が整備される。都会の中のオアシスというイメージだ。これまでの梅田とは違う景色が広がる。イノベーション(革新)を生み出す空間になればと思う。何を創造していくか。現時点で新しいものを創ったという気になっても、結局、すぐに陳腐化してしまう。人工知能(AI)もどんどん進化してい る。うめきた2期でどんなことができるか。三菱地所うめきた開発推進室副室長兼グランフロント大阪室副室長の菅沼健太郎さん(46)をはじめ、若い人たちの意見を取り入れ、うめきた再開発を進めたい。

 いま、大阪のムードは良好だ。25年大阪・関西万博の開催が決まり、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致も進む。21年には生涯スポーツの祭典ワールドマスターズゲームズ(WMG)関西も予定され、大規模イベントがめじろ押しだ。しっかり盛り上げていかなければいけない。「大大阪」復権の夢が懸かっている。

 そのためには、若い人たちが大阪で働ける場をつくらなければいけない。そして、世界中の人たちが訪れやすく、暮らしやすい環境をつくる必要がある。外国人労働者受け入れ拡大の新制度を盛り込んだ改正入管難民法が、今年4月に施行されたことによって今後5年間に農業、介護、造船などの14業種で最大34万5150人の受け入れが見込まれる。日本に訪れた人たちの子どもが教育を受ける環境も整えなければいけない。繰り返しになるが、そうした「トリガー」になるのが、うめきただ。

優しい街に

 2期工事が完了すれば、グランフロント大阪と西側の超高層ビル「梅田スカイビル」の往来がスムーズになる。2期エリアに誕生する都市公園の「緑」は大切な役割を果たすはずだ。この公園は大阪市の防災公園にも指定される。09年にJR西日本、阪急電鉄、阪神電鉄、グランフロント大阪TMOの4社が「梅田地区エリアマネジメント実践連絡会」を発足した。「駅から広がるまちづくり」「歩いて楽しいまちづくり」「新しい時代のまちづくり」を活動のコンセプトに掲げ、回遊性の向上を目指している。

 実際、ヨドバシカメラと阪急大阪梅田駅、JR大阪駅、グランフロント大阪の各施設は、2階部分のペデストリアンデッキ(歩行者専用の空中回廊)を通してつながっている。車いすやベビーカー使用者など、生活弱者に優しい街を基本に取り組んでいきたい。

 梅田一帯は、ヨドバシ梅田タワーが11月に開業し、建て替え中の阪神百貨店梅田本店が21年秋に全面開業する。24年には旧大阪中央郵便局跡地に高層複合ビルが完成する。東京を追いかける必要はない。大阪にはポテンシャルがあり、オリジナリティーがある。

 最近、私は20代の頃に読んだ小説を改めて読み直している。そうすると、当時思い描いた「景色」とは違ったものが見えてくる。うめきた1期のグランフロント大阪は商業、オフィス、ホテル、住宅を兼ね備えた建物として完結した。しかし、うめきた全体にとって、グランフロント大阪は一つの要素であり、2期の「緑」の都市公園も含めて「物語」は出来上がる。20代に読んでも、60代に読んでも、いい物語が描けるか。大阪の人に喜んでもらい、世界中の人にすごいと言われるようなうめきたにしたい。

(聞き手は深田巧、写真は佐々木誠)



▲グランフロント大阪や大阪ステーションシティの高層ビル群に隣接して広がる「うめきた」2期工事区域

 2期エリアは広さ約16へクタールで、「みどり」と「イノベーション」の融合拠点を目指す。エリア中央部に約4.5へクタールの都市公園を配置し、南北にオフィス、商業、ホテル、住宅を整備する。JRの新地下駅も置く。うめきた2期開発事業者は、三菱地所(代表企業)▽大阪ガス都市開発▽オリックス不動産▽関電不動産開発▽積水ハウス▽竹中工務店▽阪急電鉄▽三菱地所レジデンス▽うめきた開発特定目的会社―の計9社。


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