週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2019/11/23

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

着々と進む年金改悪

 大手マスコミはあまり騒がないが、今年は年金問題で2つの大きな動きがあった。参院選直前の6月に降って沸いた「老後2千万円問題」と、わざと選挙後に発表を遅らせたとされる5年に一度の健康診 断≠フ「公的年金の財政検証」だ。密かに進んでいる制度大改革の中身を探ってみたい。

「2千万円問題」って何?

 「2千万円問題」は、金融庁金融審議会の市場ワーキンググループが、6月に財務相に提出した報告書「高齢社会における資産形成管理」(筆者注・大臣「受け取り拒否」でなかった事に)に登場。中身は、月額22万円の厚生年金を受け取る夫婦をモデルにし、「@高齢者になっても働き続けなさいA年金を含めた収入増は期待できないから、支出を減らしなさいB預貯金だと増えないので、上手に運用しなさい」という内容で、その不足の目安だった2千万円≠ェ独り歩きした。

 本来、言いたかったのはBの「もっと株や債券に投資しろ」という点だったが、実は今、@を念頭に置いたすべての制度設計変更が密かに進んでいる。

財政検証は「なるようにしかならぬ」

 5年に一度の健康診断≠ニ言われる「公的年金の財政検証」が8月に出された。大事なのは「経済状況がこうなれば、年金支給額はコレ」という不確実な未来の予測式ではなく、根本厚労相(当時)が読み上げた言葉だ。

 「現行制度でも、経済成長と労働参加が進めば、引き続き所得代替率(筆者注・現役労働者の平均月収と比較し、もらえる年金額のこと)50%を維持できる」

 官僚の作る文章は、わざと分かりにくくしてある。大切なことを国民の目からごまかすためだ。今回+のポイントは、発表文中の経済成長≠ニ労働参加≠フ2つのワード。経済成長≠ノついては、日本のような少子高齢化の国では個人消費が伸びないから、経済成長は鈍化するのが常識だ。にもかかわらず、『バブル並みの高成長実現』を前提に予測している。

 もう一つの労働参加≠ヘ、高齢者と女性を働かせ、さらに外国人労働者を積極的に受け入れて、みんな死ぬギリギリまで長く働けというもの。これからは「老後リタイアや専+業主婦、家事手伝いなどは認めませんよ」ということだ。

在職高齢者「もっと働け」大号令

 中でも特に力点を置いているのは高齢者に稼いでもらう仕組みだ。すでに厚労省は「財政検証」を受け、次の年金制度改革に着手している。その中身はというと…。
@受給開始年齢の選択肢を拡大する、A厚生年金の被保険者を拡大する、B在職高齢年金を廃止・縮少する―だ。

 これもまた、役人がわざと分かりにくくしているから本当のことを教えよう。@現在の年金の受け取り開始は65歳が基本だが、60歳に前倒したり、70歳に伸ばしたりもできる。これを「75歳まで伸ばせる」という内容。前倒せば減額で、伸ばせば増額。増えるのはいいが、現行でも82歳くらいまで生きないとお得にはならない。Aこれまで加入外だったパートやバイト、従業員500人以下の中小企業労働者も対象に。厚生年金は労使が同額ずつ払うから、当然受給額が増える。ただし中小零細企業の負担がかなり増え、経済界の抵抗が強い。

 最も大きな議論が起こるのはBだ。65歳を過ぎて年金を満額もらえるようになっても「まだ現役で働いているから、その分の年金をカットする」のが現行制度。現在、働きながら厚生年金をもらう人は全国に約370万人いるが、うち125万人が減額され、国に横取りされている。つまり、本当はフルタイムで働けるのに、もらい過ぎないように労働時間を短くしたり、企業によっては年金減額の回避を口実に高齢者を安く使ってきた。これは社会的生産性の大きな損失といえる。

来年は制度改革に本腰

 次期年金改革の政府法案と深いつながりのある厚労相諮問機関「社会保障審議会」年金部会に対し、厚労省が示したBの「在職高齢年金の廃止・縮少」に関する実施ポイントは3つ。【1】在職定時改定の導入【2】厚生年金加入期間を75歳まで延長【3】年金繰り下げ受給の上限年齢を75歳に引き下げだ。

 【1】はこれまでの「65歳以降の厚生年金保険料を払い続けているのに、その間の年金受給額は増えない」という不公平を解消する、という意味。つまり厚生年金をもらいながら働けば、毎年年金額はアップする。【2】は先に紹介した「年金払い込み70歳上限」時代に比べ、年金額がもっとアップするように「75歳まで働いてね」という意味。【3】受給開始を75歳まで伸ばすと「現行の2倍近い84%割り増しです」と、声を大にして宣伝している。

 一見、受給者側にメリットがあり、厚生年金財政は自分の首を絞めているようにも思える。しかし、官僚の本音はとにかく支給開始を遅らせるために「死ぬまで働き、できるだけ年金をもらい損ねてほしい」という問題解決の先送り≠ノ他ならない。

「少子高齢化」のお先真っ暗

 厚生年金だけで老後を送れるかどうかは65歳で分岐している。つまり、現在64歳以下の人は年金だけでは食えない。しかも若い世代になるほど年金資産状況は悪化し、世代間格差が大きい。少しでも先延ばししようと、賃金や物価の伸びより支給水準を抑える「マクロ経済スライド」を使い、全体の支給額をできるだけ減らす悪企みは着々と進んでいる。

 本当に大変なのは国民年金だけの人だ。月額支給1人6万千円、夫婦13万円は、定年退職のない自営業者にとっては老後の小遣い程度。ところが、現行の国民年金加入者の4割は、厚生年金に入っていない中小零細企業の労働者。しかも中高年になっても結婚しない「おひとりさま」が増えており、この額では到底、老後資金は賄えない。

 アリのように営々と国民年金を払い続けて将来食いはぐれるより、キリギリスのように払わず遊び回って生活保護を受けた方が、金額的に高いのだから全く話しにならない。

 若者はキチンと選挙に行って投票し、高齢者ばかりを優遇する政治家の目を自分たちに向けさせる努力をしないと、やがてそのツケを全部負うハメになる。

■住民への配慮不十分 城東区旧庁舎跡地活用問題 朝川副市長 全区長に異例の訓示

■安藤忠雄デザイン監修 W OSAKA日本初進出 3月16日開業決定

■近大がコラボ自転車 産学連携で開発、商品化

■華麗に全員集合! 100周年向け舞台 OSK日本歌劇団

■御堂筋側道 閉鎖し実験 大阪市、歩行者空間化構想 ミナミ一部区間、28日から

■校舎増築、分校、移転計画 大阪市西区 マンション建設ラッシュ


週刊大阪日日新聞
最新号
毎月第2・第4土曜発刊
毎月第4土曜発刊
「大阪日日新聞」
電子版
電子版の詳細はこちら
アップルストア グーグルプレイ
日日チャンネル【Gotoキャンペーン編】/「宿泊」「ステーキ食べ放題」「お酒飲み放題」で、なんと! 2,500円 だった
pagetop