2019/11/9
籠池夫妻に懲役7年求刑
森友学園、来年2月判決 大阪地裁

学校法人「森友学園」(大阪市)の補助金不正事件で、国の補助金など計約1億7千万円をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた学園前理事長の籠池泰典被告(66)と妻諄子(じゅんこ)被告(62)の論告求刑公判が10月30日午前、大阪地裁(野口卓志裁判長)で開かれた。検察側は「狡猾(こうかつ)で悪質な犯行だ。だます意図は明確」などとして、両被告にそれぞれ懲役7年を求刑した。弁護側は改めて両被告の無罪を主張し、公判は結審した。判決は来年2月19日。
論告弁論は弁護側に軍配
籠池夫妻の法廷闘争記もついに最終盤。検察の論告求刑と弁護側の弁論、被告本人の意見陳述。午前10時半から夕方5時近くまで長丁場の法廷だった。
検察側主任の堀木博司検事は籠池泰典氏について「主張は支離滅裂で明らかな虚偽」と指摘。「自己らが権力の被害者であるかのように装い反省がなく責任転嫁も甚だしい。厳罰をもって臨む必要がある」と断罪し、夫妻にいずれも懲役7年を求刑した。
これに対し秋田真志弁護士は、国への補助金申請を行った設計会社が任意の捜査にとどまり、籠池夫妻だけ逮捕・起訴されたのは「不公平な訴追で
そして籠池泰典氏本人の意見陳述。
「昭恵さんと親しかった家内を口封じのため共犯に仕立て上げた。地検の安倍首相への忖度です。国の役人は不問にして森友問題に幕引き。私も家内も被害者です」。そして一句「秋錦 令和の武士 ここにあり」
最後に諄子さんも一言。「口封じのため300日も勾留されました。
かくて法廷の籠池劇場は一審の幕を閉じた。取材記者としての私の印象は「軍配は弁護側。検察の主張には無理がある」。これは「夫妻は間違っていない」という意味ではない。財務省の背任より籠池夫妻の捜査を優先し、最終的に夫妻だけを
(相沢冬樹)
森友事件指揮の特捜部長 次席検事に栄転
大阪地検
森友事件で籠池泰典(本名・康博)被告と妻諄子(本名・真美)被告を逮捕・起訴した2017年当時、大阪地検特捜部の特捜部長だった山本真千子氏(56)が、11月8日付で函館地検検事正を経て大阪地検次席検事に就任した。
山本氏が特捜部長時の18年5月には、佐川宣寿元国税庁長官をはじめ背任や公文書改ざんで刑事告発された財務官僚らを、全員不起訴処分にもしている。その後、同期のトップを切って検事正に就任した。
大阪地検次席検事になると組織の出世階段が約束されたといわれている。大阪地検検事正までになると、全国8カ所の高検トップである検事長まで進むことが多く、現在の検察組織ナンバー3の大阪高検検事長も大阪地検検事正経験者だ。
人事が検察内部で知らされたのは10月29日、籠池夫妻の論告求刑の前日に当たる。次席検事は広報責任者であり、来年2月にある籠池夫妻の判決での地検コメントは、山本氏の名前で出すことになる。
(相沢冬樹)