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2019/11/9

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

「香港」デモから透ける「中国」の今

「独立」も「統一」も望まぬ香港人

 6月から始まった香港のデモは波状的に続き、ついに半年が過ぎ11月になってしまった。今月末には香港区議選(日本の地方選に相当)があり民主派の立候補受付を巡って再び緊張状態が強まりそうだ。収束のカギは何か? 中国の1国2制度下で香港政府と北京政府の今後は? 香港観光は大丈夫なの? などを考えてみよう。

 まず、基本的な歴史をお勉強。現在の中国広東省で最も早くから栄えた貿易港は広州で、そこに通じる虎門湾の入り江西側先端が今のマカオ、東側先端が同じく香港だ。16世紀くらいから当時の海洋国家ポルトガルや後に英仏などがアジアへ自国艦隊を派遣する際に、補給基地として自分たちの手で街を作り現在に至っている。香港は全部足しても沖縄本島より狭いが、人口密度は高く700万人が住む。

 後にマカオや香港になる場所は広く南シナ海に開け、漢族の支配者が古くから海路警戒で軍隊を常駐させたりしていたが、ヨーロッパ列強にかなうはずもなく特に19世紀末のアヘン戦争後の香港は完全に植民地として英国に支配され、やがて永久譲渡された。1997年に香港は中国へ全面返還されるが、歴史的には香港地区と九龍半島は永久譲渡済みで、新界地区のみ99年間の租借(借りること)契約だったため、返還交渉は当時難航した。

中国のトラウマは「ソ連崩壊」

 その時に北京政府は、自国の共産党独裁政権を押し付けず1国2制度≠提案、ただし期限を50年と区切った。交渉相手のサッチャー英首相ら自由主義陣営の首脳は「50年も経てば、中国も民主化して開放政策も進むだろう」と読んでの返還決定だった。

 しかし、中国は習近平政権下でそれまでの経済優先路線が、「国家の安全」が前面に出た強力な国家主義へとかじを切る。香港では返還後22年経ち「このままでは残る27年後には中国に踏みにじられる」との危機感が若者の間に広がったことが、デモが長引いている背景だ。

 香港の若者が中国を警戒する最大の理由は、ネットを含めた市民監視体制が強いこと。しかも国土が広いので、仮に当局に連行され中国で行方が分からなくなったら発見は困難。中国の市街地監視カメラによる事故や事件の生々しい映像がよく日本のテレビでも紹介されるが、当然普段の何でもない状況も顔認識付きで監視されていることをお忘れなく。

 中国のインターネットで当局の都合の悪いことは発信しても削除されるし、NHK国際放送も中国国内では国益に反する≠ニ判断されれば瞬時にブラックアウトし何も映らない。北京当局にとって、もし再び天安門事件のような事があれば、今度は完全に隠すことは困難なのでネット監視は最重要施策だ。

 北京政府が最も警戒する状況は、台湾と香港が連帯すること。統一国家内に例外≠認めない大原則で、チベットや新疆(きょう)ウイグルなどの独立運動も徹底的に押さえ込んだ。「1つの中国、1つの台湾」や「1国2制度」などを長々と許せば、いずれ独立運動につながることを警戒。同じ社会主義国 だったソ連が、分離独立を認めロシアに移行した時、周辺国の離反で国力が大幅にダウンした負の歴史≠フ二の舞は許さない構えだ。

香港長官切れぬ中国当局

 さて香港政府。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政府長官は、6月に起こった103万人、200万人の大規模波状デモを最初甘く見ていた。5年前の雨傘運動はすぐに分断され下火になったし、中心となった学生は9月に新学期が来ればキャンパスに戻ると考えたからだ。

 ところが8月には香港国際空港をデモ隊に占拠され閉鎖する騒ぎに。デモ隊、警官隊双方にけが人が続出。8月から警察側は実弾使用に踏み切り、ついに高校生ら2人が撃たれ重傷を負う状況までエスカレート。ネット上では「両派構成員の中に中国当局スパイが入り込み、騒動をあおっている」との書き込みがあるが真偽は分からない。

 香港政府は、9月に入ってデモの原因となった「海外逃亡犯条例」撤回と緊急条令に基づく「覆面禁止法」制定を同時に画策。背景には同月11日から、北京政府が威信をかけた「一帯一路サミット」が香港で無事開催できた事と無縁ではない。

 ラム長官はすでに周辺に辞意を漏らしているが、北京政府は簡単に辞めさせてくれそうもない。後任を形式的に選挙で選ぶ必要があり、立候補資格を巡って再び香港民主派にデモ強化の口実を与えかねないからだ。

未組織だから強い

 徹底的にネット監視されている中国内に比べ、香港はネット網が自由主義各国とつながっている。デモの情報や呼びかけはすべてネット経由でやりとりされ、一連のデモのリーダーがどこの誰かもよく分からない。

 ネット上では、デモの首謀者に対し高額の賞金が懸けられ、密告が横行。香港企業ではデモ参加で逮捕されると解雇されるリスクも高い。既に逮捕者は2千人近くにのぼり、彼らの裁判支援も容易ではないが資金は途切れない。

 それでもデモが繰り返されるのは、それだけ住民の危機感が強い証拠だ。民主化リーダーで女神≠ニ呼ばれる周庭(アグネス・チョウ)さん(22)は「今さら逃亡犯条例撤回だけでは遅すぎる。われわれ香港人は五大要求が認められるまで止めない」とはっきり方針を示している。

 五大要求とは、逃亡犯条例撤回を@とすると、A香港警察暴力行為の独立委による検証Bデモ参加による逮捕者の全員即時釈放Cデモに対する「暴動」認定の取り消しD自由に立候補できる普通選挙の実現を指す。

 香港政府はAからCまでを認めると「警察の執った警備行動は間違い」と認めることになる。そしてDは、中国が「有史以来、われわれは投票してトップを選ぶなど1度も経験した事がない」(友人の中国人外交官)だけに絶対に北京政府が容認しない。

経済界は危機感

 香港はロンドン、ニューヨークと並ぶ世界の3大金融センター。地元経済界は総じて「中国本土の大金持ちと仲良くやりたい」と考えているので、デモ継続には批判的。北京政府は当面、国際世論をにらみながら「待ち」の姿勢を貫く。香港大手メディアは中国寄りが多く、日本や欧米で報道されているデモのルポはもっぱらネット情報を得意とするサポーターが手助けし発信している。

 すでに中国本土からの観光客激減など経済的影響は大きく、デモは散発的ながらゲリラ的に発生しやまない。中国系企業の店舗が突然打ち壊しの標的になるなど市街地でも危険度の事前予測は難しい。安心して観光できるのは少し先のようだ。

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