週刊大阪日日新聞

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2019/10/26

大阪の教育最前線 技能別の差鮮明 

学テ・英語 「話す」正答率30%どまり

 文部科学省は、4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。中学校3年で初めて実施した英語は「読む・聞く・書く・話す」の4技能のうち、「読む・聞く」の正答率が平均60%を上る一方、「話す」の平均正答率が最低の30%にとどまり、自分の考えをまとめて表現する力に課題が浮かんだ。

正答率が高い地域、英語でのコミュニケーション活動に積極的

コミュニケーション能力は道半ば

 学力テストは小学校6年と中学校3年の児童生徒を対象に、国語と算数・数学は毎年、理科と英語は3年に1度程度行う。

 参加校は全ての国公立校と、約50%の私立校で、小学校6年は約107万6千人、中学校3年は約104万5千人が対象となった。

 初めて行われた英語の全国の平均正答率は「読む」が56・2%、「聞く」が68・3%。自分の意見を英語で表す問題やより深い思考力や表現力を試した「書く」が46・4%、特に「話す」が30・8%にとどまった。文科省はグローバル社会で活躍できる人材の育成は急いでいるが、スピーキングを中心としたコミュニケーション能力は道半ばだ。

暗記型の学習では難しい

 「話す」では、海外のテレビ局のインタビューを受ける場面設定で、自分の将来の夢と、その実現のために頑張っていることを1分間で考えさせ、30秒で答えるという問題もでた。このため暗記型の学習では解答するのは難しく、正答率が10・5%と結果からは戸惑った生徒も多かった。

 問題を作成した国立教育政策研究所では、「実際のコミュニケーションに活用できる思考力、表現力などを測ることを重視した」としている。

 4技能のうち「書く」では、デザインが異なる2つのピクトグラム(絵文字)を示し、どちらが良いか25語以上で自分の考えを書く問題の正答率は1・9%だった。

 ただ、「話す」の問題によっては無解答率が4・6%と何とか話そうとする姿勢はみられた。「書く」問題でも全体の半数近くが、求められた語数より多く書くなど、自らの意見を伝えようとする意欲は表れていた。

英語でのコミュニケーション大切

 文科省は今回、授業改善の取り組みが、テスト結果にどのように反映しているか都道府県別に検証しているが、改善している学校は好結果が出ていた。

 英語の授業時にクラスを習熟度別に再編し、少人数化しているケースは生徒の発言回数や質問の機会が増えていた。

アクティブラーニングで私学の強み

 アサンプション国際(箕面市)では創立以来、実践的な「英語」教育を進めている。「総合的な学習の時間(探究)」などの授業を英語で行う「英語イマージョン教育」を導入。授業は教科ごとに在籍するネーティブ教員と日本語教員が共に一人一人の理解度を確認しながら展開し、確実にコミュニケーション能力を高めている。

 「話す」「書く」の正答率が高い地域では、英語でのコミュニケーション活動に積極的な傾向がみられた。また、地域に英語を使う住民や外国人観光客が多い場合、自然に英語に親しむケースを増やしている。


※英語の「話す」は実施していない生徒もいるため、参考値として集計
小学校、来春から外国語活動

 来春から小学校では新学習指導要領が全面実施され、小学校3・4年生で「外国語活動」、同5・6年生で「英語」が教科化される。

 箕面自由学園小学校(豊中市宮山町)では、早くから21世紀を生き抜くために必要な能力を身に付けるために実践力や創造性を伸ばす授業を展開している。特に日本語と英語の運用能力を高め、思考表現力を磨き、国際社会人として活躍できる素地を養っている。

 4年生から国際性と創造力を育む「発展コース」と難関中学受験をめざす「進学コース」に分かれて学んでいる。特に「発展コース」では英語の授業が週5コマと公立校より3時間も多い。放課後においても4技能の習得のための英語・ネーティブ講師によるアフタースクールを開いている。英検・TOEFL primaryに挑戦し、卒業時までに英検準2級CEFR A2レベルの習得をめざしている。また、単語の綴り(スペル)の正確さを競う競技会「スペリング・ビー」を実施。校外レシテーション(英語暗唱)コンテストの参加、オンラインで姉妹校児童との合同授業を実施予定するなど、知識を実践で使える活用力を身に付くカリュキュラムが充実している。

教員の指導力向上

 ポイントが高かった自治体では、英語を学ぶ授業「グローバル・スタディ」を小1年から実施。外国語指導助手(ALT)を手厚く配置し、ディベートや英語劇に力を入れてきた。また、生徒の英語力を高めるためには、教員の自己研鑽も欠かせない。教員の指導力向上が必要だが、公立中学校で英検准1級以上を持つ英語教員の割合は36%と伸び悩んでいる。

非英語圏で英語力が低い日本

 アジア圏で英語が堪能な国としてシンガポール、マレーシア、フィリピンが知られている。これら英語能力の高い国に共通しているのが、日常生活における英語環境だ。幼少の頃から字幕の映画、TV番組、書籍などで英語に親しんでいるが、日本にはこのような環境にはない。

 実際、日本人は英語を「科目」あるいは「勉強」と捉えるが、英語力が高い国の人々はコミュニケーションツールの一つと捉えている。

 また、韓国の英語力も高いことが知られているが、日本では想像できない激しい受験戦争でその合否のポイントとなる教科が英語。

 韓国の本を多く翻訳している日本人編集者(69)は「韓国人のスピーキング力は高校生から社会人まですべての年齢層で日本人よりかなり高い」という。

 その理由を「韓国の貿易依存度の高さ。韓国では高いコミュニケーション力があらゆる場面に求められている」


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