週刊大阪日日新聞

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2019/10/26

時代の半歩前行く地下街を 

大阪地下街・町野和道社長インタビュー

地域全体で収益
寄り道需要喚起、食に的絞り刷新

 大阪市内5カ所で地下街を運営する大阪メトロの子会社、大阪地下街(大阪市北区)は、1日当たり約40万人が往来する梅田の地下街「ホワイティうめだ」の一部エリアを飲食店街に改装し、12月5日にオープンさせる。同社の町野和道社長(61)に改装の狙いや地下街の未来像などを聞いた。

―地下街の特徴は。

 大阪は駅が地下に潜っているケースが多く、規模では世界最大級の地下街が発達した。公共道を持つショッピングセンターという点が地下街の特徴で日常的な生活通路。他の店舗のように集客する必要はないが、多数の通行者にどれぐらい立ち寄ってもらえるかが課題となっている。

◇防災面も徹底配慮
―「ホワイティうめだ」リニューアルの狙いは。

 最大の理由は老朽化への対処。店舗も全部つぶし、空調も全部とってコンクリートの駆体だけにする「スケルトン化」で、新築に近い。万一の火災の際などに素早く煙を排出するために、専用の排気ダクトを導入するなど防災面に徹底配慮した。

 もちろん耐震性や排水性も格段に向上させる。自力でここまで投資して回収するほどの収益性のある地下街は、全国でも限られていると思うし、実際にスケルトン化させての工事は全国で初めて。安全だけでなく、安心して訪れてもらうためにも必要と判断した。

―食が中心のゾーンに生まれ変わる。

 とにかくモノが売れない時代。リーマンショック以前は地下街のテナント売上高が520億円ぐらいあったが、前年度は460億円。ファッションの低迷で500億円を超えるのが難しい。比較的堅調な食に的を絞った。梅田はどんどん人が集まってくるし、オフィスビルもあるから都市機能が集中している。食の需要がまだ見込める。さらに言えば、食ができるゾーンにしておけば、後は何にでも転用できる。逆に物販テナントは食には転用できない。

―ターゲットは。

 女性。年代は絞っていない。年代で分けるより生活パターンで分ける方が、お客さんをきっちり捉えられる。いろんな人がいろんな使い方をするのが地下街の良さ。とがった店ではなくて、寄り道需要を喚起する。目的性があるというよりも「ついで」需要を掘り起こしたい。飲食は3千円、ファッションは7千、8千円ぐらいと考えている。

◇大阪らしい温かみ
―どんな場所にしたいか。

 仕事帰りでも気軽に立ち寄ってもらえる場所にしたい。朝や昼に一杯飲みたい需要もある。さまざまな人が手頃な価格で一定の満足を得る。それをリピートしてもらいたい。1人でも気軽に入れるようなアットホームな温かみのある大阪らしい地下街にしたい。そのためにはチェーン店ばかり並べるのではなく、地元の店を育てていくという気持ちが大切。ファッショナブル、ハイセンスだが人情味のある場所がいい。

―他の地域も含め、地下街を活用したまちづくりは。

 順次リニューアルしていく構想を描いている。テナントの売上高を確保し、各店舗の賃料負担力を上げていくことが本業だが、一方で地下街を軸としたまちづくりを進め、地域全体で収益を上げていかないと成長しない。駅は点、地下街は線。線の周りにまちを敷くと面になる。面にしていかないとトータルのビジネスモデルに限界がある。大阪メトロ以外の株主に阪急、阪神、南海、近鉄などもあり、各社ともホワイティがさびれるのは困る。一商業施設というよりもインフラとしての役割を見ている。

―地下街の未来像は。

 必要なものを売ってきたが、夢や課題を解決する店舗を増やすことも重要だ。ただ、新しい店舗を展開しようと思うと現状の平均20坪の区画では広さが足りない場合がある。店舗面積の規制がないビルの地下と地下通路を直結させ、ビルの地下を店舗化することで現状を打開することができる。われわれもメッセージ梅田ビルに個人で利用可能な仕事場「コワーキングスペース」を12月9日に開設する。時代より半歩前に行く地下街を目指したい。


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