週刊大阪日日新聞

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2019/9/28

町を訪ねて 河内 花園

ラグビーすいか≠ナ地域を盛り上げ

エコ松原農園 松原功典さん


▲ラグビーボール形スイカの生育状態を見る松原さん

 アジアで初めて開かれたラクビー・ワールドカップ(W杯)日本大会が9月20日、開幕した。ラクビーの聖地=u花園ラクビー場」でも、同22日を皮切りに、4試合が行われ、周辺の町は熱いプレーにも負けないほど盛り上がっている。そんな花園の町をラクビーの匂 い≠求め、数日、訪ね歩いた。

 花園ラクビー場のすぐ北にある「エコ松原農園」の松原功典さん(86)は「ラクビースイカ」など、ラグビーボールのように楕円形をした野菜を育てている。「ラクビーのまち・花園」を「もっと知ってもらおう」と、覚えがある#_業を通じて、地域の盛り上げに一役買うためだ。

 松原さんは43年間勤めた元農協マン。農業改良普及員として組合員の営農指導に携わってきたが、年々、都市化の波をかぶって、組合員は減少するばかり。農業振興が重要との思いから、退職後は農家になった。

 ラクビーボール形の野菜作りに取り組むきっかけとなったのは、旅行先で「花園から来ました」と伝えても「ラクビーのまちというのに知られていない。甲子園の知名度に比べるまでもなく、PR不足だ」と驚いた。

 「地域のために何かできないか」と思考していた時だった。ラクビー形のカボチャの存在を知り、これこそ「ラクビーのまち花園」をアピールするのに「ぴったり」だとひらめいた。

 これまでにチャレンジした野菜は10種類。「どんな野菜だって楕円形にできるが、見た目がやはりラクビーボールに似ていて、大きさもなければ」と、現在はスイカやカボチャなど4種類に絞っている。2016年には「ラクビーボール形野菜を作ろう会」を立ち上げ、府内外の仲間約30軒と生産に取り組んでいる。

 「W杯では世界中の人々にラクビーボール形スイカを食べてもらおう」と、収穫時期をずらしたスイカ作りに挑戦してきた。花園≠ナ開催される最初の試合の前後日、9月21日、同23日に「大収穫祭」として、約200個のスイカを並べて、試食してもらう予定だった。

 しかし「今年は天候不順で成熟が遅くて」、「10月(の開催日の前後)に延期」と、楽しみが先送りになってしまった。


ラガーマンも必勝祈願に訪れる

ラクビー神社(吉田春日神社)


▲左側にゴールポストがあり、その右の方にボールがある

 花園ラクビー場から西に5分ほどのところにある吉田春日神社は「ラクビー神社」と称しているほどで、トップリーグや全国高校ラクビー大会の開催中には選手やサポーター、関係者らが必勝祈願に訪れる。

 境内には奉納された木製の大きなラクビーボールやラクビーボール形の絵馬があり、さらに花園の頭文字「H」とゴールポストをイメージしたモニュメントもあり、これをくぐり抜け、前出ボールにタッチすると願い事がかなうという。全国唯一の「ラクビー守袋」も扱っている。


折り紙でおもてなし


▲「類を見ないラグビー仕様の商店街」とアピールする前田会長

花園商店街 心込め製作

 ラグビーW杯を地域で盛り上げようと、近鉄河内花園駅周辺にある「花園商店街」「花園本町商店会」「パザパはなぞの店舗会」の3商店街で結成する「花園地区商業団体連絡会」は、住民らが折り紙を使って製作した「おもてなしグッズ」を9月22日の試合後の観戦帰り客≠轤ノプレゼントした。

 グッズは日本らしさを表現した着物形の箸入れと、ラガーシャツ形のつまようじ入れで、手作り感満載。8月末から花園商店街内の高齢者ふれあいサロン「街デイお達者くらぶ」に毎日、20人ほどが集まって折り始めており、認知症予防も兼ね、楽しみながら作業を重ねた。 同商店街の前田正道会長(61)は「W杯で商店街と地域がスクラムを組んで動き、良い雰囲気になった」という。

 同連絡会は9月18日には「チーム花園駅おもてなし隊・総決起集会」を英田公民分館分室(吉田1丁目)で開いた。


▲折り紙でおもてなしグッズを作る地域の人ら

 おもてなし隊は同連絡会が中心となって組織。同駅はラグビー場の最寄り駅からひと駅西側にあるが、飲食店が充実しており「地域全体で役立ちたい」と地元自治会と連携し、スクラム≠組む。

 前田会長は「レガシーはソフト部分。商店街と地域が力を合わせて花園に来た人たちを出迎え、その経験を大会後の町づくりに生かしたい」と期待を込める。


ラクビーグッズいろいろ

和菓子にキーホルダー、ストラップ…


▲饅頭「トライくん」でW杯盛り上げる「松一」

 東大阪は技術力、開発力の高さを誇る中小企業が揃う「モノづくりの街」として名高い。その持ち前の力で「ラクビーのまち東大阪」を応援しょうと1992年に東大阪商工会議所は「東大阪ラクビーグッズ創生クラブ」を発足させ、次々と個性豊かなグッズを開発してきた。年末年始に開かれる全国高校ラクビー大会では、ラクビー場前に特設テントを設けて、多種多様のグッズを展示販売し、ラクビーファンを喜ばせている。

 同クラブの会員は現在26社。市外の企業も数社参加している。うち地元の吉田や松原の企業では「エコ松原農園」のキーホルダーやストラップなど「HANAZONOらっぴーくんグッズ」▼「絹屋」の和菓子「花ラグ饅頭」▼「ノーサイド」の「木製ラクビーボール」▼「フクダ洋装店」の毎年デザインが違う「出場高校名入りのスポーツタオル」や「Tシャツ」「トライ君ぬいぐるみ」などがあり、グッズにはほかにも「ミニチュアマンホールのふた」や「ネクタイやトートバッグ」「ショコラ」「弁当」など、アイデアが光る品々が揃っている。

 また形が似ており、かつてカレー工場が市内にあったことから、東大阪市役所の若手職員が「カレーパンでまちおこし」を提案し、2011年に発足した「東大阪カレーパン会」。市内のパン屋31店が参加し、毎月8日を「カレーパンの日」として宣伝普及に努めている。

 さらに東大阪市では、菓子や弁当などのラクビーにちなんだ商品を作り、販売している店が集まって「東大阪ショウテンズ」というチームをつくって、花園≠フ盛り上げに一役買っている。

 ショウテンズに参加する「花園創菓庵・松一」は20年前に饅頭「トライくん」を開発。芝生をイメージした抹茶あんを使っている。同店の稲葉店には、かつて「世界のウイング」と呼ばれ、日本の誇りだった元近鉄の坂田好弘さんの写真が飾られており、訪れたラガーマンを懐かしがらせている。


元ラクビー日本代表、
トンガ代表アンバサダー(東大阪市在住)

タウファ 統悦

 「花園は13年間、近鉄ライナーズで現役生活を過ごし、日本代表としても初めて試合を行った特別な場所。そこでW杯が。興奮している。一流の選手が集まる舞台なので、ぜひ見てほしい」


東大阪異業種交流グループ
「創遊夢」代表幹事(マツダ紙工業社長)

松田 和人

 「W杯を盛り上げようと、ラクビーボール形の紙製容器や土産菓子を作ってきた。世界中の人たちにものづくりの町、東大阪の魅力を知ってもらいたい。経済効果も含め、盛り上がりを期待している」


ラガーマンの聖地

花園ラグビー場

 ラガーマンにとって「憧れの聖地」である。なかでも全国高校ラクビー大会が毎年(1963年の第42回大会から)開かれているため、高校生にとっては野球の甲子園≠ノ匹敵するバリューとなっている。

 1929年(昭和4年)に、日本で初めてのラクビー専用競技場として近鉄が建設し、オープンした。2015年に「W杯2019」の会場のひとつに選ばれ、東大阪市が近鉄から土地を購入(施設は無償譲渡)し、「東大阪市花園ラクビー場」となった。

 東大阪市はW杯に向けて、老朽化が著しかった施設を約72億6千万円かけて改修。W杯の基準を満たし、2018年9月に完成した。

 なお最寄りの東花園駅からラクビー場までの道は、ラクビー用品やみやげものなどラクビーグッズを扱う店が並び「スクラムロード花園」と名付けられている。


松原宿


▲街道の先には生駒の山もくっきりと

 大坂と大和・伊勢を結ぶ古道「暗越奈良街道」は伊勢参りなどでにぎわった重要路で、大阪で唯一の宿場が設けられていたのが、花園ラクビー場の北側の松原。かつては旅籠が16軒も立ち並び、運送役の馬や人足なども常駐し、大いに繁盛した町だった。大正時代になって近鉄(大軌)が開通し、往時の賑わいがなくなってしまった。今はすっかり面影も失せてしまったが、街道筋に大坂商人が建てた道標が残っている。


ラグビーW杯記念切手

東大阪花園郵便局ではイベント


▲ラグビーW杯を記念した切手をアピールする東大阪花園郵便局の局員

 日本郵便はW杯日本大会を記念した切手を販売している。開催地元の東大阪花園郵便局では9月6日に発売イベントが開かれ、PRブースや写真展示などで局内はラグビー一色=B切手を買い求める人らが列を作った。

 発売イベントは、東大阪市と市内の郵便局が締結している包括連携協定に基づく取り組みの一環で、東大阪市による花園ラグビー場での開催をPRするパネルも設置。W杯の切手は150シートを用意し、ラガーシャツを着用した局員が対応にあたった。

 花園ラグビー場で予定されている全4試合の観戦チケットが取れたという東屋あさ子さん(71)=同市=は「良いデザインで、友人へのプレゼント用にも購入した。いよいよ始まる、楽しみ」と話していた。

 切手シートは、W杯に出場する出場20チームのユニオンフラッグをデザイン。余白には大会マークと優勝トロフィー「ウェブ・エリス・カップ」、大会公式マスコット「レンジー」を描いている。1シート840円(84円×10枚)で、全国の郵便局などで60万シート発行。


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