週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2019/9/14

「基地問題を自分ごとに」

デニー沖縄県知事 大阪のリトル沖縄≠ナ訴え

 大阪市大正区。人口の4分の1を沖縄出身者と子孫が占めリトル沖縄≠ニ呼ばれるこの地を沖縄県の玉城デニー知事が9月8日、訪れた。沖縄の声を全国に届けるトークキャラバンだ。東京、名古屋に続き3回目。デニー知事は語りかけた。「ぜひ全国の皆さんに自分ごととして考えてほしい」。考えてほしいのはもちろん基地問題だ。沖縄には全国の米軍基地の70%が集中する。(大阪日日新聞編集局長・記者、相沢冬樹)

「米軍基地の70%があり続けるのは、沖縄を凍らせて≠「るんです。」

県外移転求めて(デニー知事)

▲大阪市大正区で基地問題について語る玉城デニー沖縄県知事

 「よく居酒屋で呑みながら言われるんです。『デニーさん、もう沖縄はね、70倍の交付金もらった方がいいよ』って(笑)。ですが私たちはこれ以上、未来の世代を将来の事件事故の被害者にさせたくないということを念頭に、米軍基地の整理縮小と県外移転を求めていきます」

 「私は知事選挙で辺野古の新基地反対を掲げて当選しました。そしてこの2月、県民投票が行われ、52%の投票率で、その72%の人が辺野古の埋め立てに反対という意思を明確に示されました。しかしなぜ工事は続けられているのか? 同じ国民として、なぜ沖縄でいつまでもこれだけの基地を、ということを、自分ごととして捉えて頂きたい」

 「先日は何と、フジロックフェスティバルに出ちゃいました。トークイベントで沖縄のことを知ろう語ろうというテーマで、音楽でこそ政治の話を伝えようということで。その時『知事はバンドもやっているそうで』と言われ、2曲歌わせて頂きました」

 そのうち1曲はボブ・ディランの「All Along the Watchtower」。この歌詞に「農民は勝手に俺の畑を耕す」というくだりがある。デニー知事はここを「政治家は勝手に辺野古を埋める」と歌詞を替えて歌った。

 「私はかねて音楽には強いメッセージを発信する力があると思っています。国境を越える力もある。私たちが生きているこの社会は音楽と切っても切れないんだと、私は音楽大好き人間として話しています」

 「私が生まれる前の年、1958年に沖縄で通貨がドルに変わりました。ドルを持っているのは兵隊や軍の関係者。当時、基地経済への依存度は50%でした」

 「1972年、晴れてわれわれは名実ともに日本人になりました。祖国復帰です。いい言葉ですよね」

 「基地依存度は今は5%です。あと2年半で復帰50年。基地があって良かったという人はいますが、いつまでもあっていいという人は少ないんです。米軍基地の70%があり続けるのは、沖縄をフリーズ、凍らせているんです。すみやかに引き取って頂きたい」


▲玉城デニー知事が飛び入り参加したエイサー祭り=大阪市大正区

 ところが辺野古の工事は止まらない。

 「政府による沖縄シカトです。でもシカトされて黙っている沖縄県民じゃありませんから」

 デニー知事は、来月アメリカに行って米議会に直接訴える考えを明らかにした。世界の米軍基地の見直しについて上院で議論されていることから、関係議員やスタッフに働きかけるとともに、公聴会でも意見を述べたいという。

 「私たちが求めているのは民主主義の本当の姿です。アメリカにじかに話をすることが大事です」

 最後の質疑応答で子どもから率直な質問が寄せられた。

 「沖縄の基地を無くすために僕にできることはなんですか?」

 デニー知事の答えは…。「自分で考え、自分で判断し、自分で行動すること。君にできることは、君がこの方がいいと思っていることのために何ができるかを、少しずつでもいいから実行に移していくことだと思います。頑張ってください。夢は必ずかないます」

 この質問用紙を受け取ったデニー知事「知事室に貼らせて頂きます」

 トークキャラバンの後、デニー知事は隣のエイサー祭りの会場を訪れた。ステージで司会者から「ぜひ」と水を向けられ歌ったのは、スタンド・バイ・ミー。Stand by me(僕のそばにいてほしい)というフレーズを歌いながら、最後にデニー知事は聴衆に叫んだ。「これからも一緒に頑張ろう!」

 わき起こる大歓声。デニー知事から大阪の人々へのメッセージだ。


pagetop