週刊大阪日日新聞

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2019/8/31

どうする相続 争いを防ぐために!! 今回のテーマ「未成年者」

 未成年者とは国によって異なり、日本では満20歳に達しない者をいう。未成年者は、よく知られているところでは「飲酒、喫煙をするための酒、タバコを購入できない」など、できないことが多い「制限行為能力者」である。その未成年者が相続人になった、あるいは受遺者にしたい場合、どうすればよいのだろうか。今回はそこに注目した。

 前回、実例として示したワンマン経営者の場合、孫2人はともに成人であったため、いらぬ心配をする必要はなかった。しかし孫が未成年であれば、財産を孫に残すのも、そう簡単には進まない。

未成年者の財産は親権者が管理

 民法では未成年者は「父母に親権がある」とされている。さらに「親権者は子の財産を管理する」とあるのだ。つまり単純に遺言書を作って、孫に財産を残(遺贈)しても、その財産は孫の父母が管理するところとなる。

 子どもとは不仲であったり、気に入らない婿の「外孫」であったりなど、理由はいろいろあるにしても、孫だけを猫かわいがり≠キる年寄りは世の中にはごまんといる。そんな人たちが、いざ孫に財産を残そうとなった時、最も「心配だ」と訴えるのが「孫に残した財産をあいつら(孫の両親、つまり自分の子どもら)が使ってしまうのではないか」といった不安だという。実際に残された財産のすべてが費消された例もある。

 さて、まずはこの不安の解消策だが、これは第三者に財産の管理権を委ねるのが得策だ。もちろん遺言書にはっきり「孫に遺贈する」ことと「孫が成人に達するまでの間、○○をその財産の管理権者として指定する」との2点を明記しておかなければならない。そうすることで「親権を行う父または母にこれを管理させない意思を表示した」ことになり、法律的にも「その財産は父または母の管理に属さないものとする」となる。これで使い込み≠フ心配はいっさい無用とまではいかないものの、法的ガードは固められる。

 もちろん遺言の効力が発生した時点、つまり遺言した者が死亡した時、先に子が亡くなっていて、孫が相続人になっていた場合には、「遺贈する」は「相続する」に読み替えられる。これは違いが大きい。これまでにも「遺贈」と「相続」の違いについては取り上げてきたが、さらに次号で税金面での違いなどを含めて、詳しく触れる予定だ。

 そこで未成年者の相続となるのだが、それにも特別なルールがあって、やはり知っておきたいポイントがいくつかある。

未成年者の協議には特別代理人が必要

 未成年者は財産に関わる法律行為を自身ですることができない。日々の暮らしの中でも、誰もが親の許可が必要だったケースを経験しているはずだ。

 相続人の場合も、遺産分割協議には親権者が代理人となって参加する。しかし親権者も相続人であるケースが少なくないが、この場合、利益が相反する立場であるため、代理が認められない。

 となると分割協議は行えないことになる。では未成年者の相続人が成人するまで、協議を棚上げするのか。遺産分割協議には期間の定めがないので、そうすることも方法のひとつではある。しかし遺産を数年間、手も着けられないまま放置しておくのも、何かと厄介である。

 遺産分割協議を実施するためには、親以外の相続人ではない者を特別代理人として選任しなければならない。特別代理人には、相続に関係しない者であれば誰でもなれる。叔父伯母でも、従兄弟でも良く、実際に相続人ではない親族を選ぶことが多い。ただし親族の場合には、不公平が生じ、後々トラブルへ発展した危険もあることを注意しておきたい。司法書士や弁護士などの専門家に特別代理人を依頼する方法もある。

 ちなみに同様に認知症など判断能力に欠ける者には、相続人以外の特別代理人を選ぶ。また行方不明者がいるケースでは、不在者財産管理人を選ぶ必要がある。


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