週刊大阪日日新聞

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2019/7/27

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

どうなる? 泥沼化する日韓関係

日韓離反の裏にあるもの

 日韓関係が泥沼化している。日本政府は7月1日、半導体製造などに不可欠な先端素材を対象にした輸出規制措置を発動。文在寅政権の屋台骨を揺るがす事態になっている。日韓関係は今後どうなるのか。

 7月末に親しくしていた韓国人外交官が本国に帰任した。その外交官と惜別の食事をし、去り際に韓国流の抱擁を交わして「陽はまた昇るよ」と握手を交わした。約2年前に文在寅政権が誕生してからは、急速に日韓関係が悪化。先の参院選に勝利し、続投が決まった安倍政権と今後関係改善はあるのか? 冷静に分析した。

在日「民団」は保守派優勢

 あまり報道されないが、この問題に最も心を痛めているのは約45万人の在日韓国・朝鮮の人々だ。大阪は10万人超と最も多い。

 韓国籍の人々の多くは「民団」という組織に在籍している。現在韓国を二分する「朴槿恵前大統領らの流れをくむ保守派」と「文在寅大統領が歩んだ進歩派」のうち、民団には圧倒的に「保守派」が多く、進歩派主導の韓国大統領府とは対日姿勢の温度差が激しい。G20で来日した文大統領と面談した関西在住の民団幹部の戸惑いは大きかった。

 民団にすれば、日本で独自の活動を続ける進歩派の在日同胞や、同大統領が急接近する北朝鮮と関係の深い朝鮮総連と、手のひらを返しての友好接触は民族同胞という言葉ほど簡単ではない。すでに政府側の窓口になる在大阪韓国総領事は進歩派の精神的支柱であるハンギョレ新聞の出身者で占められ、文政権下では知日派と呼ばれるベテラン外交官が次々と遠ざけられている。

 「文大統領の任期はまだ5年ある。恐らく安倍さんより長いし、トランプさんが再任されても同じくらいの時間がある。我々はそれを無視できない」(ある民団幹部)

すべては日韓条約から

 はっきりさせておきたいのは、日韓両国の戦後補償と正式な国交回復の区切りは、1965年の日韓基本条約だ。韓国政府による韓国人への個人補償を含め当時のお金で5億ドルが拠出され、さらに海外経済協力基金からも資金を投入。民間レベルでも企業間の技術や資金の援助が相次いだ。このお金をもとに、朝鮮戦争で疲弊した国は人々の汗と努力で漢江(ハンガン)の奇跡≠ニ呼ばれるほどの急激な経済発展を遂げた。

 日韓協定締結で、竹島帰属を除いた諸問題はほぼ解決。残るは従軍慰安婦・帰国被爆者・サハリン残留者≠ノ対する補償と支援とされた。

 きしみが表面化したのは、昨 年11月の慰安婦財団解散。朴前大統領と安倍総理の間で基本合意し、日本側が10億円を拠出し財団設立までこぎ着けた。ところが文大統領就任で事態は振り出しに。以後、レーダー照射や徴用工の問題が相次ぐことになる。

徴用工で例外作れぬ

 韓国最高裁は、徴用工に対する補償として「未払い賃金ではなく慰謝料として払え」と命令。協定範囲内に含まれるとされる徴用工問題に、もし日本政府が追加で慰謝料を出すとどうなるか。韓国だけでなく先の戦争に関連した多くのアジアの国々に対し、新たな補償金支払いの糸口になりかねない。だから日本側は絶対に認めるわけにはいかない。

 これまでの日本の対韓外交は、「理不尽な要求であってもうやむやにし、明確な反論はしない」というスタンスだった。理由は、日韓併合の歴史に対するおわびであり官民一体となった気配り、さらに東西冷戦下の米日韓による中国・ソ連(現在のロシア)と北朝鮮との軍事的最前線としての対抗意識があったからだ。

対日依存薄らぐ韓国

 しかし現在の日韓関係は、貿易では韓国側が黒字で、日本依存はどんどん減っている。東西冷戦は過去の物となり、軍事面でも日米が重要ではなくなってきた。文大統領は日本の存在を意識する必要がなくなり、彼ら進歩派の政治家にとって最大のテーマ「南北融和による民族統一」に向け、まい進している。

 文大統領のアキレスけんは国内経済の失敗だ。それを隠すためにも対日政策で強い姿勢を見せて国民感情に訴え、得点を稼ぎたい。同時に朝鮮日報などの批判的な保守系メディアに反撃の矛先を向けるため、対日強硬政策は最も違いがはっきりするテーマでもってこいだ。

対韓輸出規制は危険

 現在、日韓の最大課題になっている対韓輸出規制。日本では「ようやく一矢報いた」という気になっている人も多い。ただし、そのツケは甘く見ない方がいい。かつて東日本大震災の時に、韓国向け自動車部品工場が大打撃を受け、結果的に中国などのアジア各国に代替され、それが今も戻っていない。規制がやがて日本経済にブーメラン被害を及ぼす危険性もある。

 若い世代は別で、韓国の若者は日本文化が大好き。年間750万人が日本を訪れている。一方の日本も、K─POP人気が復活し、軽快な韓流ダンスなどに魅力を感じる若者は多い。

 隣国という地政学的観点からも、日韓両国は仲良くすべきだ。ただし両国トップが最悪の組み合わせとあって今は簡単でない。世界の嫌われ者・トランプ米大統領が日韓関係にそれほど興味があるとは思えないが、彼にとって米朝対話は来年の大統領選に大きなメリットがある。「仲裁は時の氏神」という言葉もあるのだから。


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