週刊大阪日日新聞

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2019/7/13

野分 大阪発・論点 不正文書は諄子さんが書いたのか?

籠池夫妻 法廷ドラマ

 籠池夫妻の公判の争点の一つは諄子さんの関与だ。検察は、諄子さんも夫の籠池泰典元理事長と共謀して補助金をだまし取ったと主張。一方、弁護側は、諄子さんは不正にまったく関与しておらず無罪だと主張する。そこがこの日焦点になった。

 4日、証言に立ったのは森友学園の顧問税理士。宇賀博道検事の尋問に次のように証言した。

 「実際には幼稚園で働いていない4人の給与表を作ってくれと、園長(籠池元理事長)から電話で言われ、その内容を書いた紙がファクスで送られてきました。その通りにうその表を作りました。抵抗感はありましたが顧問先でもあり、普段から経理について副園長(諄子さん)から強く言われることもあったので」

 文書のうち、不正を指示する骨格部分は細い字で、冒頭の「〇先生様」という宛名書きと末尾の「かご池」という署名は太い字で書かれている。

 税理士は、筆跡から見て細い字は籠池元理事長、太い字は諄子さんが書いたと思うと証言した。これは重要な意味を持つ。不正を指示する文書に諄子さんも書き込んでいるなら不正を共謀したと検察が主張できるからだ。

 これに対し諄子さんの主任の浦功弁護士は、同じような宛名書きと署名があるほかの二つの文書を並べて示し、不正の文書とは字が違うのではないかと税理士に尋ねた。すると堀木博司検事が「異議あり。筆跡鑑定人ではないので」「検事が誰の字と言わせているから、別の資料を見せて違うというのは当然です」。裁判長が即座に「異議は棄却します」

 浦弁護士は「見比べてください。この字はほかの二つと違うでしょ」と迫り、「そうですね。違うように見えます」という証言を引き出した。すかさず堀木検事が「異議あり。証人に心理的影響を与えています」「何を言うてるんですか!」

 この闘いは意外にも裁判官の質問で決着した。不正を指示した文書だけ違う人が書いたと思うのかと尋ねられ、税理士は「今まで副園長が書いたと思っていたが、先ほどの文書を見ると副園長ではない気がする」と証言したのだ。

 この日は法廷の裏で別のドラマもあったという。諄子さんによると、休憩時間に堀木検事が通路に出てきたので、「堀木さ〜ん、ありがとう〜大好きよ〜」とやったというのだ。諄子節の炸(さく)裂だ。最初は知らぬ顔をしていた堀木検事も最後は振り返り、2人はしばし見つめ合ったという。

 特捜検事は普通、自身が調べた被告人の公判は担当しない。なのに、こういう被告人と取り調べでも公判でも向き合う運命にあるとは…やや同情する部分もある。

 (相沢冬樹)


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